レポート

OSSライセンスMeetup Vol.2「実録:GPL違反とその対応を振り返る」参加レポート

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ディスカッション

小笠原徳彦さん(左)と宮田晃佳さん(右)

小笠原徳彦さん(左)と宮田晃佳さん(右)

イベントの後半は小笠原さんをモデレータに講演者の宮田さんを交えてのディスカッションです参考資料⁠。小笠原さんは OpenPrinting Japan のメンバーで,宮田さんとはそのときからのご縁とのこと。 前回のMeetupと同様,最初に参加者の属性や興味などを挙手で確認から始まりました。また,アイスブレイクとして隣の人と話をする時間を設けて,発言(質問)しやすい雰囲気を作るなど場作りはとても良かったと思います。

ディスカッションで会場から出された質問と回答,会場での議論をいくつかピックアップしておきます。

Q:一番最初にリリースしたドライバはGPL違反したままなので,ソースを公開してほしいと言われなかったのか?
A:言われてはいない。指摘をされただけ。
Q:今回の話は古い話だけど,今のGPL v3とかAGPLになった場合の知見はあるか?
A:GPL v3の公開が予定されていることは認識していたので,v3のプレビューもしていた。
Q:改定後のライセンスに条件付きGPLになっている。これはGPLの総本山であるFSF的には嬉しくないはずだと思うが,FSFはそれを称賛していたのはなぜか?
A:厳格さを求めてドライバの公開を中止されるとLinuxがデスクトップとしての使い勝手が落ちることになるのをFSFが危惧していた。また,この件以外にも行ってきていたOSSへの貢献を評価してもらえた。
Q:Contributor License Agreement(CLA)をどうするか?
A:その内容は厳密な契約書を交わすようなものから,READMEに書くレベルのものまで,さまざま。法的拘束力を重視するとコントリビューションの敷居が上がるし,落とし所が難しいが,法務部門と協議してバランスをとるしかない。
Q:AGPLの伝播性:importしたときはサーバサイドのソースも含める?
A:(質問への直接の答えではないが)関連した話題として,JSのminifyやconcat時におけるGPLv3の扱いについて,GNUがJavaScriptの罠という文書を出している。日本語訳は古くなってしまっているので誰か翻訳をしてほしい。

参加者からの質問が非常に活発で,上記以外にも他にもたくさんの質問や意見が出されていました。OSSライセンスはみなさん気になっているけど聞いたり議論したりできる場があまりないということもあるのでしょうが,どの質疑も非常に考えさせられるものでした。

懇親会

この会の懇親会はソフトドリンクやスナック菓子を片手に参加者同士,あるいは発表者らとざっくばらんに語らう形で行われています。今回のMeetupの内容についてはもちろんのこと,日頃感じているOSSライセンスやその取り扱いについての疑問や問題点を,参加者と講演者が話をするという形式です。今回は多くの参加者が知っている事例についての内容だったこともあり,身近な話題として,多くの方々が熱心に話をされていました。

あとがき

今回は前回より時間が少し長くなっていたのですが,それでも本当にあっという間の2時間半でした。毎回のことですが,皆さんの熱気には本当に圧倒されました。

前回も思ったのですが,ライセンスについてはきちんと勉強しておかないと駄目だなと思いました。 技術者は法律の専門家ではないのでライセンス違反かどうかを判断することはできないのですが,少なくとも

  • 何をしてはいけないか
  • もし違反したときにどういう対応を考えなければいけないか

は認識しておく必要があると思います。

OSSを使ったシステム/アプリケーション開発は,今や当たり前になってきていますので,これは決して他人事ではありません。今回挙がった2002年ごろとは比べ物にならないほどソフトウェア開発はOSSに依存した形で行われており,きちんとした理解と使い方をしていないと,いつか自分がライセンス違反を問われる可能性もあります。

もちろん,不必要に怖がって「OSSを使わない!」なんて選択をしたほうが良いなんてことはありません。正しく知って正しく使う。これが大事だし,もっと言えばOSSを利用するのではなくOSSと共存するという考え方が大事なんじゃないかな,と思いました。

最後になりましたが,講演者,スタッフ,参加者の皆様,ありがとうございました!

著者プロフィール

Kunihisa Abukawa

今は無所属のソフトエンジニア。さまざまな勉強会の情報発信を通じて,今とは違う世界もあるということをすべてのエンジニアに届けたいと活動中。

Twitter:@kabukawa