レポート

脱IE6を果たしたエンタープライズのWebシステム,そしてHTML5 ~「業務システムエンジニアのためのHTML5勉強会#03」活動報告

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米マイクロソフトは7月25日,⁠Windows7版のIE11開発者プレビュー」のリリースを公表しました。本イベントではこれを記念して,日本のInternet Explorerの戦略を決定するトップである,日本マイクロソフト株式会社Windows本部シニアプロダクトマネージャの内河恵氏に,IE11のプロモーションを行なっていただきました。

また,本イベントのテーマである,業務システムにとって価値の高い,マイクロソフト提供サービス/ツールについても,ご紹介いただきました。

講演のスライドは,スライドはこちらです。

内河氏

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新生Internet Explorer11の登場,Web標準への取り組み

IE11開発者プレビューが公開されたのはここ一週間のことですが,IE11自体は約1ヶ月前に公開されたWindows8.1プレビュー版へ,デフォルトWebブラウザとして搭載されていました。

IE11はタブレットに最適化した作りを目指しており,画面が小さなデバイスでもメニューが画面を専有しません。必要なタイミングで,メニューを画面に表示して利用するような使い方になります。親指でタッチして利用されることにも,配慮されています。

IE11の大きな特徴としては,パフォーマンスの向上が挙げられます。HTML5で追加されたCanvasやCSSアニメーションなどの機能は,WebブラウザのJavaScriptだけでなく,グラフィクス描画の性能も必要になります。HTML5(CanvasやCSS3など)の性能を検証できるベンチマークソフト「PenguinMark」の結果からもわかる通り,Chromeが138に対してIE11が6369と,高いスコアを叩きだしています。またIE11からは,3Dグラフィクス技術であるWebGLにも対応しました。

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マイクロソフトにはかつて,独自拡張によりWebブラウザの不足機能を埋めてきたという過去があります。当時はほんとどがIEだったため,これがあまり問題になることはありませんでした。しかしIEは評判が良くない時期もあり,特に海外では,他のWebブラウザへ乗り換えてしまうことが多くなり,様々な種類のWebブラウザが無視できないようなシェアを握るようになりました。Webブラウザの種類も増えてデバイスも増えて,開発者の負担も増えました。

現在マイクロソフトは原点に立ち戻り,Web標準に準拠することを最優先に掲げ,デベロッパに優しいWebブラウザを作ることを目標に,IEの開発を進めています。

マイクロソフトでは,W3CやECMAなどの規格策定にも関わり,積極的にWeb標準の推進活動を行なっています。彼らと協力し,8,000を超える標準準拠度を計測するテストケースを作成しテストしたところ,IE11は99%という高い準拠度になっていることを確認できました。

Webコンテンツの動作テストの負担については,今年3月から「modern.IE」を開設し,様々な開発を支援するツールを提供することで,デベロッパを支援します。

「検証ウィザード」を使えば,最新版のIEとの互換性や,Webサイトがクロスブラウザに対応しているかを確認することができます。⁠BrowserStack」と呼ばれるサービスを使えば,サイトのスナップショットを表示することもできます。3ヶ月間無料で利用できるようになっていますので,試してみると良いでしょう。また,Windowsに限らず,MacOSなど他のOS環境下でもテストが行える「仮想環境」を提供しており,IE6以降のWebブラウザを複数のOSで動作させ,テストすることができます。

だから,IEは業務システムで使われている。いままでもこれからも

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業務システムでのWebブラウザの利用率は,当社の統計では約75%がIEという状況です。非常に高いシェアと言えます。

おそらくその理由は,充実したサポート体制でしょう。コンシューマ向けではメール・電話・フォーラムでの受付,エンタープライズではPremierサポート(プレミア/有償⁠⁠・エンタープライズサービス(有償コンサル)があります。マイクロソフトであれば誰かが聞いてくれる,文句を言う先があるというのが,強い信頼が得られる理由ではないでしょうか。

旧バージョンに対応しているシステムも多く,最新のWebブラウザに対応できないことも多いと思われます。しかし,リッチなコンテンツ,インタラクティブなコンテンツを実現するためには最新のIEが必要不可欠です。Webブラウザのバージョンアップは行うべきです。

Webは今,IEのみで閲覧されるとは限らない状況となりました。こうした背景の中,マイクロソフトもWebページを,IEに限定して作る必要はないと考えています。むしろ,WebページはIEに限定させた作り込みをするのではなく,様々なWebブラウザで閲覧できるように作ることをマイクロソフトとしても推奨しています。

IEのバグは,⁠Microsoft Connect」から報告できます。すべて英語ですが,片言の英語でも良いので何かしらのフィードバックを返すことで,IEは改善されることでしょう。

――最後に,内河氏は「Web標準にしよう! Get 2 modern Stay modern」と,コンテンツをWeb標準で作成すべきであるとの主張を行い,講演を締めくくりました。

著者プロフィール

川田寛(かわだひろし)

元NTTグループのSE。現在はピクシブ株式会社にて,テクノロジーで世の中のクリエーターをハッピーにする方法を模索しています。「ふろしき」の愛称で,「html5jパフォーマンス部」「日本Cordovaユーザーグループ」といったコミュニティを立ち上げたり,「東京 Web パフォーマンス」というコアなエンジニア向けの勉強会を主催したり,Webの標準化(W3C)の議論にほんの少しだけ横槍を入れてみたり。

Microsoft MVP 2014/2015受賞。HTML5 Experts.jpエキスパート。Developers Summit(翔泳社)ステアリングコミッティー。「Web標準技術ではじめる,Webのパフォーマンス改善(Software Design 2014年5~7月号)」他,多数の技術雑誌への寄稿も行う。