FreeBSD Daily Topics

2009年2月19日≪注目≫すべてのアーキテクチャでUSB2スタックがデフォルトへ、usbconfig(8)でアクセス制御をする方法

heads-up

USB2 now default

current - すべてのアーキテクチャにおいてGENERICカーネルのUSBスタックがUSB2スタックへ切り替わりました。USB2になることで従来よりも高速なUSB通信が可能になるほか、ロック関連の処理もまとめて改善されることになります。新しくビルドしたカーネルではUSB2スタックが使われるため、古いUSB1のカーネルモジュールを読み込んで使うといったことはできなくなります。

USB2にした場合、hald(8)のプロセッサ占有率が100%になるという問題がありましたが、これについてはhald(8)側に回避処理を追加(sysutils/hal/files/patch-hald_freebsd_hf-usb.c)することで問題が解決されました。/dev/usbが存在するかチェックし、存在する場合にはUSBサポートの初期化を行わないようになっています。hald(8)の占有率が100%になるようであれば最新のPorts Collectionにアップデートしてhald(8)を更新してみてください。

tisp

How to change USB2 access - usbconfig(8)

current - USB2スタックにおけるデバイスアクセスは従来からあるUNIXのファイルシステムセマンティックスだけではありません。USBの仕組み上より細かいアクセス制御を提供する必要があるためさらに細かい制御機能が追加されています。たとえば印刷処理を実施するために/dev/ulpt0のパーミッションを次のように設定してあるとします。

/dev/ulpt0の利用を全面的に開放していても…
# ls -l /dev/ulpt0
crwxrwxrwx  1 root  operator    0, 162  2 14 14:35 /dev/ulpt0
#

この場合でも、⁠Unable to open device file "/dev/ulpt0": Operation not permitted」のようなメッセージが出力され操作できないことがあります。これはUSB2が個別にアクセス権限を設定しているためです。

USB2が設定しているアクセス権限は次のようにusbconfig(8)コマンドを引数なしで実行することで確認できます。

usbconfig(8)を引数なしで実行してアクセス設定を確認
# usbconfig 
ugen0.1: <EHCI root HUB ATI> at usbus0, cfg=0 md=HOST spd=HIGH (480Mbps) pwr=ON
ugen1.1: <EHCI root HUB ATI> at usbus1, cfg=0 md=HOST spd=HIGH (480Mbps) pwr=ON
ugen2.1: <OHCI root HUB ATI> at usbus2, cfg=0 md=HOST spd=FULL (12Mbps) pwr=ON
ugen3.1: <OHCI root HUB ATI> at usbus3, cfg=0 md=HOST spd=FULL (12Mbps) pwr=ON
ugen4.1: <OHCI root HUB ATI> at usbus4, cfg=0 md=HOST spd=FULL (12Mbps) pwr=ON
ugen5.1: <OHCI root HUB ATI> at usbus5, cfg=0 md=HOST spd=FULL (12Mbps) pwr=ON
ugen6.1: <OHCI root HUB ATI> at usbus6, cfg=0 md=HOST spd=FULL (12Mbps) pwr=ON
ugen0.2: <xxxx> at usbus0, cfg=0 md=HOST spd=HIGH (480Mbps) pwr=SAVE
ugen0.3: <xxxx> at usbus0, cfg=0 md=HOST spd=LOW (1.5Mbps) pwr=ON
ugen2.2: <xxxx> at usbus2, cfg=0 md=HOST spd=LOW (1.5Mbps) pwr=ON
ugen3.2: <xxxx> at usbus3, cfg=0 md=HOST spd=LOW (1.5Mbps) pwr=ON
ugen0.4: <MP370 Series Canon Inc.> at usbus0, cfg=0 md=HOST spd=HIGH (480Mbps) p
wr=ON

(snip)
#

次のようにusbconfig(8)コマンドを使ってアクセス設定を変更できるようになります。

usbconfig(8)コマンドでUSBデバイスのアクセスを制御
# usbconfig -u 0 -a 4 dump_access
Global Access: root:operator 0660
ugen0.4: <MP370 Series Canon Inc.> at usbus0, cfg=0 md=HOST spd=HIGH (480Mbps) pwr=ON

  Device Access: <not set>
    Interface 0 Access: root:operator 0644
    Interface 1 Access: <not set>
    Interface 2 Access: <not set>

# usbconfig -u 0 -a 4 set_perm 0666
# usbconfig -u 0 -a 4 dump_access
Global Access: root:operator 0660
ugen0.4: <MP370 Series Canon Inc.> at usbus0, cfg=0 md=HOST spd=HIGH (480Mbps) pwr=ON

  Device Access: root:wheel 0666
    Interface 0 Access: root:operator 0644
    Interface 1 Access: <not set>
    Interface 2 Access: <not set>
#

GENERICカーネルのデフォルトUSBスタックが従来のスタックからUSB2(USB4BSD)へ切り替わったことで、このアクセス設定に気がつかずにアクセスできないといった問題報告が増えることになるのではないかと見られます。USB2以降で/dev/のデバイスファイルを/etc/devfs.confで設定しているにもかかわらず使えないといった場合、usbconfig(8)コマンドでより細かいアクセス制御を実施してみてください。

USB2が長らくFreeBSDカーネルでデフォルト機能にならなかった原因の1つがこのUSBスタック内におけるアクセス制御の問題です。今後も現状のままいくのか、UNIXファイルシステムセマンティックスに合うように変更が加えられているのかはわかりませんが、当面はusbconfig(8)コマンドを使う必要があることは間違いのないところでだとみられます。

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