Linuxディストリビューションとしては最古参に近いこともあり、Debianがサポートするハードウェアアーキテクチャは幅広く、かなり古いプロダクトもカバーされていることが多い。だが、さすがにいつまでも古すぎるアーキテクチャのメンテナンスを続けるわけにもいかなくなるのは仕方ないところ。
5月7日(英国時間)、Debianプロジェクトに所属するカーネルデベロッパのベン・ハッチングス(Ben Hutchings)氏は「Debian i386 architecture now requires a 686-class processor(Debian i386アーキテクチャは686クラスのプロセッサが必要になる)」と題した投稿をDebian開発者向けメーリングリストにポストしている。686クラスとはIntel Pentium II以降、もしくはそれに相当するCPUを指す。
- Debian i386 architecture now requires a 686-class processor
Debianは現在、次のリリースとなる「Debian 9 "stretch"」に向けての開発がスタートしているが、昨年の時点ですでにstretchではi386アーキテクチャから586クラス(Intel Pentuim相当)のプロセッササポートを外す決定がなされている。具体的には以下のような旧世代のアーキテクチャがサポート対象外となる。
- AMD K5、K6、K6-2(K6 3D)、K6-3
- DM&P/SiS Vortex86、Vortex86SX
- Cyrix III、MediaGX、MediaGXm
- IDT Winchip C6、Winchip 2
- Intel Pentium、Pentium with MMX
- Rise mP6
- VIA C3 'Samuel 2'、C3 'Ezra'
なお、2015年12月にアップロードされたLinux 4.3ベースのカーネルパッケージ(unstableバージョン)でもこれらのプロセッサをターゲットとすることはできないので注意が必要だ。
もっともロングタイムサポートを掲げる現在のDebian 8 "jessie"では、少なくとも2018年まではこれらのプロセッサもサポートされる。もし2018年以降もi386がjessieに含まれている状況であれば、サポート期間は2020年まで伸びるという。歴史あるプロジェクトほど、古いアーキテクチャを完全に切り離すのはなかなかに難しいようだ。