レポート

エンジニアフレンドリーシティ福岡フェスティバル イベントレポート~リモートワーク,AR,DX……2020年の重要トピックが福岡に集結した2日間

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ヌーラボの国内外エンジニアが語り合う,多拠点のメリットと働きやすさ

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【登壇者】

橋本正徳氏(株式会社ヌーラボ 代表取締役)
派遣プログラマーとして働いた後,2004年に福岡で株式会社ヌーラボを設立。福岡のIT・クリエイティブコミュニティのキーマンの一人。

Gabriele Vaccari氏(Nulab B.V. Senior Software Engineer)
株式会社ヌーラボのアムステルダムオフィスで勤務するエンジニア。

Soo Hian氏(Nulab Asia Community Manager)
株式会社ヌーラボのシンガポールオフィスで勤務するエンジニア。

岩上拓矢氏(株式会社ヌーラボ ソフトウェアエンジニア)
株式会社ヌーラボのエンジニア。社内のリモートワーク制度を活用し,熊本で生活している。

2004年に設立し,これまでに4つのサービスをリリースしてきた株式会社ヌーラボ。東京,シンガポール,ニューヨーク,アムステルダムにオフィスを持ち,さまざまな国籍のエンジニアが在籍しています。今回は,それぞれの国での働きやすさや,多拠点間でのコミュニケーションについて代表の橋本正徳氏と3人のエンジニアが語り合いました。

まずは,コロナ禍での働き方について。Hian氏は「シンガポールは外出制限があり,自由が失われたと感じている。一方で,3月から在宅勤務を始めたところ,通勤時間がなくなり,作業にすんなり入れるようになりました⁠⁠。アムステルダムのオフィスに在籍しているVaccari氏は「オフィスの機器が使いやすかったのでやや不便に感じていることはあるが,家族と昼食が取れるようになったのは嬉しい」とメリットとデメリットの両方に触れて話しました。

また,自身が暮らしている国はエンジニアが働きやすいのか,という質問について。Hian氏は「シンガポールはインフラが整っていて,平和な国。グローバル企業も多いこともありエンジニアの需要は非常に高く,人気のある職業です。コロナの封じ込めにも貢献できましたし,やりがいを感じています」とコメントしました。

Vaccari氏は「アムステルダムは,ヨーロッパの中で非常に大きな技術的ハブ。技術コミュニティも栄えています。私はイタリア出身ですが,英語が堪能かつ親切な人が多く,政府のサポートも厚いので暮らしやすいです」とそれぞれの国の状況を紹介しました。

また,福岡本社から熊本オフィスに移った岩上氏は,⁠コロナの流行が嫌で,より小さい都市に行きたかった。ヌーラボは元々多くの拠点を持っていて,遠隔対応などフレキシブルな働き方のノウハウがあるので働きやすいです」と,話しました。

続いてのテーマは,福岡に対する印象。福岡に来たことがあるというHian氏,Vaccar両氏は、それぞれ「街を歩いてみて,住むのに良い都市だと思いました」⁠昨年一週間ほど滞在したときは,桜が咲いていて花見を楽しむ人を多く見ました。安全で良い街という印象です」と,好印象を抱いていると語りました。

岩上氏は「福岡はユニークで規模の大きな都市。大きなスタートアップも多く,エンジニアにとって大きな機会があると思います。コンパクトなので都会の騒々しさが苦手な人におすすめです」と,日本のなかで福岡がどのような場所かを説明しました。また,橋本氏は「福岡のエンジニアが集まり,知識交換ができる場所」としてエンジニアカフェを紹介。エンジニアが働きやすい環境づくりに力を入れていることを紹介しました。

最後のテーマは,異なる国の人たちと働く利点や価値について。岩上氏は「素晴らしいインスピレーションやアイデアに触れられることです。非常に大きな良い経験を得られています⁠⁠,橋本氏は「私たちはグローバル企業として同じような状況の人たちのツールを開発する必要があります。多様性を持ち,さまざまな特性に対応できるもの。それができれば,みんなの人生がよりカラフルになっていくはずです」と締めくくりました。

参加人数3,000人のコミュニティ代表が語る,「情報発信」の重要性

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【登壇者】
スピーカー:

高須正和氏(ニコ技深圳コミュニティ 共同創業者/スイッチサイエンス 国際事業開発)
イノベーション黎明期から中国・深圳に興味を持ち,ニコ技深圳観察会などを発足。深圳を拠点に世界の様々なメーカーフェアに参加し,パートナーを開拓している。

聞き手:

