レポート

アジャイルカンファレンスTOKYO 2009

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日立製作所

そして次に,実際にアジャイル開発手法を使って,オフショアでの分散開発を実践している日立製作所の山中様の講演がありました。オフショアアジャイルを実践する中で収集した生のデータを整理して,その特徴と傾向を分析されています。

株式会社日立製作所 技師 山中 敦氏

株式会社日立製作所 技師 山中 敦氏

実は私も,このプロジェクトの立ち上げ時に少しお手伝いさせていただいたことがありました。もともと,オフショア開発は,文化の違いやコミュニケーションの壁があり,プロジェクトを円滑に進めるには高い管理能力を必要とします。そこに,アジャイル開発というこれまでと異なるやり方で効率を追求し,成功を収めるのは非常に難しいものがあります。今回は,現場の第一線の管理者層(ミドル層)に非常に優秀な方が揃っていたというのが,成功の要因のひとつであることは疑いがありません。

さまざまなデータの報告がありましたが,測定のコストを加味しても,国内でウォーターフォール式の開発を進める場合と比べても,なんら遜色の無い品質が提供できているという点は大きな成果であると思います。このような先行事例を報告・分析することは,教訓やベストプラクティス,アンチパターンを抽出し,後続のプロジェクトの敷居を下げるという意味で,素晴らしい貢献であると考えています。

山中氏のセッションの模様

山中氏のセッションの模様

個人的に最も印象的であったのは,オフショア開発の現場の満足度が高いということです。日本よりは遥かに労働市場の流動性は高いので,オフショアパートナー育成という観点からみても,人材流出の防止に貢献する効果がありそうです。

トークセッション

そして,最後は弊社社長の長瀬と,Xiao様とのトークセッションでした。時間が短いこともあり,Q&A形式で進めました。

トークセッション

トークセッション

比較的広範囲に重要なポイントに関する質問がバラつきましたので,Xiao様のアジャイルに関する深い知見を直接感じられる場となりました。舞台裏でもXiao様とお話させていただく機会もありましたが,とても誠実なお人柄でした。今回のQ&Aでも,とても丁寧に回答していただき,有意義なセッションであったと思います。

株式会社テクノロジックアート 代表取締役 長瀬 嘉秀 氏

株式会社テクノロジックアート 代表取締役 長瀬 嘉秀 氏

とくに,ユーザインタラクション用の専用のデザイナロールを定義したり,パフォーマンスの評価をチーム単位で行い個人評価を回避したりする部分は,開発組織の在り方を変えてゆく必要があります。アジャイル開発の導入は,考え方を変えるだけでなく,契約や組織体制の変革まで伴う大きなターニングポイントとなり得ます。ほんの僅かな視点の転換に過ぎないのですが,アジャイル開発の導入の難しさも改めて感じました。

会場からの質問に丁寧に答えるXiao氏

会場からの質問に丁寧に答えるXiao氏

最後に

会場は,最後まで多くの人に埋め尽くされていました。Q&Aでマイクを持たれた方の中には,これからアジャイル開発に取り組みたいといった方もいて,アジャイル開発に対する注目度の高さを,改めて感じさせられました。今後もこのような場を通じて,さまざまな情報収集/発信を継続していきたいと思います。

Xiao氏には個別インタビューを行いました。その模様についてはこちらをご覧ください。

著者プロフィール

設楽秀輔(したらしゅうすけ)

1994年,慶応義塾大学経済学部卒業。エンターテインメント系企業にて経営管理を経験後,システムインテグレータとして金融アプリケーションなどのソフトウェア開発に従事。2007年,株式会社テクノロジックアートに入社し,現在に至る。

テクノロジックアートアジャイル開発グループグループリーダー。認定スクラムマスター。会計士補。