レポート

真の差別化を生むための決め手とは? 「AWS Summit Tokyo 2017」基調講演3日目レポート

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さまざまなレイヤ/分野で活用されるAWS

2人目のゲストスピーカーはNTT東日本 ビジネス開発本部 副本部長の中村 浩氏です。同社は社内ネットワークとAWS等のパブリッククラウドを超高速回線で直結して社内利用していましたが,これをフレッツ等の同社顧客に提供する「CloudGateway」というサービスを2016年から始めました。クラウド直結のためインターネットに入らずセキュリティが保たれ,安定した通信速度が期待できます。従量制のため利用時間によっては専用線よりもコストが抑えられ,NTTユーザなら事前工事なしですぐ使えるのも特長。Anmazonが社内で利用していたインフラをAWSとして提供したのと似た構図とのこと。

「CloudGatewayにより,日本がAWSに最も近い国になります」と語る中村氏

「CloudGatewayにより,日本がAWSに最も近い国になります」と語る中村氏

AWS Lambdaや2016年末の「re:Invent」で発表されたX-Rayといった新機能をわかりやすく紹介しているWerner氏ですが,このイベントでの新発表としてAmazon DynamoDB Accelerator(DAX)のプレビュー提供が開始となりました。これは文字通りDynamoDBのinメモリキャッシュを強化してクエリ応答のパフォーマンスを引き上げるサービスで,NoSQLの高速処理をさらに磨きあげ大量データに対応した者といえます。

Amazon DynamoDB Accelerator(DAX)とは?

Amazon DynamoDB Accelerator(DAX)とは?

3人目のスピーカーはソニーモバイルコミュニケーションズ 取締役の川西 泉氏。同社はスマートフォンXperiaシリーズで知られていますが,近年スマートフォンを中心にしたスマートホームサービスを手がけており,その基盤としてAWS IoTを利用しています。AWS IoTにより,クライアント認証でデバイスとセキュアに通信できたり,AWS IoTの特徴的な機能であるDevice Shadowを使って通信が切れたデバイスとの同期を簡単に取ることができるようになったとメリットを強調していました。

ソニーモバイルコミュニケーションズ 川西氏

ソニーモバイルコミュニケーションズ  川西氏

壇上に戻ったWerner氏,今度はデータベース利用でよく言われる「ベンダーロックイン」の話です。従来の商用データベースでは,最大の利用キャパシティを考慮して,通常利用数より余分にライセンスを買わざるを得ませんでした(Werner氏は「懲罰的ライセンス」と呼んでいました⁠⁠。これを嫌ったユーザはオープンソースへの移行を考えます。オープンソースのデータベースで一貫した可用性,信頼性,そしてコストを考慮するとAWSは大きなメリットを持ちます。AWSオリジナルのDBエンジンであるAmazon AuroraはMySQL互換のエンジンでしたが,このほどPostgreSQL互換タイプのエンジンがプレビューで利用できるようになりました。PostgreSQLの方が移行がより用意であるとWerner氏は言います。

ここで紹介された4人目のゲストスピーカーはグリーのCTO,藤本 真樹氏です。冒頭から同社の業績が2013年ごろから下降したお話です。この2四半期で回復基調となっていますが,それまでの4年ほどはさまざまな試行錯誤がありました。その中にはうまく行ったこと,行かなかったことがもちろんあります。うまく行った施策の1つが,同社がオンプレミスで運用していた数千台のサーバをAWSに移行したことでした。

「まず決める。そしてやり通す」が座右の銘という藤本氏。ラクス様のセリフですね。

「まず決める。そしてやり通す」が座右の銘という藤本氏。ラクス様のセリフですね。

対象のサービスは20以上あったそうですが,約1年で移行を完了,計画開始から準備期間を含めても2年で移行できたと言います。移行は3段階で行われ,まずDirect ConnectでオンプレミスとAWSをL3で接続し,サーバのレプリケーション,並行書き込みでレプリカを構築,そしてマイグレートという手順です。もちろん細かいAWSのサービスは数多く利用していますが,キーとなったのはDirect Connectだそうで,これがないと実現できなかったと言います。

まとめとして,技術を選択するときは未来を予測するのと同じ難しさがある,決め手はないのがだ1つだけ上げるとしたら「速いかどうか」という点だと述べました。決断のポイントは人それぞれですが,ぶれない決め手を持つのはリーダーの要件ですね。

速さは裏切らない

速さは裏切らない

これから企業が成長するための条件とは?

ゲストの退場後,最後にWerner氏は「企業はこれからイノベータたるべき」と説きました。GE(General Electric)を例に挙げ,家電製品の製造業であったGEはその後ソフトウェア産業,そしてクラウドを活用したサービスに乗り出し,浮き沈みの激しい業界で安定した業績を上げています。このように自分たちを再定義しながら進化できる組織でないと,今後の存続は厳しいと警鐘を鳴らします。⁠以前はFortune 150に入っている企業が生き残っている平均年数は60年くらいでしたが今は平均15年。2025年には今ある企業はほとんど生き残れないということです」⁠Werner氏⁠⁠。では生き残るために何が必要か? ⁠継続的に競争に自分を晒していくしかない」⁠Werner氏⁠⁠。

今日はビルドを始めるのに良い日だ

今日はビルドを始めるのに良い日だ

そして「AWSは2016年も1,000以上のサービスアップデートを行ってきた。これかも皆さんが求めるものを提供し続けていきます。No better time!(いまが絶好のタイミング⁠⁠」と来場者にメッセージを送りキーノートを締めました。

キーノート後にスピーカー全員が集合して記念撮影会がありました。この日は出番のなかったAWSジャパン社長の長崎 忠雄氏(右端)も揃って笑顔で。

キーノート後にスピーカー全員が集合して記念撮影会がありました。この日は出番のなかったAWSジャパン社長の長崎 忠雄氏(右端)も揃って笑顔で。

著者プロフィール

小坂浩史

gihyo.jp編集部 所属。最近では電子書籍の制作にも関わる。