鈴谷瑞樹氏(エンジニアカフェ コミュニティマネージャー)

今や世界有数の先進的なイノベーション都市となっている深圳。まだ,注目が集まっていない時期から,自主的に視察を重ね,確かな知識と実感のこもった発信を行ってきたのがニコ技深圳観察会です。2014~2019年で8回の視察を実施し,2015年には「英語圏含めて,もっとも詳細な深圳のイノベーションの発信」という評価を受けています。現在ではFacebookのコミュニティ参加人数が3,000人超と巨大なコミュニティになりました。代表の高須氏は自身の活動の軸について,次のように語りました。

「おもしろさは自分だけでは見つけられません。私が大事にしてきたのは,⁠情報を発信すること⁠⁠。自分以外の人が興味を持ってくれることで,初めて自分自身がおもしろさに気づけるんです。それから大切なのは,⁠自分たちにしかわからない希少なおもしろさがあり,かつ10年ぐらいでもっと大衆性を持ち得るもの⁠に目をつけること。掘り下げたいことを,行動と知識を以て誠実に向き合っていけばコミュニティはつくれます」

また,今後は,コミュニティになりえること,事業化できること,自分の能力を発揮できることの3つの要素を満たす活動を行っていきたいと展望を示しました。

コミュニティ活動をキャリア形成に直結させる3つの軸

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【登壇者】
スピーカー:

鈴木順子氏(GitHub Japan Enterprise Support Engineer)
日系企業でサーバーサイドエンジニアとして勤務後,Githubの日本オフィス立ち上げに伴いジョイン。現在は,Github Enterpriseのサポートを行なっている。

GitHubでエンジニアとして働く鈴木順子氏が語ったのは,社内・社外コミュニティに参画する際に自身が重要視していること。

知識,経験,人脈の3つの軸の中で何を大切にしているか,今得たいものは何かを考えていると話し,⁠社内では3つの軸をすべて重視しています。一方で,外部コミュニティは経験,具体的には登壇に絞っています。家族に小さい子どもがいるから遠くに行って一日かけて勉強するというのは難しい。登壇は,準備の段階で自分の知識が整理されますし,得るものが多いんです。日にちが決まっていて,ある程度の強制力があるのも私の性格に合っていると感じています」と自身を取り巻く環境や,キャリアのフェーズに合わせたコミュニティ参画について説明しました。

また,自身のキャリアについて「元々,日本の企業で働いていましたが,ワークショップにメンターとして参加したことがきっかけになってGithubにジョインしました。知識はもちろんですが,人脈や場も大事です。会社では,様々なバックグラウンドを持っている人が働いています。違いを尊重しながら,国や文化,人種にかかわらずGithubを一緒に開発してより良いものを作る環境を大切にしていきたいです」と締めくくりました。

コミュニティ活動は通常業務にどう活かせるのか

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【登壇者】

山銅章太氏(GitHub Japan Regional Director)
GitHub Japan日本地域代表。GitHubのオンラインイベントなどにも多く登壇。

1日に400の新規アカウントが作られるプラットフォーム,GitHubにおける,オープンソースコミュニティとの関わりについてディレクター視点で話しました。

山銅氏の感じるオープンソースコミュニティの良さは,既存スキルの向上やキャリアの成長に役立つようなソースコードを使ったソフトウェアなどを成果物として公開できること。

また,⁠何よりの利点は,人と一緒に何かをやる『ピープルスキル』を学べること。エンジニアにとって技術はもちろん大事ですが,開発などは人とやることが非常に多い。コミュニケーションの取り方や役割分担,複数人のマネジメント管理など,コミュニティでは多くのことが学べますし,それらのスキルは企業でも絶対に役に立ちます」と締めくくりました。

福岡でいち早く5G回線を体験

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1日目のセッション終了後,エンジニアカフェでコミュニティマネージャーの鈴谷瑞樹氏による5G回線体験会が行われました。エンジニアカフェでは2020年10月から,福岡市内ではいち早く5Gエリア化が始まっています。

体験会では,5Gの基本知識やエンジニアカフェで貸出している端末(Google Pixel 5,iPhone 12 Pro Max,有線LAN接続可能ルーター,業務用の8K360度カメラなど)を紹介。実際に,容量の大きい映像などを再生し,スピード感をアピールしました。

著者プロフィール

立野由利子(たてのゆりこ)

東京でオウンドメディアやカルチャー誌の編集,ライターを経験後,2020年より福岡に拠点を移す。現在フリーで活動中。人物インタビューや店舗,イベント取材をメインに幅広いジャンルの執筆,編集などを行っています。

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