レポート

Sansan Innovation Project 2019開催――イノベーションのインパクトとその先にある未来を展望した2日間

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企業間のつながりを可視化する「Dawn of Innovation」

今回のイベントは,セッション以外にも展示やミニセッションが行われていた。その中から,Sansan株式会社が開発したインスタレーション「Dawn of Innovation」⁠開発:Sansan株式会社,制作協力:株式会社Qosmo,Habitech, Inc.)を紹介する。

企業間のつながりを可視化したデータビジュアライゼーション

「Dawn of Innovation」⁠画像提供:Sansan株式会社)

企業間のつながりを可視化したデータビジュアライゼーション「Dawn of Innovation」

⁠Dawn of Innovation」は,企業間のつながりを可視化したデータビジュアライゼーション。同社が取り組む,名刺を軸とした企業間および企業内外の社員同士のつながり,さまざまなデータの分析を行い,それらのコミュニケーションを可視化したもの。

企業間のつながりを可視化し,イノベーションの卵を見つける

開発を行ったのは,Sansanデータ統括部門DSOC(Data Strategy & Operation Center)で,今回のイベントのテーマでもある「イノベーション」について,企業間の潜在的なつながりとイノベーションの相関を導き出すべく,データビジュアライゼーションという形で可視化するに至った。

具体的には「タイムラインモード」⁠インタラクティブモード」の2つのモードが用意されている。⁠タイムラインモード」では,データ分析により特定した「イノベーションにつながるビジネスの出会い」をビジュアルとサウンドで表現する。⁠インタラクティブモード」は,コントローラを用いることで可視化したビジュアライゼーション空間内のズームイン/ズームアウトが行え,ビジネスネットワークや業界などの属性ごとの名刺交換の動きを視覚的に捉えることができる。

2004年以降,日本国内にソーシャルネットワークが登場し浸透した結果,人と人のつながりを可視化する,いわゆるソーシャルグラフに着目したサービスやプロダクトが登場してきた。今回の「Dawn of Innovation」は,企業版ソーシャルグラフとも言えるもので,企業間のつながりが持つ意味・価値を可視化することに加えて,⁠イノベーション」という事象に対して,それらのつながりがどのような影響や相関関係を持っているかを分析する取り組みだ。今回はトライアルの位置付けで展示されていたが,今後,さらにさまざまなデータの利用を行っていくことで,データ分析の観点からイノベーションを生み出すヒントが見つかるかもしれない。

※⁠⁠Dawn of Innovation」の制作・分析にあたっては,同社のサービスEight内のデータのうち,個人を匿名化し,Eightの利用規約で許諾されている範囲でデータを使用している。

Sansan株式会社ブランドコミュニケーション部ブランドクリエイター山脇直人氏(左)と,今回の「Dawn of Innovation」に関わった同社DSOC R&D Group 担当研究員 西田貴紀氏(右)

Sansan株式会社ブランドコミュニケーション部ブランドクリエイター山脇直人氏(左)と,今回の「Dawn of Innovation」に関わった同社DSOC

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以上,Sansan Innovation Project 2019の模様から,キーノートやセッションをピックアップしてお届けした。

2日間を通じて,ビジネスの世界においても,⁠市場」「経済」の観点だけではなく,⁠技術」をきちんと把握し,理解することは欠かせない時代になったことを裏付けする発表や展示が数多く観られた。たとえば,Sansanが扱う「名刺」という日本のビジネスシーンには欠かせないツール1つとっても,ただ交換するだけではなく,交換したあとに名刺の情報を蓄積し,蓄積した情報,各種データと最新の技術を組み合わせることで,より高い価値を生み出せることが初日のキーノートから理解できた。

名刺の例に限らず,個々人の情報,身の回りにあるさまざまなデバイスやセンサを通じ,10年前とは比べ物にならないほどのデータが集計されている今だからこそ,そのデータをきちんと集計,分析し,それぞれのビジネス領域にどのように役立てていくべきかが大切と言えるだろう。次の10年に向けたイノベーションを生み出すために,今の技術を理解すること,技術により入手できる情報を集計・分析していくこと,何よりそれら技術やデータを社会実装につなげていくことの重要性が理解できた2日間となった。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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