レポート

第3回テックヒルズ「2012..Flashの終焉!? ~Flashの今後を見抜く~」実施レポート

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Arctic.js開発者から見るFlasherの未来

続いて,⁠株)ディー・エヌ・エー(以下DeNA)の近澤 良氏が登壇し,⁠Arctic.js開発者から見るFlasherの未来」と題しましてお話しいただきました。

Arctic.jsといえば,DeNAがHTML5開発支援フレームワークとしてオープンソースで公開されているもので,

  • 豊富なアニメーション作成支援機能
  • 表示ツリー,イベント伝播モデル
  • ActionScript3.0*4と近いAPI による,Flash 開発経験者の学習負担軽減
  • 各種スマートフォン OS の断片化を吸収し,開発工数を大幅に削減

を目的として提供されているものです。今回,このArctic.jsの実開発者よりFlasherの未来についてお話がありました。

近澤 良氏

近澤 良氏

まずFlashは,非常に優れたツール,デザイナーとプログラマの分業,クロスプラットフォームを実現すると語り,ご自身も「Flashは大好き」と述べつつも,反面iPhoneの登場でflashが,続いてAndroidも今後はFlashプラグインの提供打ち切りとなったことから,クロスプラットフォームという部分に陰りが出てきたと説明しました。

上記を受けて,DeNAの取り組みを紹介しました。

SWFランタイム

ExGame
JS製FlashPlayerでLite1.1が「ほぼ」動く。mobageプラットフォーム内に多数のリリース実績を持つ。
Pex(PostExGame)
非常に早い(実際の再生デモを披露⁠⁠。JavaScriptで操作。今後のスタンダードに。

Flashライクに開発(Arctic.js)

スマートフォンブラウザ向けゲームフレームワーク。JavaScriptからHTML5のCanvas要素を利用。AS3ライク,MITライセンス

また,実際のArctic.jsのアーキテクチャについては,オブジェクト指向,イベントモデル,ディスプレイツリーを採用し,Flashのムービークリップを再現しAS3ライクを実現していると説明しました。パフォーマンスに関してもArctic.jsを利用したタイトルのデモを披露し,60fps近くのパフォーマンスを実現している部分をアピール。特にキャンバスのパフォーマンスがあがってきているので安心して将来性が期待できると期待を寄せていました。

最後にFlasherのこれから

まず,Flasherとは,⁠気持ちのよいアニメーションが作れる」⁠インタラクティブなプログラミングが得意」⁠UIに関する知識が豊富」と定義。なにより「フロントのエバンジェリスト」であると認識し,技術についてはHTML5を選ぶだろと紹介しました。

FlasherがHTML5を選ぶ理由として,⁠キャンバス,CSS3の表現力向上」⁠JavaScriptとActionScriptは非常に似ている(スキル転換が楽⁠⁠ミドルウェアやツールが増えてきている」など利点を挙げました。 さらに,JavaScriptのライブラリ群,アニメーションツールもキラーは見当たらないものの確実に増えては来ているため,今後に期待できると話しました。最後に「スマホの需要にどこまで応えられるかが鍵」としてプレゼンを締めくくりました。

パネルディスカッション

第二部は先に登壇したAdobe,DeNAのお二人にCROOZ,gloops,gumiというメーカ,プラットフォーマーを加え,あらかじめ用意されたテーマに沿って議論が交わされました。

今後Flashが必要なのか?

gumi:gumiではフィーチャーフォン向けを作ってから転換しています。まだまだフィーチャーフォン向けの対応が必要であり,編集ツールとしてFlashは非常に優秀と思います。

Adobe:現在でも圧倒的にFlash Lite1.1が使われており,最大のパイに対してリーチをのばすのは自然だと思います。

DeNA:PCサイト向けのFlashはどうなるか? 求められているものは変わってきている。技術者はどういう方向へ進んでいくのか?

CROOZ:Flashが終わったら全てが終わる訳ではないと思います。Adobeさんに頑張っていただいてHTML5変換ツールを作っていただければ長期安泰ではないでしょうか?

gloops:ひとくくりでFlasherといっても広いと思います。その中でどういう方向で行くのか?個人的には演出に特化していかなければならないと思います。プログラミングに特化していく方向もあるが,フロントのスペシャリストでありたい。

総論:フロントエンジニアとしては必要である。適切な技術にコンバートする必要もある。

今後のモバイルソーシャルゲームのFlashについて

gumi:GREEプラットフォームではここ1年でソーシャルゲームのFlashが変わったと感じています。 Flashの操作によって,たとえばタイミングによって魚が釣れる…などから表現力(ムービー)に特化したツールになった感じがします。

CROOZ:確かに演出に特化してしまった気がしますね。ゲーム性が必要ならFlasherから提案していくべきだと感じています。

Adobe:デスクトップでゲームコンソールより優れたゲームができる事を目指しています。技術としてはゲームコンソール向けでもモバイルでも同じような事ができます。ただ,収益性のよいゲームはそれほど動かなくても,操作がなくても良くなっていると思います。ただ,技術としてはできるので,いろいろと挑戦し,開拓してほしいですね。

gloops:ゲームを深くやるというよりもちょっとした時間を使って遊んでくださっているというユーザ目線は重要。ただ,今後リアルタイムバトル,さらにその次の波を見越して新しい仕組みを作っていきたいです。

Flashを用いない開発手法について

gumi:flashと同時に吐き出してくれるようなツールなどでしょうか?

Adobe:弊社では今の所Edgeでしょうか? CSS,JavaScriptを知っていればすんなり入れます。ただ,今ではコマアニメができない。まだpreview版なので是非成長を見守ってほしいと思います。

DeNA:なぜ,タイムライン,開発言語部分を分離したのでしょうか?

Adobe:新しい,本当に使いやすいを目指しました。他に良いツールがあるならそれに任せたかった。ボタン一発の便利な変換は現状ではできないのですが。

DeNA:EdgeはPCとモバイルどちら向けなのでしょうか?

Adobe:元々はモバイル向けです。

DeNA:create.jsについては今後どうなるのでしょうか?

Adobe:Flashに慣れた人のJavaScriptライブラリというスタンスはかわらないと思います。 コミュニティが正しい相性,実装などを選択してくれ続けると思います。

おわりに

Adobeやプラットフォーマーなどの開発者より直接話を伺う貴重な機会でしたが,実際に利用する(今回の場合はソーシャルゲームベンダ)は,自社の体制など,世間話にフォーカスしてしまった部分は少し残念でした。第二部に関してものディスカッションに対する結論が出ないまま次のテーマへ移ってしまったり,全体的に物足りなく思う空気が流れていた時間帯もありました。

せっかくの機会だったので,技術を深堀りしたり,特定分野の議論を重ねるスタイルにして,SAP側よりバグの改善点や,機能の要望,ツールのベンチマークやデバックツールの提案など活発な提案などがあれば盛り上がったのではないかと思います。

次回は10月頃の予定で「UI,UXの衝撃」をテーマに開催されるとの事ですので期待したいと思います。

著者プロフィール

高岡将(たかおかすすむ)

大手金融,独立系SIerにて気がつけば計18年以上のキャリアを重ねる。バランス感覚に長け,インフラ/アプリ,プレイヤ/マネージャなど関係なくこなし,「いそうだけどいないタイプ」と評価される。

仕事以外では,自転車,ジョギング,サックス等を趣味にし,密かに「エンジニアと健康」についてダイエット成功論の連載を企む。