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2014年2月14日問題の核心はinitにあらず ─Ubuntuの孤立

2月8日、Debianのテクニカルコミッティはひとつの決断を下した。チェアマンのBdale Garbee氏が開発者メーリングリストに投稿した内容によれば、Debianのデフォルトのinitシステムとしてsystemdを採用することが決定した。投稿を見ると、委員の間ではsystemd派とUpstart派に分かれて白熱した議論が展開されたらしい。最初の投票結果は4票対4票、まったく五分の戦いだったが、結果としてGarbee氏の後押しが影響しsystemdに落ち着いた。

call for votes on default Linux init system for jessie --debian-ctte

現在のLinuxディストリビューション開発では、initにsystemdを採用する流れが強く、Fedora/Red Hat、openSUSEなども最新バージョンではsystemdを選んでいる。これに対し、UpstartはUbuntuのデフォルトinitである。Debianをベースにするディストロとしては最大規模のユーザ数をもつUbuntuがUpstartなら、Debianもそれに倣ったほうがいいのではないかという意見も少なくなかったという。だが結果として、DebianはUbuntuではなくLinux全体のトレンドに従ったことが伺える。

世界で最も多くのユーザを獲得しているはずのLinuxディストリビューションでありながら、Linux関係者のUbuntuに対する目はかなりきびしい。その理由としては、開発リーダーのMark Shuttleworthの独善的な振る舞いやCanonicalのやや残念感漂うビジネスセンスをきらう開発者が多いことに加え、Linuxのトレンドを無視した独自の機能強化が目立つことが挙げられる。GNOMEから離れてデフォルトのデスクトップ環境をUnityにしたり、そのディスプレイサーバをX.orgではなくMirにすると宣言したり、クラウドファンディングでUbuntu Phoneの開発費用を集めようとして大コケしたり…など、およそ"王道"のオープンソース開発、ディストロ開発とはかけ離れた行動が少なくない。そしてそれらの"異端"に見える行動は、Ubuntu/Canonicalのビジネスを大成功に導いているわけでもなく、さらにはLinux全体の進化にもほとんど貢献していない。Debianのsystemd採用は、Ubuntuをますます微妙な立ち位置へと押しやろうとしているのかもしれない。

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