Linux Daily Topics

2011年5月17日CentOS 6.0は本当にリリースされるのか?─メイン開発者の離脱が意味するメッセージ

Red Hat Enterprise LinuxのクローンOSとして、ホスティング事業者やクラウドサービス事業者の間で高い人気を誇るCentOSだが、どうも最近、様子がおかしい。昨年11月にRed HatがリリースしたRHEL 6.0を受け、本来ならとっくにCentOS 6.0がリリースされていなければならないのに、一向にその気配がない。そんな中、CentOSの主力開発者であるDag Wieers氏がプロジェクトからの離脱を表明した。いったいCentOSはどうなってしまうのだろうか。

Dag Wieers氏は5月5日付の自身のブログで、⁠コアチームのメンバーたちは、提題として上がっている問題(CentOS 6.0のことか?)を無視し、巧妙なごまかしで話題をそらし、個人攻撃を行って議論をあいまいにしている」と強いトーンで開発メンバーを批判、CentOS 5.6のリリース(4月)まではなんとか頑張ってきたが、もう開発にかかわる意味がないとして、⁠So I am out.(だから出て行くよ⁠⁠」と三行半に近い形でCentOSに別れを告げている。

Wieers氏はなぜここまでCentOSに失望してしまったのか。ブログに寄せられたコメントへの返答を見ると、どうもWieers氏はCentOS開発メンバーが「エンタープライズLinuxプロダクトにかかわっているという自覚が足りない」ことに、自身との温度差を感じていたようだ。

RHEL 6.0がリリースされてからすでに半年以上が経過しているにもかかわらず、CentOSからユーザに対して何のアナウンスもない。遅れているという言い訳すらない。エンタープライズで使われるソリューションが提供側から半年以上もアナウンスがないなんて、プロプライエタリな製品であれば考えられないことだ。

またオープンソースプロジェクトでありながら、CentOSの開発メンバーが非常に閉鎖的であることもWieers氏は非難している。たしかにCentOS 6.0の進捗状況が聞こえてこないだけでなく、CentOS 5.6に関しても、その発表はユーザにとって突然の感があった。オープンソースコミュニティとしても、エンタープライズクラスのプロジェクトとしても、どちらも中途半端になってしまっていることに、Wieers氏は忸怩たる思いを抱いていたのだろう。

ではCentOS 6.0のリリースがいつになるかわからない以上、RHELクローンをOSSで入手するのは難しいのかというと、そうでもないらしい。Wieers氏はScientific Linuxがおすすめ。あそこはもう6.0ベースのバージョンをリリースしているし、なによりコミュニティがオープンだから」とScientific Linuxへの乗り換えを推奨している。Scientific Linuxは米フェルミ国立加速器研究所が開発したRHELクローン。世界中の大学や研究機関で多く使われてきたが、最近になってCentOSのオルタナティブとして注目を集めつつある。

はたしてCentOSはこのままWhite Boxのように忘れられた存在へとなってしまうのだろうか。少なくともRHEL 6.1が出る前に、CentOS 6.0に関して何らかのアナウンスを行ってほしいものである。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