mixi、Twitter、Ameba、LINE:各種ソーシャル/ネットサービスのWindows 8に向けた取り組み—⁠—タブレットネイティブへのアプローチ

2012年12月14日、日本マイクロソフト株式会社にて「Windows 8対応ソーシャルアプリに関する記者説明会」が行われました。

新しいユーザ体験を提供するWindows 8

説明会の冒頭には、日本マイクロソフト株式会社業務執行役員Windows本部本部長の藤本恭史氏が登場し、10月26日にリリースしたWindows 8の近況について報告しました。発売2ヵ月弱で、すでに4,000万ライセンスを超えているとのことで、⁠90%のユーザが購入しアクティベートをした後に、チャームやWindows ストアなど新しいユーザ体験を試しているという調査結果も出ている」と述べました。

Windows 8リリース後、世界中でユーザ数が伸び続けているとコメントする藤本氏
Windows 8リリース後、世界中でユーザ数が伸び続けているとコメントする藤本氏

学生に向けた取り組み—⁠—学生就活支援アプリ

Windows 8の戦略の1つとして「ターゲティングをした展開」を掲げた藤本氏。つまり、すでにPCや携帯電話(ガラケー)を体験している層よりも若手の、学生を始めとしたスマートデバイス世代との接触が重要とするものです。⁠マーケティングの観点では、TVCMをはじめとしたプロモーションではすでに若年層を意識したクリエイティブを作っており、これまでの取り組み方とは異なる」と言います。

加えて、日本市場のWindows 8ならではという点では、先日から学生就活支援アプリを用意し、特設コーナーを準備するなど、タブレットを活用して生活をする学生たちに向けた環境整備も行っているそうです。

今の就職課都度において、ネットおよびスマートフォンの活用は必須と言われている。今後、タブレット向けアプリの存在意義はますます高くなりそうだ
今の就職課都度において、ネットおよびスマートフォンの活用は必須と言われている。今後、タブレット向けアプリの存在意義はますます高くなりそうだ

こうしたWindows 8の近況を述べた後、

  • mixi
  • Twitter
  • Ameba
  • LINE

の4つのサービスによるWindows 8に向けた取り組み、Windows 8対応アプリの開発状況と展望について説明が行われました。

「友人とのコミュニケーションが楽しめるように」—⁠—Windows 8と同時に対応アプリをリリースしたmixi

トップバッターは、ソーシャルネットサービスの中ではいち早くWindows 8対応にと組んでいた株式会社ミクシィの「mixi⁠⁠。

2012年6月に開発に着手し、2012年9月にWindows 8 RTM版をファーストリリース、2012年10月26日、Windows 8のリリースと同時に正式版リリースに至りました。⁠SDKにさまざまなテンプレートが用意されており、小規模開発がしやすかった」と述べたのは、株式会社ミクシィメディア統括部Windows 8ユニットプロダクトオーナーの戸高慎一郎氏。

「mixiは、エンジニア2、3名+デザイナー2名の少チームで、HTML5+JavaScriptを利用したスモールスタートで開発を行った」と述べた戸高氏
「mixiは、エンジニア2、3名+デザイナー2名の少チームで、HTML5+JavaScriptを利用したスモールスタートで開発を行った」と述べた戸高氏

10代後半〜20代前半の全人口の半分弱がアクティブに活用しているという調査結果もあり、⁠これからのスマートデバイス世代に向けて積極的に取り組んでいきたい」⁠戸高氏)と述べました。

現在の機能としては、友人の更新情報の閲覧の他、日記や写真の投稿、また、Windows 8ならではの特徴としてチャームを利用したmixiチェックの投稿が行えるといったものが実装されています。今後は「友人とのコミュニケーションをさらに楽しめるよう、機能拡充やプッシュ通知といったものを実装していく予定です」と締めくくりました。

チャームの利用というのはWindows 8対応を目指すこれからのサービス、とくにソーシャルネットにおいてはカギを握るポイント
チャームの利用というのはWindows 8対応を目指すこれからのサービス、とくにソーシャルネットにおいてはカギを握るポイント

「情報配信プラットフォームとしての基盤を強化」—⁠—Windows 8対応アプリを開発中のTwitter

続いて、Twitter Japan株式会社パートナーシップディレクターの牧野友衛氏が登場し、TwitterのWindows 8対応状況について説明しました。

情報の発信・取得という観点で言うと、Twitterほど発信に積極的なユーザを抱えているサービスは多くないと述べる牧野氏
情報の発信・取得という観点で言うと、Twitterほど発信に積極的なユーザを抱えているサービスは多くないと述べる牧野氏

「現在は開発中のため、具体的なデモはありません」という前置きをしながら、全世界で4億ツイート/日、また、55%がモバイル利用、ユーザの60%は情報配信を目的としているといった数値データを元に、⁠情報配信プラットフォームとしてのTwitterが最大限活かせるように、Windows 8のユーザに向けたアプリケーションを開発していきたい」と、とくに「⁠⁠ユーザ自身が)情報を出す」ことをさらに活性化できるようなアプリを意識していることが伺えました。

