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2016年7月11日32ビットよ、さようなら ―i386アーキテクチャを捨てる時期に入ったLinux

32ビットサポートはもう時間のムダだ―ここ1、2年、メジャーなLinuxディストリビューションの開発者たちからこういう声を聞く機会は日ごとに増えてきた。そして、Linuxが本格的にi386系32ビットプロセッサに見切りをつけるその日は、着々と近づいているようだ。

6月28日(世界標準時⁠⁠、Ubuntuデベロッパのディミトリ・レドコフ(Dimitri Ledkov)がUbuntu開発者メーリングリストに投稿した「Ubuntu 18.04 LTSにおけるi386のインストレーションメディアとサポートについて」という内容がLinux界隈でちょっとした話題となった。

「32ビットの開発はタダではない」―レドコフはすでに主流ではなくなってから久しい(そしてもう主流に戻ることはない)32ビットハードウェアのサポートがいかに開発チーム(テスト、QA、バリデーション、etc.)に多大な負荷をもたらしているかを強調し、少なくとも次のUbuntuのLTS(ロングタイムサポート)版であるUbuntu 18.04までには、カーネルやクラウドイメージ、デスクトップ/サーバ双方のISOイメージなどの開発を中止状態にすべきだとしている。そして徐々にi386に"ゆっくりとした死"をもたしつつ、2018年10月リリース予定のUbuntu 18.10では「完全にi386アーキテクチャのサポートをやめ、レガシーアプリケーションはコンテナやバーチャルマシン上でのみ動く状態」とすることを推奨している。

Installation Media and supportability of i386 in 18.04 LTS Re: Ubuntu Desktop on i386

もっとも、仮にUbuntu 18.10でi386のサポートが終了しても、少なくとも2021年4月まではi386アーキテクチャのセキュリティアップデートは続けられ、2023年4月まではレガシーアプリケーションのセキュリティサポートが可能となっている。したがって現在利用中の32ビットUbuntuが急に使えなくなるという事態が発生することは当面ない。しかし、ChromeやDockerなど主要なアプリケーションが64ビットのみのサポートを掲げている以上、Ubuntuにかぎらずメジャーディストリビューションがすこしずつ32ビットアーキテクチから離れる傾向にあることはたしかだ。最近では2020年をゴールに据えたIT業界の予測が語られることが少なくないが、i386の死期はそれよりも早く訪れつつあるのかもしれない。

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