レポート

Internet Week 2008 IT Community Impact! ~世界を変える新たな潮流~

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セッション4「コミュニティの未来を語る」

IT Community Impact!の最後を飾ったのは,まさにこれからのコミュニティを展望するパネルディスカッション「コミュニティの未来を語る」です。

ミラクル・リナックス株式会社 吉岡弘隆氏を司会に,オープンソースカンファレンス運営事務局 宮原徹氏,日本PHPユーザ会/PHP勉強会 亀本大地氏,まっちゃ139勉強会/ネットエージェント株式会社 まっちゃだいふく氏の3名をパネリストに,コミュニティの在り方やこれからについてトークが展開されました。

IT Community Impact!のトリのセッションとなったパネルディスカッション「コミュニティの未来を語る⁠⁠。

IT Community Impact!のトリのセッションとなったパネルディスカッション「コミュニティの未来を語る」。

今の勉強会のブームについて

吉岡氏:最近の勉強会ブームには目を見張るものがありますが,これについてどのように思いますか。

宮原氏:正直なところ,ブームそのものは良いことではないと思っています。たとえば,1回切りの参加で来なくなってしまう人もいますし,あるいは,複数の勉強会が同じ日に固まってしまって,どの勉強会に参加するかなど,参加者に不便な部分もあります。

亀本氏:たしかに,参加者の属性を見てみると二極分化しているように思います。まず,1回限りの参加で終わってしまう方。もう1つは,リピーターとなってどの勉強会にも参加してくれる方という2種類です。この間を埋めることはこれからの課題ですね。

まっちゃだいふく氏:リピーターを増やすためには,運営側が積極的に声を掛けて,参加しやすい空気を作るというのも1つの手だと思います。また,よく地域性について言われますが,私自身は,東京・関西での違いというのはそれほどないと思っていますが,⁠東京のほうが勉強会に参加する人数が圧倒的に多いという)母数の差があるので,東京のほうが新規参加者率が高いように感じています。

司会を務めた吉岡氏。ご自身の経験などをふまえながら,これからのコミュニティや勉強会に関する議論をモデレートしました。

司会を務めた吉岡氏。ご自身の経験などをふまえながら,これからのコミュニティや勉強会に関する議論をモデレートしました。

勉強会の良いところ

吉岡氏:ちなみに,勉強会の良さってなんだと思いますか? 勉強会と飲み会の違いについても,コメントがあれば教えてください。

まっちゃだいふく氏:まず,良い人と交流できるということですね。これが良さだと思います。

亀本氏:私も,人脈作りというように形式張ったところまではいかないまでも,新しい人と出会えることが勉強会の良さだと思います。あと,PHP勉強会で言えば,毎回,懇親会で肉が食べられます(笑⁠⁠。

宮原氏:これは私個人に限定されるかもしれませんが,実は最近はOSCの活動が増えているため,他の勉強会に参加できていないんです。これはちょっと寂しいですね。あと,飲み会と比較して,お酒が苦手,かつ,騒ぐのが苦手という方には,最初の敷居は高いかもしれません。

亀本氏:勉強会というと懇親会とセットで企画されることが多いので,飲み会に近いイメージがあるかと思います。でも,単なる酔っ払いの集まりではなくて,お酒を飲んだり,カジュアルな雰囲気の中で,自分たちが興味ある技術について話せることが,勉強会+懇親会の良さですね。

それから,お酒が苦手でも,お酒の場が苦手でなければ問題ないと思います。むしろ堅苦しくないので,入りやすいと思います。

まっちゃだいふく氏:そうですね。セキュリティの話題になると扱いが難しいテーマなどが出てくるため,Ustreamといった中継は難しくても,懇親会のような場があることで,その場限定での情報交換ができますからね。

吉岡氏:なるほど。そう考えると,運営する場合には,参加者にもっと参加しやすくするための工夫というのが求められていきそうですね。

私が開催しているカーネル読書会というのは,名前からするととても難しく思われがちなのですが,実際はピザとビールがメイン(笑)…とまではいかなくとも,和やかな雰囲気で技術について話しています。運営側としてはこんなにゆるくてもいいのかな,と思うぐらいです。

しかし,学会や企業の分科会などと比べた場合,こうした雰囲気が新鮮だと思われることがあるようです。

まっちゃだいふく氏:そうですね。楽しいことが一番です。

亀本氏:勉強会に限らず,コミュニティというのはそこが本質だと思います。運営している人,参加している人,すべての人が楽しめるというのが大事です。その共通項として,各コミュニティが題材としている「技術」であり「テーマ」なのかな,と感じます。

宮原氏:その先に関して言えば,現在の勉強会はある程度知識やスキルを持った人たちの場にもなってきていると思っています。具体的には,基礎技術力を付けるプロセスが抜けている状態です。その代替手段として勉強会を位置付けると,冒頭にも述べたように参加者の二極分化が進んでいってしまうと思います。つまり,知っているものの延長線上として参加する人と,ただ参加して,内容をきちんと理解しきれない人です。

そのために,私個人としては,これからは基礎技術に戻る勉強会をやらなければいけないなぁと思っています。

パネリストの3名。左から亀本氏,まっちゃだいふく氏,宮原氏。

パネリストの3名。左から亀本氏,まっちゃだいふく氏,宮原氏。

コミュニティで人生が変わる

吉岡氏:そういう意味で,コミュニティへの参加は生き方にも影響がありますね。

私自身,人生が変わった一人だと思っています。15年ぐらい前を振り返ると,当時は特定の技術に関して,日本語で細かな議論ができる場はほとんどありませんでした。実際のところ,学会や業界団体は建前で,本音での議論がしづらい状況でした。

その後,一時期仕事場となっていたシリコンバレーでは,会社や組織の壁ではなくて,技術者が技術者としてのロイヤリティ,専門性を信じて議論していく場がありました。この感覚を体験したとき,それを日本に作れないかと思ったのです。それがきっかけで生まれたのが,カーネル読書会です。

開催前はどのぐらい集まるかなど不安もありましたが,いざ開催してみると30人もの人に集まっていただき,同じ悩みを持っているのが自分だけではなかったということがわかり,とてもうれしく思いました。

その後,1回1回開催して,来年には100回目を迎えられそうです。こうした,積み重ねが大事だと思います。

勉強会を始めオフ会は物理的な制約が大きいが,今の勉強会というのは新しいステージに向かっていると思っています。たとえば,はなずきんさんが運営されている勉強会カレンダーなどは,公開当初は手で登録されていましたが,今は多くのコミュニティの方が自分自身で登録して楽しんでいるように思います。これからの発展が楽しみです。

まっちゃだいふく氏:そうですね。勉強会は参加者のものですので,みんなで楽しみたいです。

亀本氏:同じく,コミュニティを運営していく中で,みんなが気楽になれる場を提供しながら,一緒に作っていきたいです。