レポート

バリバリチューニングするぜ!Webシステムのパフォーマンスを争った一日―第1回チューニンガソン開催

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APCによるチューニングやPHP自体の再コンパイル

結果発表のあと,各チームからのチューニングのポイント,また,司会進行の山崎氏,クラウドスポンサーAmazon Data Services Japan K.K.の玉川憲氏からの公表が行われました。

優勝したmethane氏は, ボトルネックの確認をした上で,ちょうど直前に仕入れた情報の「PHP5.4」を導入することを決めたそうで,phpinfoに記載されているconfigureオプションをベースにビルドして入れ替えたとのこと。結果的に,このチューニングはかなり効果があったようです。その他,perfを活用して数値をチェックしながら調整するなど,PHPの入れ替え以外にも細やかなチューニングを施していました。

2位のtoshiak_netmark氏は,最初Apacheを触りながらプロセス数を20に絞るなどをしたそうですが,あまり効果がなかったそうです。そこで,PHPのリコンパイルをした上で,自身の経験に基づいてApache+Nginx+php-fpmの3段構成を採用しました。その結果,CPUを使い切ることができ,早い秒数を計測できたとのこと。

3位のyamaji,tottokugチームは,チームという利点を活かし,それぞれでチューニング範囲を決めながら進めていたそうです。ただ,それよりも大きかったのが,あらかじめAmazon Linuxに向けた主要な言語・ソフトウェアのビルドパッケージを用意していた点。結果的に,他チームに比べてビルド時間を短縮できるという,事前準備が功を奏した結果となりました。

その他,各チームとも,APC(Alternative PHP Cache)を利用したキャッシュの高速化,PHPのリビルドといったアプローチが見られました。一方で,皆,CPUが1つという条件に対してボトルネックの解消に頭を悩ませていたという声が多数聞こえました。

また,チート(ズル)をしたチームもあり,そのチームは失格となりました。

バトル終了後,参加者自身からのコメントも。

バトル終了後,参加者自身からのコメントも。

限定された条件の中で「サービス」として提供することの重要性

講評時,山崎氏は,⁠今回は,あえてWordPressというアプリケーションを使い,その下で動く,OS,サーバソフトウェアだけでどこまでチューニングできるかを競ってもらいました。アプリケーション側のチューニングも大切ではありますが,実際にWebサービスを提供するときには,インフラ側のチューニングが必要です。ですから,チューニンガソンでは,単なる技術バトルではなく,実際にWebサービスを提供することを想定して競える課題を出したのです」と,イベントのコンセプトを改めて説明するとともに,腕自慢を目指すのではなく,実用途にも耐えうるスキルの習得の大切さを強く訴えました。

また,クラウドスポンサーのAmazon Data Services Japan K.K.玉川氏は,⁠今回,たくさんのエンジニアの方たちが実際にチューニングする場を見ることができたのは,提供側の私たちとしても大変参考になりました。結果からAmazon Linuxの課題なども伺うことができました。今後はその点もブラッシュアップしていきたいです。それから,今後の開催では,たとえば1インスタンスではなく,金額の上限設定をして,その中で,コストも意識した最適なパフォーマンスチューニングといったバトルも見てみたいですね」と,この先の展開に期待するコメントとともに講評を終えました。

講評をするAmazon Data Services Japan K.K.玉川氏

講評をするAmazon Data Services Japan K.K.玉川氏

講評のあとは,同オフィス内「Ajito」に場所を移し,参加者による懇親会も行われました。

参加者同士,それぞれのチューニングのポイントを共有するなど,お酒とともに技術談義に華が咲きました。

参加者同士,それぞれのチューニングのポイントを共有するなど,お酒とともに技術談義に華が咲きました。

特別ゲストにリスも登場!

特別ゲストにリスも登場!

今後のチューニンガソンにも期待!

以上,第1回となるチューニンガソンが終了しました。日本国内でもさまざまなWebサービスが登場し,ユーザにとってもより身近になってきています。それらを支えるエンジニアたちが腕を競い,そして,さらなるサービス向上につながる場として,⁠チューニンガソン」の役割は大きいと感じます。

今後,第2回,第3回と続いて,エンジニアたちのスキルアップとともに,日本のIT/Web業界の発展につながることを願っています。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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