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2013年3月1日これが日常? Linusまた怒髪天、Windows 8のセキュアブートをめぐってRed Hatデベロッパに下ネタ口撃

Linus TorvaldsがLinuxカーネルメーリングリスト(lkml.org)で、誰か特定のデベロッパを激しく罵倒している話題を本コーナーでも何度か紹介してきたが、最近では"F*CK"を連発する程度なら平常運転くらいに感じていた。だが、今回はまさかの下ネタ攻撃でRed Hatデベロッパを罵倒、Linux界隈でちょっとしたニュースに発展している。

コトの発端はRed HatのデベロッパであるDavid Howells氏が2月21日、メーリングリスト上で「Windows 8のセキュアブートモードに対応するため、カーネルにMicrosoft署名済みのバイナリキーを動的に追加してほしい」とLinusに要請したところから始まる。このキーにはMicrosoftが署名した".keylist"と呼ばれるEFI-PEのバイナリが含まれており、このキーを含んだX.509パーサをカーネルコードに埋め込んでほしいと依頼したのだ。

当然ながらLinusはこのプルリクエストに対し「アホ抜かせ(fucking moronic⁠⁠」と一蹴した。バイナリをソースに埋め込むなんて、Linusが首を縦に振るわけがなく、この時点では誰もが平常運転に感じていた。⁠いまのX.509パーサだって気に入らないのに、これ以上、事態を悪化させる気か⁠

LKML: Linus Torvalds: Thu, 21 Feb 2013 08:39:55 -0800

ところがこのLinusの態度に、Howells氏と同じRed HatのデベロッパでUEFIのエキスパートであるMatthew Garrett氏がほんの少し、反抗した。⁠ちょっとしたPEバイナリに、ちょっと(Microsoftの)署名がしてあるだけじゃないか」と。そしてこの言葉にLinusはブチ切れた。

LKML: Linus Torvalds: Thu, 21 Feb 2013 08:58:45 -0800

さすがにXXXの部分は日本語にするのがためらわれるが、要はMicrosoftに"ご奉仕する"ならRed Hatだけでやれ、カーネル開発を巻き込むな、という感じだろうか。⁠なんでこの僕が、そんなこと気にしなきゃいけないわけ? PEバイナリにサインするだけだって? 何バカみたいな話してんだよ、なんでカーネルがそんなことに関わらないといけないんだよ」と苛立ちを隠そうとしない。

Windows 8のセキュアブート機能は、LinuxとWindowsのデュアルブートを妨げる存在としてかねてからLinuxディストロ開発者たちは懸念を表明していた。とくにGarret氏は以前から「Microsoftと協議して署名済みのPEバイナリを導入するしか方法はない」と主張している。

ただし、Linusの暴言はともかく、Garret氏やRed Hatの主張を「シリアスに捉えすぎなのでは」と指摘するメンテナーは少なくない。かのGKHことGreg Kroah-Hartman氏も「Microsoftはこれまで何度もLinuxを支配しようとしたけど、すべて失敗に終わっている」とコメントしている。

LinusがLinxuカーネルのトップでありつづけるかぎり、セキュアブートのためのバイナリがカーネルに書き込まれることはない。だがおそらく、そのことをがっかりするLinuxユーザは少数派ではないだろうか。むしろ「付加的な機能はモジュールで提供すべき」とずっと言い続けているLinusが、それほど売れていないWindows 8搭載PCでLinuxを動かすために、たとえ小さくてもソースコードが開示されないバイナリを組み込むなんてことを許可したら、それこそ「どうしたLinus!?」と言われかねない。このくらいの口の悪さなら、平常運転の範囲内といったところだろう。ただ、下ネタは記事にしにくいのが困るところだが。

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