理系なおねえさんはアリですか?―内田麻理香が聞いた理系な女性の理系な人生―

第6回 勉強嫌いがパワーの原点 女医 中村あやさん

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理系頭は「大人気ないお父さん」のおかげ?!

数学が苦手と言いながらもきちんと克服できたのは,素地がしっかりしているに違いない!聞くところによると,その理系頭の素地は,お父様のユニークな教育法によって形成されたようで…

――小さい頃の思い出で,理系へのきっかけみたいなのはあります?

中村「あんまりそういうのがないんですよね。弟は昔から理系な感じですけど」

――弟さんはエンジニアでしたっけ。

中村「はい,バリバリの理系です。昔からものづくりも好きでしたし。でも私は違いましたね。内田さんみたいに実験が好きだったわけでもなく,どちらかといえば嫌いで。結果がわかってるのになんで再現しないといけないの,っていう気持ちがあって」

――予定調和的なことが苦手だったんですね。

中村「結果が出ていることをわざわざやるのがめんどくさかったんですよね。自由研究も最終日に母親に泣きついて完成させてました」

――その場でやっつけで(笑⁠⁠。

中村「はい。勉強も大嫌いだったから全然しませんでした。算数はできたから理系かなとは思ってましたけど。物理は担任の先生の教え方がすごく上手だったから好きになれたんです」

――あの先生は教え方がお上手でしたよね。つくづく思うんですけど,先生あるいは親の影響って大きいですよね。

中村「そうだ,うちは父親がすごく理系なんですよ。小学校のとき一緒にお風呂に入ると色々なことを教えてくれてましたね。小学校3年生の頃にルートの出し方を教えてくれたりとか」

――ええー!小3で?

中村「3×3=9っていうのはその頃もう知っている。9のルートが3なんだよ,じゃあ5のルートはどうやって出すかわかる?っていう感じで。内容はもう忘れてしまいましたが,こうやって計算したら出せるんだよ,って手計算で教えてくれました」

――素敵なお父さんですね。その影響は絶対ありますよ。

中村「1から100までの足し算をしよう,とか。お父さんは絶対勝てるぞ!いやいや私のそろばんのほうが早い!ヨーイドン!……で,大人だから数列使うじゃないですか」

――数列使っちゃうんですね(笑)大人なのに大人げない(笑⁠⁠。

中村「そう,今思うと大人げなく(笑⁠⁠。で,お父さんすごい,魔法使いみたい!私のそろばんより早い人がいたなんて!!となる。それで数列の出し方を教えてもらったりとか。生活の中でちょこちょこ算数的なことは教えてもらってましたね」

――すごく教え方がうまいですね。普通,子ども相手だったらわざと負けたふりしそうですが。

中村「大人げないんですよ。今日だって孫と算数カードをやるのに本気出して。うちの子,意気消沈しちゃって」

――まさに素敵な⁠理系くん⁠ですね。でも,家庭の中にそういう何気ない「理系のタネ」が少しずつ散りばめられていることって,すごく大事だと思います。

中村「あと,幼稚園のときからお小遣い制でした。小さい頃から自分でお金を管理していたから,簡単に頭の中に算数が入ったのかもしれないですね。10-9より,100円-90円のほうがわかりやすいじゃないですか。100円で●円と▲円のお菓子をいくつずつ買う,とかも。現実社会での計算の必要性を小さいときから身につけておくことは大事ですよ」

現実世界での計算の必要性。科学への入り口は,案外身近なところに転がっているものです。中村さんのお父様はもしかしてご存知だった?!

現実世界での計算の必要性。科学への入り口は,案外身近なところに転がっているものです。中村さんのお父様はもしかしてご存知だった?!

著者プロフィール

内田麻理香(うちだまりか)

サイエンスコミュニケーター。東京大学工学部広報室特任研究員/東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程1年。身近な科学を伝えるために各種媒体で活動中。

URLhttp://www.kasoken.com/