レポート

iPadファーストインプレッション――想像以上の高レスポンスがもたらす「新たな世界」

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マルチタスクはいらないのかもしれない

iPadやiPhoneの欠点として,マルチタスクでない点を挙げることが多い。しかし,iPadの快適なレスポンスを体験すると,マルチタスクでなくともいいのかもしれないと感じてくる。

たとえば,Web上で気になったことをEvernoteにメモしたい。そんな時にはiPadのSafariを閉じ,Evernote for iPadを立ち上げなくてはいけない。しかし,iPadではブラウザを閉じる速度とEvernoteアプリを立ち上げる速度がiPhoneとは比べものにならないほど速いのだ。PCブラウザでタブを切り替えるほどではないにせよ,アプリを終了させて次のアプリを立ち上げるまで時間がかからず,まるでスイッチを切り替えるようにアプリが立ち上がる。そのため,作業の途中でいったんアプリを閉じて別のアプリを使い,また元のアプリに戻って続きの操作をするのがあまり苦にならない。

アプリ単体でもレスポンスが非常に良いので,Webブラウジングをしたりメールを書くのにも,iPadのほうが普段使っているMacBook Airよりも快適に感じる場面が非常に多かった。キーボードのレスポンスがとても速い上に,日本語入力時には変換候補の文字列がタッチしている文字キーの真上に横一列で表示されるので,変換候補をファンクションキーを押す感覚で選択できるからだ。

変換候補がファンクションキーのように表示される

変換候補がファンクションキーのように表示される

マルチタスクでないことによる欠点として,作業中にチャットなどができないということがある。ただ,考えようによっては作業の割り込みが発生せず集中しやすいとも言える。複雑な作業以外はiPadで事足りてしまうので,ノートPCを手放しても良いかもしれないと思えてくるほどだ。

電子書籍端末としてのiPad

バッテリの持ちは非常に良好で,ノートPCとは比較できないほど良い。ただ手軽に使えるためノートPC以上に使用頻度は上がるし,ノートPCとは違って充電ケーブルをつないだままだと手元が非常に煩わしいので,1日1回の充電が必須となる。バッテリ交換までの寿命がどのくらいになるかが気になるところだ。

電子書籍端末としてのiPadは,そのレスポンスの良さから非常に使いやすい。iBooksのコンテンツは,辞書をひくためにアプリを切り替えなくても,文章中の英単語をタップしていると画面上にその単語の意味を英語で表示してくれる英英事典機能がついている。iPad版のKindleには残念ながらこの機能はないが,白背景黒文字表示の背景色の白が,輝度を抑えた色味がかった白となっており,液晶画面でも目が疲れにくいように配慮がされている。iPadで読んだものの続きを,iPhoneのKinleアプリやパソコン上のKindleアプリでも読めるのが強みだ。

iBooks上で表示される辞書機能

iBooks上で表示される辞書機能

Kindleの背景色は輝度が抑えめとなっている。ページ中央のスクリーンショットの白と比較してみるとよくわかる。黒の色もグレーに近い色となっている

Kindleの背景色は輝度が抑えめとなっている。ページ中央のスクリーンショットの白と比較してみるとよくわかる。黒の色もグレーに近い色となっている

ただ,電子書籍を満喫するのにiPadのバッテリは弱すぎるということはないが,十分というわけでもない。バッテリの残り時間はどうしても気になってしまうだろう。電子書籍のヘビーユーザは,iPadとは別にテキストを読むために専用の端末を用意する価値が十分にある。一方,入手できる電子書籍がまだまだ限られている現状では,iPadで電子書籍の利用を始めてみるのは,コストパフォーマンスの観点からは良い選択といえそうだ。

iPhoneが手放せなくなっている人にはiPadは間違いなく「買い」

iPadを利用した後でiPhoneを手にとると,その画面のサイズ,スクリーン上のキーボードの大きさにとても驚かされる。一度iPadを使い出すと,自宅ではiPhoneを利用する機会はほとんどなくなってしまうだろう。iPhoneを利用していなかったのでこの機会にiPhone/iPad向けアプリを堪能したいという人にお薦めなのはもちろん,iPhobeを手放せなくなってしまっている人は買って後悔することはないだろう。

ノートPC代わりのモバイル端末としても非常に魅力的だ。アメリカでは4月末に発売予定の3G機能付きのiPadなら,ノートPCとデータ通信端末の組み合わせよりもスマートに利用できそうだ。ただ,3Gでデータ通信時のバッテリの持ちがどのように変化するのかは気になるところ。また3Gを利用せずに,外部のWiFi通信用端末を利用するという選択肢も残されている。

いずれにしても,iPadが日本でもヒットするのは間違いなさそうだ。

著者プロフィール

美谷広海(みたにひろうみ)

1975年フランス生まれ。引越し歴14回。ゲーム,モバイル,Webとデジタルコンテンツの企画,プロデュースを行い,Webサービスの海外進出、海外から日本への事業展開に従事中。ブログは『Fool on the Web』。海外に日本のIT情報を紹介するasiajin.comにも参加しています。

メールは hiroumitani@gmail.com

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