レポート

開発者の祭典「Google Developer Day 2011 Tokyo」開催―Android,Chrome,App Engine,そしてGoogle+,その先にある未来が見えた1日

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Android―世界最大のスマートフォンOS

まず最初に紹介されたのは,今,スマートフォンに搭載されたOSとして世界最大数を誇るAndroid。プレゼンターはTim Bray氏です。

登壇してすぐに「Android端末を持っている人は?Android開発者はどのぐらい?」と会場内に質問を投げかけたTim氏。Android開発者の挙手を見て「まだまだ足りないよ」と,日本の開発者に奮起を促す一コマも

登壇してすぐに「Android端末を持っている人は?Android開発者はどのぐらい?」と会場内に質問を投げかけたTim氏。Android開発者の挙手を見て「まだまだ足りないよ」と,日本の開発者に奮起を促す一コマも

Tim氏がGoogleに入社した2年ほど前,Android端末は1日に6万台増えていたそうです。ところが,2011年初頭には1日30万台,そして今は1日に50万台増えているとのこと。つまり,2日で100万台増えつづけており,それらが137ヵ国で使われていることがどんなにすごいことか,また,開発者にとって喜ばしいことかという説明からスタートしました。

さらに,現在は世界中のAndroid端末に80億ものアプリケーションがインストールされていると言います。この点について「これだけの数,世界が広がっていることは開発者には大きなチャンスです」とTim氏はコメントしました。

「80億ものアプリケーションがインストールされている土壌があることは,開発者にとってはチャンス。しかし,見方を変えると悪いことでもある。つまり,それだけユニークで,すばらしいアプリケーションを開発しなければユーザには使ってもらえないからだ」⁠Tim氏)

「80億ものアプリケーションがインストールされている土壌があることは,開発者にとってはチャンス。しかし,見方を変えると悪いことでもある。つまり,それだけユニークで,すばらしいアプリケーションを開発しなければユーザには使ってもらえないからだ」(Tim氏)

Androidアプリのサンプルとして紹介されたセカイフォン。言語認識および翻訳によるコミュニケーションが行える

Androidアプリのサンプルとして紹介されたセカイフォン。言語認識および翻訳によるコミュニケーションが行える

さらに,この1年でのAndroid関連のトピックとして,

  • アプリごとのパーマリンクが用意された
  • キャリアからの直接課金が行えるようになった
  • In-App Billing(アプリ内課金)が行えるようになった

ことが紹介され,今まで以上に,ビジネスとしてのAndroidの可能性が広がっている点についても述べられました。

続いて,直近のホットトピックである,Android 4.0(コードネーム:Icecream Sandwich)が紹介されました。Icecream Sandwichでは,さまざまなAPIが用意され,NFCを利用した情報共有や,カメラAPIをアレンジしたFace unlock(顔認識による制御)などが行えるようになったことが,実際のデモを通じて紹介されました。

Icecream Sandwichの機能について,自身が開発したアプリケーションとともに紹介したDeveloper AdvocateのTony Chan氏

Icecream Sandwichの機能について,自身が開発したアプリケーションとともに紹介したDeveloper AdvocateのTony Chan氏

最後に,詳細はAndroid Developersのサイトから各種ソースコードが入手できる他,APIが解説されているのでぜひご覧ください」とコメントし,Tim氏のプレゼンテーションが終了しました。

Chrome―フロントエンド技術が広げるWebアプリの可能性

次は,再び及川氏が登壇し,Webブラウザ「Google Chrome」の最新動向,Webアプリケーションの可能性に関するプレゼンテーションが行われました。

「今,Webブラウザはの流れはモダンブラウザにシフトしています。世界で利用されているブラウザの67.27%はモダンブラウザで,ここ日本でも60.83%を占めています。ちなみに昨年の同時期,日本の(モダンブラウザの)シェアが40.78%だったことを考えると,モダンブラウザへの流れはゆるぎのないことです」と及川氏は説明しました。

その中で,全世界のChromeのアクティブユーザが2億人おり,その要因の1つは「開発者への情報,開発プラットフォームを充実させていること」とのこと。さらに,⁠オープンな技術で実装されていることも非常に重要なことです」と及川氏は続けました。

今回はその中から,

  • 3D Graphics
  • Device Access
  • Offline

の3つの技術にフォーカスを当てたデモが行われました。

Chromeを支える技術を紹介するデモを行った,Developer Adovocate北村英志氏

Chromeを支える技術を紹介するデモを行った,Developer Adovocate北村英志氏

最初に,螺旋型の本棚アプリが紹介されました。フロントエンドにHTML5やJavaScriptを実装し,軽快なUI,豊富な情報量を提供できるものです。

螺旋型の本棚アプリ。自分が見たい本を探し出し,クリックすると書影や概要が表示され,さらにGoogle Booksとリンクしているので詳細まで見ることが可能になる

螺旋型の本棚アプリ。自分が見たい本を探し出し,クリックすると書影や概要が表示され,さらにGoogle Booksとリンクしているので詳細まで見ることが可能になる 螺旋型の本棚アプリ。自分が見たい本を探し出し,クリックすると書影や概要が表示され,さらにGoogle Booksとリンクしているので詳細まで見ることが可能になる

このアプリに関して及川氏は「これは単純な本棚アプリではなく,Webのフロントエンド技術とバックエンドのクラウドが融合することによってできた,今までにないユーザ体験を提供しています。Webブラウザを通じてあたかも本棚の前にいる状態で,Web上にあるすべての本の情報にアクセスできるからです。このように,Web標準技術を使うことでネイティブアプリでは実現できない世界/体験を表現できるようになりました」と,Webが持つ可能性,フロントエンド技術とバックエンド技術の融合から生まれる優れたユーザ体験を強調しました。

次に,開発者向けの機能として

  • WebIntents
  • Native Client
  • JavaScript and DOM

を紹介し,再び北村氏によるデモが行われました。

今回のGDDのために開発されたColor Picker。ソースコードエディタから直接操作できるパネルになっている

今回のGDDのために開発されたColor Picker。ソースコードエディタから直接操作できるパネルになっている

Chrome Developer Tools内のエディタで,ソースコードの変更履歴管理が行えるようになった

Chrome Developer Tools内のエディタで,ソースコードの変更履歴管理が行えるようになった

Web AudioやWebSocketsなどの入出力,リアルタイムに関するデモも行われた。このような複雑な表現,ユーザ体験の提供も着実に実装できるようになっている

Web AudioやWebSocketsなどの入出力,リアルタイムに関するデモも行われた。このような複雑な表現,ユーザ体験の提供も着実に実装できるようになっている Web AudioやWebSocketsなどの入出力,リアルタイムに関するデモも行われた。このような複雑な表現,ユーザ体験の提供も着実に実装できるようになっている

これらの開発者向け機能については,昨年のGDDで上がった要望が反映されているとのこと。この点について,及川氏は「私たちGoogleは,今までにないもの,なかったことを新たに開発しているだけではなく,今までできてはいたが,⁠開発者が)苦労していたこと見つけ改善し,開発をサポートし,開発者の生産性を上げることも目指しています」と,開発者の声を大事にしながら,技術を開発する姿勢,開発者への思いとともにプレゼンテーションを締めくくりました。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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