FreeBSD Daily Topics

2013年9月3日 ケンブリッジFreeBSD DevSummitまとめ

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devsummit

FreeBSD Developer Summit @ University of Cambridge Computer Laboratory Cambridge

2013年8月24~28日(英国時間)にかけて,英国のケンブリッジ大学コンピュータラボラトリにおいてFreeBSD Developer Summitが開催されました。

ここ数年,毎年夏にケンブリッジ大学でFreeBSD DevSummitが開催されるようになりました。いつごろからだったか覚えていないのですが,このサミットは「BSDCam」と表記されるようになりました(カナダで開催される*BSD国際会議「BSDCan」と文字が似ているので注意)⁠

ケンブリッジ大学コンピュータラボラトリ

ケンブリッジ大学コンピュータラボラトリ

BSDCamでの取り組みを知ることは,FreeBSD 10.0-RELEASEやFreeBSD 11で登場することになるであろう機能や取り組みを知る上で効果的です。ここではBSDCam 2013から特に興味深いトピックを紹介します。

BSDCamへようこそ

BSDCamへようこそ

LLVM Clang / LLDB

FreeBSD 10.0-RELEASEはシステムのデフォルトコンパイラがLLVM Clangに切り替わるバージョンになります。カーネルとユーザランドのLLVM Clang対応は完了していて,現在はPorts Collectionからアプリケーションをビルドする段階でのLLVM Clang対応を進めている状況にあります。

そしてもう1つ注目されるのが,LLDBの移植が進められている点にあります。現在は「移植された」といった段階で,まだまだ作業すべきことが残されています。順調に作業が進めばFreeBSD 10.0-RELEASEまでにはカーネルデバッグも含めてLLDBでデバッグが可能になるものとみられます。FreeBSDの現在のGDBはバージョンが古く,LLDBへの以降はマルチスレッドに関する機能強化やより細かいブレークポイントの指定が可能であるなど,開発者に多くの利益をもたらします。

Networking

FreeBSDが最も力を入れて開発を進めている機能がネットワークまわりの実装ですが,現在もいくつかの取り組みが進められています。201308DevSummit / Networkingに概要がまとまっています。

Newcons

新しいコンソールの開発が進められています。現在のコンソールは1999年に導入されたもので,基本的にASCII文字しか扱うことができませんが,新しいコンソールではコンソールレベルでUTF-8をサポートすることになります。カーネルの内部から直接メッセージの描画ができるようになる見通しで(KMS)⁠Xorgとコンソールの切り替えもよりシームレスになる見通しです。

Embedded

FreeBSD 10-CURRENTベースのヘッドマウントディスプレイ向けオペレーティングシステム「Viking OS」に関する話は2013年8月28日付けのFreeBSD Daily Topicsにまとめましたのでそちらをご覧いただきたいのですが,この取り組みは現在の組み込み機器におけるひとつの流れを表しています。最近特に組み込み機器へFreeBSDを採用する動きが増えている背景に,Intelプロセッサが組み込み向けでも十分に消費電力やダウンサイジングの面で実用的になってきたということがあります。

こうした動きは今後も増えるものと見られます。FreeBSDはARM,MIPS,PowerPCへの対応を強めていますが,組み込み機器でIntelプロセッサが利用できるようになり,今後も豊富なラインナップが期待できそうとなると,組み込みにおけるFreeBSDの採用シーンはさらに広がることになりそうです。

Viking OS発表の様子

Viking OS発表の様子

OCaml, Objective-C and Smalltalk in the FreeBSD kernel

研究開発色の強い取り組みですが,これも1つの方向性を示すものとして興味深いものです。詳しくは資料をご覧いただきたいのですが,Ocamlの実行環境をカーネルモジュール内部に内包させ,カーネル内部でこれら言語ベースで開発されたコードを実行するという内容になっています。

カーネルにはデフォルトカーネルを使用し,カーネルモジュールを使うことで機能を変更する,機能を追加する,といった取り組みが今後は増えるのではないかと考えられます。そうすることでfreebsd-update(8)を使ってバイナリアップデートしつつ,独自の機能を有効にするといったことができるからです。

科学技術博物館

科学技術博物館

FreeBSD DevSummitではソーシャルイベントが併設されることが多く,これまで実施されたソーシャルイベントでは科学技術博物館に行くことが多かったように思います。今回も科学技術博物館観覧がソーシャルイベントでした。ソーシャルイベントの後はだいたいビールを楽しみます。

[FreeBSD Weekly Topics Digital Editionのご紹介(GDP:Gihyo Digital Publishing,Kindle:Amazon Kindleストア)]
  • FreeBSDを1,000台管理する方法(1)⁠管理ネットワークの構築と運用 GDP / Kindle
  • FreeBSDを1,000台管理する方法(2)⁠time(1)でソフトウェアの中身を調べる GDP / Kindle
  • FreeBSDを1,000台管理する方法(3)⁠実行中のプロセスの情報を知る GDP / Kindle
  • FreeBSDを1,000台管理する方法(4)⁠top(1)で実行中のシステムの情報を知る GDP / Kindle
  • FreeBSDを1,000台管理する方法(5)⁠iostat(8)でディスク性能とシステム負荷を調べる GDP / Kindle
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