レポート

モチベーションアップにつながるきっかけ作りを――CSS Nite in TAKAMATSU, Vol.6「Webデザイナーのモチベーションアップ」開催

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

セッション4:Webデザインのウソ・ホント~Webらしくデザインするためのヒント

トリのセッションを務めたのは,couldをはじめとしたブログ,ソーシャルメディアでの発信などで有名なWebコンサルタント長谷川恭久氏です。

長谷川氏のセッションは,Webデザインの本質について,身近にあるキーワードを体系的にまとめる形で行われました。1つ1つの意味を知ること,Webで何がデザインできるのか,Webデザイナーとして何をするのか?について考えるきっかけが得られる内容でした。また「コミュニティの重要性」を強く訴えていたのが印象的でした

長谷川氏のセッションは,Webデザインの本質について,身近にあるキーワードを体系的にまとめる形で行われました。1つ1つの意味を知ること,Webで何がデザインできるのか,Webデザイナーとして何をするのか?について考えるきっかけが得られる内容でした。また「コミュニティの重要性」を強く訴えていたのが印象的でした

今回の発表では「Webデザインのウソ・ホント」と題し,今のWeb業界,Webデザインにおいて注意・意識しておきたいポイント,誤解,また,普遍的な考え方を,同氏ならではの視点でまとめました。

まず,最初にウソとして挙げたのが以下の4つ。

  • 見た目
  • コントロール
  • ピクセルパーフェクト
  • ページ

ウソと表現するとドキッとする方もいらっしゃるかもしれませんが,長谷川氏が伝えたかったのは,

  • Webは思い通りの見た目を表現できるものではない→多様なスクリーンへの表示が可能である
  • Webはコントロールしきれるものではない→ユーザはデザイナーの意図したどおりに使うとは限らない
  • ピクセルパーフェクト→デバイスの多様化による画面サイズの変化,そこから生まれる表現の(狙いの)齟齬
  • Webはページの集まりではない→情報がよりセマンティックなものへ

ということ。

いずれも技術進化によって生まれた問題でもあるとも捉えることができます。その中で,たとえば,ピクセルパーフェクトに関しては,⁠ピクセルを意識するよりも,全体のバランスや調和を考える」といったことや,⁠ユーザの使い方を(デザイナー自身が)想定できないことを前提に,コントロールに関する余地を空けておく」など,突き詰めるだけではなく,視点を変えたデザインを行うことの大切さを述べました。

一方のホントとして挙げたのは次の4つです。

  • 標準技術
  • ツール
  • マークアップ
  • コミュニティ

この4つには,

  • 標準技術が整備されることで,デザインのスタイルがオープンかつシンプルになるということ
  • ツールを使うことはデザインをするうえでこれからも欠かせなくなる。⁠利用できるものをきちんと使い)クリエイティブを共有すること
  • コンテンツの意味付けとしてのマークアップを行うことが,Web,そしてその先にあるWeb以外への表現にも対応できるようになる
  • 最も大事なのはコミュニティ。リアルでもネットでも人とつながり,ネットワークを作ること,コラボレーションすることが大切

という意味が込められていました。

まとめとして「ウソを改めて考えてみて,WebをWebらしくデザインするにはどうするか。また,⁠日々変化し続ける環境において)デザインの定義を変えながら再定義をし,生活の一部になっているWebを自分自身で考えて見ること。そこからデザインに対するモチベーションが生まれるのではないでしょうか」と,Webデザイナーとしての⁠当事者意識⁠を持ってWebに向き合うこと,それこそがモチベーションアップの最大のポイントであるとして,最後のセッションを終えました。

本日登壇したスピーカーの面々

本日登壇したスピーカーの面々

高松から全国へ,全国から高松へ

今回のCSS Niteは「モチベーションアップ」という非常に抽象的かつ概念的なものがテーマとなっていました。そのため,どのセッションもいわゆる「このとおりやればこうできる」という内容とは異なり,参加者自身がどう捉え,それをどう考えてつなげていくかが重要になるものだったと感じています。だからこそ,Twitterでの反応(CSS Nite in TAKAMATSU, Vol.6 - Togetter)などを見ても,さまざまなツイートが上がったのだと思います。

また,今回のCSS Niteは地元香川以外に,近隣の岡山,大阪,また,東京,宮城,福島,青森まで,非常に多くの地域からの参加者が集まったことも印象的でした。

クロージングでは,さまざまな地域から参加した聴講者も壇上に上がり,それぞれの挨拶を述べました。この写真に移っているのはCSS Nite in AOMORIの主催者(左手前)をはじめ,宮城や福島からの参加者の皆さんです

クロージングでは,さまざまな地域から参加した聴講者も壇上に上がり,それぞれの挨拶を述べました。この写真に移っているのはCSS Nite in AOMORIの主催者(左手前)をはじめ,宮城や福島からの参加者の皆さんです

中川氏や筒井氏のセッションでも述べられていたように,これからは,東京という枠にとらわれない,地方だからこそできるWebデザイン,もっと言えば,地域や場所にこだわらないWebデザインということが求められていくのではないでしょうか。筆者自身も,東京のコミュニティに参加しながらも,より一層地方のコミュニティとの連携に関わり,gihyo.jpを通じて情報提供・情報共有を行っていきたいと考えています。

最後に,今回のイベントをきっかけに,参加者をはじめ多くのWebデザイナーのモチベーションが少しでも向上し,この先のWebデザインの可能性の広がり,その先にあるWeb業界全体のさらなる拡張・成熟につながっていくことを期待しています。

熱心に聞き入る聴講者

熱心に聞き入る聴講者

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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