レポート

変化の時代を生きるエンジニアの心得とは?─エンジニアの未来サミット for students 2012 第2回開催

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

今すぐコードを書きなさい!

後半はトークセッションです。藤川氏に⁠株⁠nanapi CTOの和田 修一氏,サイボウズ・ラボ⁠株⁠代表取締役社長の畑 慎也氏,司会進行に技術評論社の馮 富久を加え,参加した学生の皆さんからの質問に答える形で進みました。現在就職活動中の方が多くを占める会場からは,⁠どんな会社を選ぶべきか」⁠就職に有利なスキル」に関する質問が多く出ました。

トークセッションの模様

トークセッションの模様

まずパネラーそれぞれがご自身の経験を元に「大企業かベンチャーか」についてコメント。和田氏は,新卒で楽天に就職し,そこで社会人としての基本スキルを学べたと言います。その基礎をもってベンチャーで活躍している経験から「最初の3,4年は大企業,その後ベンチャーが良いのでは」と語ります。

畑氏は新卒でジャストシステムに入社し,その後サイボウズを起業した経験をお持ちです。⁠新人でもコードが書けそう,あとは『一太郎』という名前だけで選んだ(笑⁠⁠」と言いつつ,しっかりした研修を受けることができたのが結果的には良かったと言います。⁠新卒を採るということは,それなりの準備をしているので大企業,ベンチャーに限らずリスクは少ないと思う。サイボウズも研修期間あります(笑⁠⁠。

nanapi 取締役CTO 和田 修一氏。
普段使いの言語はPHP,理由は
「社長がPHPしか書けなかったから⁠⁠。
エディタはEmacs。

nanapi 取締役CTO 和田 修一氏。普段使いの言語はPHP,理由は「社長がPHPしか書けなかったから」。エディタはEmacs。

藤川氏は「今は⁠既存の事業⁠プラス⁠インターネット⁠の時代。ベンチャーだとインターネット以外の柱がないのでその部分を買収して大企業化している」と,ここでも変化を見極める重要性を説きました。

パネラーのプログラミング経験を問う質問には,皆さん小学生ごろにゲーム等でパソコンに触れたものの,本格的にプログラミングをはじめたのは社会人になってからとのこと。このあたりは世代にもよると思いますが,⁠プロが仕事として開発する」ためのプログラミングは,やはり実際の仕事の中でないと身につかない部分があると思います。畑氏は学生時代にもプログラミング経験があったそうですが「入社後の研修で初めてエラー処理とはどういうものか学んだ」と言います。

サイボウズ・ラボ 代表取締役社長
畑 慎也氏。言語はJavaScript,PHP,
Python,Java,C++,C#,
Objective-Cと多数。エディタは
MS Visual Studioと最近は
Sublime Text。

サイボウズ・ラボ 代表取締役社長 畑 慎也氏。言語はJavaScript,PHP,Python,Java,C++,C#,Objective-Cと多数。エディタはMS Visual Studioと最近はSublime Text。

仕事への心構えについては,⁠仕事を好きになるのが一番,自分が今作っているものを好きになれるかを意識する」⁠畑氏⁠⁠,⁠世界をどう変えるか』といった大義を考えて仕事に向きあう」⁠和田氏⁠⁠,⁠1つ仕事をやるごとに小さくても何か新しいことを入れていく」⁠藤川氏)と,いずれも視野を広くもつことを勧めました。

文系の学生さんからの「エンジニア志望だがコードを書いたことがない,何をアピールすべきか?」という質問には,⁠今できることをやった方が良い。少しでもコード書くことを学び,実際に書いてみること」⁠畑氏⁠⁠,⁠今日から始めてください。⁠○○言語を学びました』という理系学生より『こんなサービス作りました』という文系学生が採用される」⁠和田氏⁠⁠,⁠コードが書けないのは⁠学ぼうとする⁠から。必要なのは⁠こんなものを作りたい⁠という情熱」⁠藤川氏)とアドバイス。今は良質な参考書もあり,ネットには情報はもちろん本格的なサービスを動かす基盤も揃っています。あとはやる気だけ。ある意味幸せな時代ですよね。

藤川 真一(えふしん)氏。
好きな言語はJava(使ってないが⁠⁠。
使っているのはRuby on Rails(好み
と関係ない⁠⁠。エディタはEclipse。

藤川 真一(えふしん)氏。好きな言語はJava(使ってないが)。使っているのはRuby on Rails(好みと関係ない)。エディタはEclipse。

あえて就職せずフリーランスでやっていけるか? という問いには,⁠起業するならともかく,一人だとアウトプットが限られる。学生時代からアプリを作って商売しているような人ならアリ」⁠藤川氏⁠⁠,⁠まず企業に入り⁠仕事が回るしくみ⁠を学んだ方がいい」⁠畑氏⁠⁠,⁠私なら未経験の人には仕事を頼まない。社会的信用を得るのも難しい」⁠和田氏)と,やはり未経験で仕事を得る難しさを指摘する声があがりました。

最後に,プログラミング言語以外にエンジニアとして必要な知識は何かという質問には,⁠むしろ言語が知識の一部と思った方が良い,JenkinsなどのCIツールやテストツールの知識などは重要」⁠畑氏⁠⁠,⁠インフラをやってた経験からストレージやファイルシステムの知識」⁠和田氏⁠⁠,⁠今ならクラウドAPIの組み合わせや情報設計(IA)の知識,そして⁠人の心をいかにうまく使う⁠か」⁠藤川氏)とそれぞれ深いお答えが返ってきました。この日のセッションで「プログラミングさえできればエンジニア」という単純なものではないことを,参加者の皆さんも実感したのではないでしょうか?


次回の「エンジニアの未来サミット for students 2012」は年明け1月19日に再びサイボウズ東京本社にて開催されます。講演者はRubyの生みの親,まつもとゆきひろ氏。エンジニア志望の方でなくとも見逃せない講演になることでしょう。

エンジニアの未来サミット for students 2012 http://developer.cybozu.co.jp/tech/?page_id=686

著者プロフィール

小坂浩史

gihyo.jp編集部 所属。最近では電子書籍の制作にも関わる。