書籍『ピタゴラスの定理でわかる相対性理論』の補講

第7回 不思議な波動,移動縞

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位相速度と群速度,その数学的扱い方

ここからは,専門用語を使った数学としての記述です。サラリと数学的な手続きを読んでください。無理して理解しようとしないでください。

光や弦の波動方程式は次ような形をしていました。

ここで時間微分を-iωとします。空間微分をikとします。つまり形式的に,次の置き換えをすることを意味します。

iは虚数単位, ωは波動の角周波数,kは波動の波数(2πあたりの波の数)です。時間の2階微分それぞれ

になります。

このような置き換えを波動方程式に代入して得られる代数式を,特性方程式と呼びます。

そして特性方程式から,ω/kを計算したものが位相速度で,微分dω/dkを計算したものが群速度です。

すると光や弦の波動方程式の場合は,次ようになります。

これより

となり,位相速度は

となるのです。ここで,プラスマイナスの符号が現われることが重要です。これはx軸にそって双方向に伝播する可能性を示すからです。

前回は,実際問題として一方の伝播を阻止するために,終端抵抗(terminator)というものを置くことを説明しました。

式(7)を>kで微分すると

となり,群速度と位相速度は同じです。

相対性理論では,何気なく光の速度とか光速と言っていたのは,本来は位相速度でしたが,同時に群速度でもありました。

ちなみに,電子は,波動と粒子の両方の性質をもつということがよく言われるのですが,その場合には,位相速度と群速度には違いがあります。それについては参考文献(1)に詳しく解説してありますので参考にしてください。

移動縞の波動方程式

では,次のような微分方程式で特徴づけら得る波動を調べてみましょう。

これに,式(2)(3)の関係を適用すると次式が得られます。

これより

を得て,両辺をkで微分すると

つまり

となります。

このように,群速度と位相速度は,大きさが同じで逆方向になります。

群は,波束とも呼ばれ,エネルギーを伝播します。ですから発信源から進行します。