本日は公式アカウントからのツイートのみの紹介となった。リリースに期待したい
本日は公式アカウントからのツイートのみの紹介となった。リリースに期待したい

「Amebaスマホで蓄積したノウハウを最大限に活かす」—⁠—まずは芸能人・有名人ブログから対応するAmeba

3番目に登場したのは、ブログサービスのAmebaをはじめ、12月に入ってからは「Amebaスマホ」キャンペーンなど、積極的にスマホユーザに向けた取り組みを行っている株式会社サイバーエージェント技術部門執行役員アメーバ事業本部経営本部統括を務める長瀬慶重氏。

長瀬氏は、ブログ・ピグなどの主力サービスを軸に、スマホ対応についてはこれからも積極的に行いたいと述べた
長瀬氏は、ブログ・ピグなどの主力サービスを軸に、スマホ対応についてはこれからも積極的に行いたいと述べた

TVCMや交通広告、各種メディアとのタイアップで最近目にすることが多いAmebaスマホの取り組みを元に、まずはAmebaの魅力コンテンツである「Ameba芸能人・有名人ブログ」を活かしたアプリケーションの投入を予定しているそうです。この「Ameba芸能人・有名人ブログ for Windows 8ストアアプリ」では、1万を超える芸能人・有名人ブログを50種類のジャンル別に閲覧できるUIを用意する他、Windows 8の特徴である横スクロール、チャームを利用した閲覧画面となるそうです。

「今回のAmebaスマホのキャンペーンをはじめ、現在、私たちはスマートフォンユーザに向けた取り組みを積極的に行っています。ここで得られた知見・経験を軸に、魅力的なWindows 8対応のアプリケーションを投入したいです」と締めくくりました。なお、このアプリケーションは2013年1月10日公開が予定されています。

閲覧という行動1つをとってもユーザが100%満足できるよう、Windows 8のUIを最大限活かしたアプリを目指しているとのこと
閲覧という行動1つをとってもユーザが100%満足できるよう、Windows 8のUIを最大限活かしたアプリを目指しているとのこと

「日本発世界へ」—⁠—グローバルプラットフォームのWindowsとのシナジー強化を狙うLINE

トリを務めたのは、現在全世界で8,500万のユーザ、日本で3,700万のユーザを獲得し、2012年最も注目を集めたサービスといっても過言ではないLINEを提供するNHN Japan株式会社執行役員/Chief Strategy & Marketing Officer舛田淳氏です。

「日本発世界へ」と力強く述べた舛田氏
「日本発世界へ」と力強く述べた舛田氏

LINEは、昨日のShoProとの共同LINEスタンプキャラクター展開の強化に関する発表を始め、LINEというコミュニケーションを軸にアプリやゲーム、キャラクターを利用した展開など多方面への展開が日に日に拡充しています。

こうした中、舛田氏は「WindowsというグローバルOSとの連携によって世界展開を強化していきたいです。私たちが目指す⁠日本発世界へ⁠という目標の実現に向かい、Windows 8対応アプリの開発はとても重要です」とコメントしました。加えて、⁠LINEユーザのメインはスマホネイティブ。タッチUIが前提になっているので、その点もWindows 8との親和性が高いと考えています」とコメントしました。

Windows 8アプリについては、たとえば友達一覧と会話画面を同時に表示させることで、さらにコミュニケーションを活性化できると考えているとのこと。さらに舛田氏は、⁠ながらチャット(何かをしながらチャットする⁠⁠」というLINEならではの使われ方(ユーザ体験)に対して、Windows 8のUI、チャームといった機能を利用することで、より良い体験を提供できるのではないかと、Windows 8への期待を語りました。

LINEのWindows 8対応アプリは2012年12月下旬リリースが予定されています。

タブレットの画面サイズに加えて、横スクロールなどタブレットならではの画面空間を活かすことで、より良いながらチャットが期待できる
タブレットの画面サイズに加えて、横スクロールなどタブレットならではの画面空間を活かすことで、より良いながらチャットが期待できる

タブレットならでは、Windows 8ならではの体験をどこまで広げられるかがこれからの注目ポイント

以上、日本で多くのユーザを獲得しているソーシャル/ネットサービス4社から、今現在、そして今後の取り組みについて説明がありました。冒頭の藤本氏のメッセージ、また、4社ともが異口同音に述べていたのが、スマートデバイス世代へのアプローチという点です。これまでのPCや携帯電話のように、入力装置としてキーボードやマウスを利用するのではなく、初めて触ったネットデバイスがスマートフォンというタッチUIネイティブである若い世代にとっては、Windows 8のModern UIの親和性の高さは十分予想できます。また、どのサービスも若年層が積極的に利用しているというのも共通の特徴であり、この2つがうまく合わさることで新しいアプリが生まれてくるかもしれません。

一方で、従来のPC/携帯電話ユーザも同じ環境に立つことができるネット空間においては、それぞれの感覚の違いをどこまで吸収して、より良い体験できるかというのが、ソーシャル/ネットサービスにとって重要な要素にもなります。 そうした時代に向けて、Windows 8が担う役割は大きいと思いますし、今後どのようなWindows 8対応アプリが出てくるのか、さらに期待したいところです。

日本マクロソフト藤本氏を囲んでの集合写真
日本マクロソフト藤本氏を囲んでの集合写真

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