レポート

「WACATE2010 冬」レポート─温故知新に驚きと感動と

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ワークショップ「デシジョンテーブル」

前半に加瀬正樹さん,後半に近江久美子さん,井芹洋輝さん両名によるデシジョンテーブルについてのワークショップが行われました。ここからは,実際に手を動かして課題に取り組みます。

デシジョンテーブルは,⁠入力」「出力もしくは動作」を合わせて1つの表形式で表現したものになります。表の各列が1つの試験パターンを意味します。表に表現することにより,複雑な論理に対しての曖昧さを排除することができます。また,レビューによる検証が可能となるという利点もあります。

デシジョンテーブル

デシジョンテーブル

前半のワークショップでは,デシジョンテーブルについての講義を受け,演習問題によって実際にデシジョンテーブルの作り方を理解します。後半には,⁠Myersの三角形」を題材とした,デシジョンテーブルテスト構築までの実践演習となります。Myersの三角形を簡単に説明しますと,⁠三辺の長さ」を入力として,⁠三角形が不等辺三角形か,二等辺三角形か正三角形か」を判断して出力とする,というプログラム問題です。当然,三辺の長さによっては三角形として成立しないケースもあります。

今回は,このMyersの三角形をベースとした仕様書が用意されました。この仕様書には「TBD(未定⁠⁠」の箇所が存在し,ワークショップ途中で仕様が確定されるなど,実際の業務に近い条件で課題に取り組むこととなります。

このワークショップでは,学んだテスト技法を実践にて作成するのみではなく,チームを意識した作業分担も考える必要が生じます。参加者はタイムマネジメント,チームマネジメントが求められ,実際の業務と同等の体験をすることができます。

WACATEにおけるワークショップは,このような実務に生かすための工夫が多数含まれています。チームで課題に対して実際に手を動かしながら考えることによって,座学や読書のみでは得ることが難しい貴重な経験を得ることができるのです。

ディナーセッション

WACATEにおけるディナーセッションは忘年会さながらの状況で進められます。数々の催し物の企画や抽選プレゼントなど,楽しい夕食となります。ここでは,2日目セッションの予習として,辰巳敬三さんから「書籍から見るソフトウェアテストの歴史」が紹介されました。カバーフロー(iPhone横倒し時のCDアルバム選択画面の形式)で歴史的な書籍を紹介するという仕込みで,参加者の目は釘付けとなりました。

宴会の風景

宴会の風景

夜の分科会

ディナーセッション後に行われる夜の分科会では,複数のテーマから1つを選択して議論を行います。残念ながら,全てに参加はできませんので,今回は私の参加した「デシジョンテーブルワークショップのふりかえり」について簡単に紹介します。

これは日中のワークショップ内で各チームが作成した成果について,議論するというものです。⁠技法がなぜ必要なのか?⁠⁠,⁠デシジョンテーブルは本当に有効な手段なのか?」から始まり,チーム間でのデシジョンテーブルの検討方法の違いについて互いの信念がぶつかり合うなど,参加者の熱い思いで室温も上がる白熱議論が夜遅くまで行われました。

分科会の風景

分科会の風景

合宿会場

合宿会場となる「マホロバ・マインズ」には温泉があります。合宿形式で勉強詰めとなってしまいますが,温泉で体力を回復することで,2日目のセッションも全力で取り組むことができます。また,参加者は複数名で1つの部屋に宿泊することになりますので,夜通しの熱い議論を行う人もいるとのコトです。

分科会の風景(2)

分科会の風景(2)

テストと海外とワタシ

ここから2日目となります。

大西建児さんのセッションは,大西さん自身のテストと海外との関わりについての紹介です。国内外のテスト業界において精力的な活躍を見せる大西さんですが,テストとの最初の出会いは偶然の配属によるものであったこと,意欲的に学ぶことによって実力をつけたこと,そして海外へのチャレンジと,キャリアを考える上で参考となる貴重な体験談が多数紹介されました。

「海外では自分が外国人。外国人が一生懸命片言で話そうとすると私たちは一生懸命聞きますよね」という実感のこもった言葉と,⁠海外に行くことはそれほど高い壁ではない」という力強い言葉により,海外を目指す人に対して勇気を与えていただきました。

著者プロフィール

水野昇幸(みずののりゆき)

WACATEは2010冬にて初参加。職場の先輩に誘われるがまま参加し,大きな衝撃を受ける。普段は某電機メーカーでシステム開発を担当。開発7割,時折テスト。「ETソフトウェアロボットコンテスト」の関西地区実行委員も勤めている。楽しんで学ぶことができる,という場に引き寄せられると幸せを感じる。