レポート

第6回 ICTトラブルシューティングコンテスト 運営レポート

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コンテスト本番

そして当日,無事にネットワークは動くのか,サーバーが落ちないか,他にもトラブルが起こらないか,そんな不安を抱いたまま,コンテスト本番を迎えました。コンテストは2日間開催され,競技は両日,それぞれ午前と午後のパートに分けられて行われました。初日はVPNやVLAN ID,MySQL sql_modeやCisco機器のAuxポートに関する問題など,計6問が出題されました。

緊張した様子の選手が次々に入場

緊張した様子の選手が次々に入場

話し合いつつ,問題を解いていく

話し合いつつ,問題を解いていく

手元の環境から分かったことを次々に書き出す。情報共有は非常に重要

手元の環境から分かったことを次々に書き出す。情報共有は非常に重要

どの問題も高難易度なものばかりですが,振り返ってみると,同時に出題された問題が少なかったためか,それとも各チームがうまく分担したためか,1日目の方が得点を稼いだチームが多かったようです。

競技中,協賛企業の方々を対象に行われたNOCツアー

競技中,協賛企業の方々を対象に行われたNOCツアー

また,今回はトラコン初の取り組みとして,前回コンテストの運営委員が表彰対象外のOBチームとして招聘されていました。そのOBチームは会場に入って指定のテーブル前に立つなり,驚いた顔を隠せないでいる様子。それもそのはず,このチームの機器にはLANケーブルが配線されていませんでした。その代わり,コネクタやかしめ工具,未結線のLANケーブルが用意され,席に着くやいなや,落ち着く間もなくケーブルの作成を強いられていました。しかし,さすがは前回の運営経験者,今回の運営委員が想定していたよりも圧倒的に速くケーブルを作成し,結果として1時間のロスがあったにも関わらず,初日時点での暫定順位を3位につけます。

そんな1日目の競技中,張り詰めた空気とは裏腹に,運営委員としてはネットワークにもサーバーにも大きな問題がなく稼働していることに驚きを隠せないでいました。ホットステージ期間に様々なトラブルに直面したCloudStackと,当日の未明まで掛けてデプロイを行っていたVMも問題なく動作し,問題を出題できていました。

運営委員の集まるNOC。この時はまだ平和だったことが表情からも見て取れる

運営委員の集まるNOC。この時はまだ平和だったことが表情からも見て取れる

競技中もコンテストサイトには改善が加えられていった

競技中もコンテストサイトには改善が加えられていった

そして奇跡的に特に大きなトラブルもないまま1日目の競技時間が終了し,参加者や運営委員,スポンサーの方々を交えた懇談会が行われました。ただ一方では,そんな和気藹々とした懇談会のさなかも,出題を諦めかけていた翌日の問題をどうにかして出題すべく,コンテスト会場に残って問題の検証を行っていた運営委員もいました。

懇親会。運営も参加者も隔たり無く交流が行われた

懇親会。運営も参加者も隔たり無く交流が行われた

そして迎えた2日目,本コンテストで最高難易度のIP Phoneに関する問題をはじめとして,IPv6/v4の混合問題,HSTS,PathMTUなどに関する問題を含む,計9問が出題されました。

IP Phoneのパケットキャプチャをしつつ,運営委員と通話を試みる様子

IP Phoneのパケットキャプチャをしつつ,運営委員と通話を試みる様子

特に,2日目の午後は午前から通しで出題されている問題に加え,新たに5問が追加され,どこから手を付けるべきか,苦悶されたチームも多いかもしれません。しかし,混乱していたのは参加者だけではありません。トラブルがなかった前日と対照的に,サーバーやコンテストサイトなど,各所でトラブルが発生し,運営委員もトラブルシューティングを行いつつ,参加者から飛んでくる質問への応対に追われることとなります。

様々な問題に対処を行いながらもなんとか2日目の競技も終了し,協賛企業の方々によるセミナータイムの裏で,運営委員による採点作業や表彰式の準備などが行われました。

競技を終え,表彰を前に緊張した様子の選手たち

競技を終え,表彰を前に緊張した様子の選手たち

最終的な上位3チームの結果は,優勝「IP Factory(情報科学専門学校)⁠219点,2位「WCDI(日本工学院八王子専門学校)⁠175点,3位「kstm(信州大学)⁠131点となりました。改めまして,おめでとうございます。また,1日目はLANケーブルの作成から行っていたOBチーム「traITors」は,結果としては1位とわずか8点差に迫る211点となりました。特に2日目単体の得点では首位となり,技術力の高さを見せつける結果となりました。ちなみに,今回のコンテストの満点は430点でした。つまり優勝チームですら半分を取るのがやっとといった難易度に,流石の運営もにこれは難しすぎるのでは……と反省した次第です。たぶん次回は改善されるのではないかと思われます……。

今回コンテストに参加した,全選手と運営委員

今回コンテストに参加した,全選手と運営委員

最後に

トラコンに限らず,ナンバリング系のイベントは開催数と難易度が比例すると言われます。第6回である今回のコンテストは,問題の難易度が過去最高(という噂)であったため,各チームとも苦戦を強いられる結果となったのではないかと思われます。

1位のチームである「IP Factory」の皆さんも表彰式で,⁠Slackを活用して密にコミュニケーションを取っていた」と言っていたように,改めてチームで戦うコンテストであると感じることができました。

今回の運営でも,合宿の開催や,Slack,Wikiの積極的な活用など,コミュニケーション・情報の共有を密に取るための基盤を重視していました。Wikiには150近いページが作成され,Slackでは,最終的に63個のPublic Channelが立ち,約48,400個のメッセージが交わされ,積極的な議論が行われました。

そして,コンテストの運営には,それを支えていただける実行委員・企業の方々のサポートも必要不可欠です。今回は史上最多となる,12社の会社の方々にスポンサーとなっていただき,その他にも様々な会社から機材の提供やネットワーク接続のご提供をいただきました。改めて,この場をお借りして御礼申し上げます。

次回2017年3月4日,5日に開催される第7回トラコン(ICTSC7)では,また新たな運営委員が挑戦と成長の日々を送るかと思われます。この記事を読まれたトラブルシューティングコンテストに選手として参加してみたいと思った方,運営委員として一緒に作ってみたいと思った学生の方は是非一緒にコンテストを作り上げてみませんか?

著者プロフィール

岸本涼(きしもとりょう)

大阪情報コンピュータ専門学校 総合情報メディア学科 4年 / ICTSC6 運営委員 リーダー
小さい頃からゲームが大好きでネトゲからITの世界に入る。プログラミングしたりサーバ・ネットワークのインフラに触れるのが好き。CentOS愛好家。

GitHub:https://github.com/suzutan


田中京介(たなかきょうすけ)

1996年生まれ / 電気通信大学 情報理工学部 情報・通信工学科2年 / MMA 所属 / ICTSC6 運営委員 副リーダー
サーバー、ネットワーク問わず様々な技術・事柄に興味があり、それらを広く深く学ぶことが趣味。好きなOSは FreeBSD。

Web:https://monora.me/
Github:https://github.com/kyontan