レポート

Webとリアルの可能性が見えた1日―第13回RIAコンソーシアム・ビジネスセミナー開催(前編)

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

BOW:BOW cARdに見るARの可能性

次に登場したのは,BOW吉川佳一氏。吉川氏のプレゼンテーションでは,これまでBOWが取り組んできた3D名刺「BOW cARd」について,AR(Augmented Reality)のメリットと合わせて紹介された。

なぜARに着目したのか,実例とともに紹介した吉川氏

なぜARに着目したのか,実例とともに紹介した吉川氏

吉川市は,まずなぜ名刺に着目したかについて説明した。

「何かをユーザに体験してもらいたいとき,たとえばWebコンテンツとしてただURLを提示するだけではユーザが積極的に体験しようとは思わないでしょう。しかし,それをCDに収録して配布することで実際に触ってもらえる確率が高まります。その理由の1つは,ものとして記憶に残るからです。

それでも,まだ体験してもらうためには物足りないと感じて,さらにもう一工夫が必要だと思ったときに,ちょうどARが流行っているというのを聞きました。ARというのはあたかも実際にあるように見せる,拡張現実と呼ばれる技術で,先ほどのCDで配布するようなリアルさを持たせることが可能です。そこでARを詳しく調べたところ,実現するために(撮影用)カメラに対してマーカーを付けることが必要ということがわかりました。そこで,Webコンテンツを提供するURLの部分にそのマーカーを入れることで,何かできるのではということから,名刺にAR用のマーカーを掲載するという発想に至ったのです⁠⁠。

ARを利用した3D名刺BOW cARd.画面に映っているキャラクター2つが,ARによって生成されている

ARを利用した3D名刺BOW cARd.画面に映っているキャラクター2つが,ARによって生成されている

こうして,ARを利用した拡張現実3D名刺「BOW cARd」の制作が始まった経緯が話された。実装段階では「すごい3Dレンダリングを目指す」よりも,⁠ユーザにとっての)名刺交換という体験をもう一段深くする」ことを目的にしたそうで,それを実現する手段として,アバターを乗せ,代わりに挨拶をさせるようなコミュニケーション,また,ユーザ自身が自分の名刺を作れる仕組みというのを用意したそうだ。

その結果として,現在のBOW cARdには「向き合い判定」⁠Twitter連動」⁠カラーコード」といった機能が実装されている。

また,プレゼンテーションでは,BOW cARd以外に,Virtual Sushi Barという,専用のお皿に寿司のARを表示させるデモンストレーションが行われ,実際の制作プロトタイプなども紹介された。

かなりリアルに寿司を表現している「Virtual Sushi Bar」

かなりリアルに寿司を表現している「Virtual Sushi Bar」

SEMI TRANSPARENT DESIGN:場所を意識したインスタレーション

最後の個別プレゼンテーションを行ったのは,SEMI TRANSPARENT DESIGN 菅井俊之氏,田中良治氏。SEMI TRANSPARENT DESIGNでは,大手企業と取り組んだインスタレーション事例を多数手掛けており,今回のプレゼンテーションでは,

の2つの事例を中心に紹介された.

akarium call projcetは,2006年に実施された,表参道駅から明治神宮までの表参道に立てられた巨大灯籠(総数60本)を,携帯電話から自分の声に反応させることができるというインタラクティブ イルミネーションで,開発の経緯や実際に使用した機材の制作などについて紹介された。

akarium call projcetoのポイントは「インタラクションが渋谷のハチ公のようなシンボルになること⁠⁠,インターフェースとして携帯電話を使うことで「年齢性別を越えられること」と説明する,菅井氏

akarium call projcetoのポイントは「インタラクションが渋谷のハチ公のようなシンボルになること」,インターフェースとして携帯電話を使うことで「年齢性別を越えられること」と説明する,菅井氏

もう1つの,LIVE COLOR WALL PROJECT:call tokyoはSONYの液晶テレビBRAVIAのCMと連動したインスタレーションで,BRAVIAの「Color is Magic」というCMをカラーパレットにして自分の好きな色をスポイトで吸い取り,銀座ソニービル上へポタッと落とすとビルがその色に変わるというものを表現する作品となっている。こちらについても,どのように制作したか,また,実際にソニービルに写すときにどの角度が良いかを調べるのかが大変だったなど,裏話を聞くことができた。

まとめでは,こうした大規模な事例を手掛けた経験から,SEMI TRANSPARENT DESIGNとして考えるインタラクションやインスタレーションのついて興味深いコメントが述べられた。

まず,コンテンツデザインのポイントとして「町のシンボルになるインタラクション」にすることで効果が大きくなること,一方で,Webサイトとして見た場合,あまり複雑にするのではなく,ときにはユーザに解釈をゆだねるぐらいシンプルに,問いかけを持つWebサイトであること,いわゆる「サイレントWebサイト」であるほうが,自然発生的に強力なBuzzが発生しやすいという見解を述べた。

エンジニアの視点から専門用語の難しさについて話す菅井氏(右)と,デザイナーの視点からクリエイティブの大事さとそれを裏付ける技術のバランスについて話す田中氏(左)

エンジニアの視点から専門用語の難しさについて話す菅井氏(右)と,デザイナーの視点からクリエイティブの大事さとそれを裏付ける技術のバランスについて話す田中氏(左)

そして,それらを含めて二次的利用が可能なメディアを意識し,継続して行うことで行為自体をシンボル化することが大切であると述べ,プレゼンテーションを終えた。

RIAコンソーシアム・ビジネスセミナーXIII~明日のWebデザインへのヒント!
https://www.ria-jp.org/information/20090806.html