FreeBSD Daily Topics
2013年3月11日 FreeBSD,マルチコアで性能向上パッチ登場
src
- Unmapped I/
O FreeBSD開発者であるJeff Roberson氏およびKonstantin Belousov氏がマルチコア/メニーコアシステムにおけるFreeBSDの動作性能を向上させるパッチを開発し,
試験的に公開をはじめました。http:// people. freebsd. org/~kib/ misc/ unmapped. 13. patchで公開されています。4コアという, 現在ではすでに古いマルチコアプロセッサですら, UFSにおけるファイル読み込みにおいて, システム時間が30%短縮したと報告されています。 FreeBSDは大規模SMPシステムにおいてパフォーマンス改善の余地が残されていることが知られています。VMIOバッファの作成と削除のタイミングで,
すべてのコアに対してTLBを無効にする必要があるのですが, ここが性能のボトルネックになっています。 TLBの無効化はプロセッサ間割り込みブロードキャストを送信することで実行されます。割り込みを受けたコアはコアごとに実行パスが中断され,
それだけリクエストの遅延が生じます。I/ O要求処理はデータを保持するためにカーネル内にバッファを要求しますので, コアの多いマシンになればなるほど, TLBの無効化はI/ Oスケーラビリティのボトルネックになります。 この無効化のやり取りの中で,
ユーザモードとカーネルページキャッシュの間でデータの往復コピーが発生するのですが, マッピングされたこれらデータが使われることはほとんどなく, つまり無駄な処理が発生していることになります。この処理を高速化するテクニックはすでに存在しており (amd64ならダイレクトマップなど), 今回公開されたパッチは, このテクニックを整理した形でまとめたものです。 マルチコア/メニーコアシステムを活用したビッグデータ処理,
HPCなどの必要性があるなか, FreeBSDの処理性能が向上することは価値があります。これらパッチは最終的にFreeBSD 10. 0-RELEASEに取り込まれることになるとみられます。FreeBSD 10. 0-RELEASEは今までよりもHPCやビッグデータ処理に向いたプラットフォームになるものと見られます。
バックナンバー
FreeBSD Daily Topics
- 2013年3月29日 ARMデバイスでX.org対応,Raspberry Piも
- 2013年3月28日 FreeNAS 8.3.1登場,ボリューム暗号化
- 2013年3月27日 FreeBSD 8.4-BETA1登場
- 2013年3月26日 カスタムFreeBSD LiveUSBイメージを作る方法 - FreeBSD勉強会
- 2013年3月13日 FreeBSD pf(4),マルチコアに対応
- 2013年3月12日 non-rootシステムインストール
- 2013年3月11日 FreeBSD,マルチコアで性能向上パッチ登場
- 2013年3月8日 FreeBSD,UEFIブート対応へ
- 2013年3月4日 PC-BSD 9.1,はじめてのローリングリリースISO登場
- 2013年3月1日 ARM対応スーパーページ開発プロジェクト発表