レポート

WordCamp Tokyo 2014速報レポート

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基調講演:アプリケーションプラットフォームとしてのWordPress

午後に入り,今回のWordCampの基調講演「アプリケーションプラットフォームとしてのWordPress」と題した基調講演が行われました。スピーカーはAutomattic社のJoey Kudish氏。通訳には実行委員長の森山さんが務めました。

Automattic社のJoey Kudish氏。「WordPres

Automattic社のJoey Kudish氏。⁠WordPress & the REST API」と題して発表しました

アメリカ西海岸でのWordPressの状況

技術的な話に進む前に,まず,アメリカではWordPressの活用法が現在どうなっているのか?その点から説明を進めました。

すでにWordPress開発者Matt氏はアプリケーションプラットフォームとしてWordPressを活用してるとのことで,実際に調査した結果によれば,2013年の時点ですでに7%がアプリケーションプラットフォームとしてWordPressを利用しているとのことです。

2012年~2013年のWordPressの活用方法の比較

2012年~2013年のWordPressの活用方法の比較

なぜWordPressをアプリケーションプラットフォームとして使うのか?

続いて,⁠なぜWordPressをアプリケーションプラットフォームとして使うのか?」というこのセッションの本質に関して,Joey氏自身の考察をふまえて説明しました。

まず第一に,WordPressをアプリケーションプラットフォームとして使う場合,他のフレームワークや言語と統合できるという点が強みになるとのこと。とくに,HTTPリクエストを使って通信できるJSONフォーマットとなっているため,開発の幅が広がるというのが一番の理由と言えそうです。

また,WordPress自体の使命が「パブリッシングの民主化」であることからも,アプリケーションプラットフォームとしてのWordPressへと進んでいくのは自然な姿なのかもしれません。

WordPressをアプリケーションプラットフォームとして使うための2つの方法

次に技術的な内容に話が展開しました。

WordPressをアプリケーションプラットフォームとして使うためには,次の2つの方法があるというもの。

  • WordPress.com/Jetpack
  • WP-API

1つはJoey氏自身が開発・管理に関わっているWordPress.comのJetpackを利用する方法,もう1つはオープンソースのプロジェクトWP-APIを利用する方法です。WP-APIはもともと学生のプロジェクトだったものという補足もなされました。

Jetpackの特徴

まずは開発に関わっているJetpackに関する解説がなされました。Jetpackの最大の特徴は,多くのメジャーなサービスが使っている点。たとえば,IFTTT,Path,Pocketなど,多くのユーザを抱えているサービスで採用されています。

JetpackのAPIは,当然ですが,WordPress.comやJetpackを入れたブログであれば利用可能で,標準でインストールできるようになっています。また,すべてのリクエストがpublic-api.wordpress.comを介して通信され,さまざまな情報のやりとりが可能となるものです。

この点について「自分のサーバではないところで処理が行われるため,自分のサーバへの負荷がかからないのが強みである一方で,クエリのコントロールや変更ができません」とJetpackのメリット・デメリットを説明しました。

WP-APIとの一番の違いは,認証にOAuth 2.0を使っているそうで,ゴールはwp-adminでできることを,すべてAPI経由でできるようにすることだそうです。

WP-API

次にWP-APIの説明に移りました。

Jetpackと比較すると機能が足りない,事例が少ないなどからコアには入れられていない状況があるとしながらも,現在の開発状況や利用状況を鑑みて,将来的に入れられるようになってほしいとコメントしました。

また,自由にカスタマイズできる点,誰でも自由に使える,完全にRESTfulな操作ができる。といった点はWP-APIとしての強みとも述べています。

オープンソースとしての状況

最後にオープンソースとしての状況について触れました。現在,どちらのAPIもGithub上で開発が進められており,オープンソースとしての開発スタイルは採用しているとのこと。この点について,Joey氏は「⁠⁠私たちが管理しているという点で)JetpackよりWP-APIのほうが開発の自由度が高いと思われていますが,Jetpackもpull-requestは受け付けていますので,ぜひコントリビュートしてください」と,開発者に向けたメッセージを残しました。

WordPressの未来

まとめでは,Jetpack/WP-API,どちらのチームもお互いのAPIを利用できるように開発している点について強調し,とくに開発者にとっては,より簡単に利用し開発できるようにすることが大切としました。

そしてWordPress自体の将来については「もしかしたら将来的にWordPressをすべてJavaScriptで書き換える日が来るかもしれませんね」とコメントし,プレゼンテーションを締めくくりました。

日本で注目を集めはじめた当時は「ブログとしてのWordPress」だったものが,年月が経ち,技術が進化し,環境が変化したことで「アプリケーションプラットフォームとしてのWordPress」の側面が大きくなってきたように思います。この先5年,10年,WordPressがどのように進化していくのか,期待が高まる内容のプレゼンテーションでした。

多数の聴講者が集まった基調講演でした

多数の聴講者が集まった基調講演でした

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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