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2017年2月23日商標問題をクリア! DebianメールクライアントをIcedoveからふたたびThunderbirdへ

クラウドやモバイルが一般的になり、デスクトップ向けのクライアントソフトウェアの需要が激減してから久しい。メールクライアントソフトも同様で、全盛期に比べるとその種類もユーザ数も右肩下がりの一方である。それもLinuxデスクトップ向けとなれば、なおさら使えるメールクライアントは限られてくる。

そうした中にあって、Linuxでも使える数少ないメーラが「Mozilla Thunderbird」である。Mozilla Foundationが提供するオープンソースのメールクライアントとして多くのディストリビューションにパッケージングされているThunderbirdだが、ことDebianにおいてはやや事情が異なってくる。

Debian ProjectはDebian 4.0 "etch"から、Mozillaが提供するThunderbirdではなく、Thunderbirdからフォークした「Icedove」をパッケージに含めている。もともとはDebianにもThunderbirdが入っていたのだが、2006年、Mozillaは「FirefoxやThunderの名称を使うなら、Mozillaによる公式のロゴとアートワークを使用せよ。また、ソースコードの変更を行う場合はMozillaにその理由と差分パッチを提出せよ」といった新たな使用条件を通達した。Debian側はこれを受け入れられないとしてFirefoxとともにThunderbirdの商標を使わないことを選択、以降、メールクライアントとしてThunderbirdと内容はほぼ同じではあるが、Debian自身がメンテナンスするIcedoveがパッケージングされている。なおFirefoxも同様の理由でDebianには含まれておらず、⁠Iceweasel」という名称のソフトが使われている。

以来、約10年に渡ってDebianのメールクライアントとして提供されてきたIcedoveだが、ここにきて大きな変化があらわれた。2月15日、Debian開発者のChristoph GoehreはDebian開発者向けのメーリングリストにおいて、メールクライアントをIcedoveからThunderbirdに戻すことを明らかにしている。

De-Branding of Icedove, reintroducing Thunderbird packages into Debian

実は2012年ごろからMozillaとDebianの間でこの件に関する話し合いは何度かもたれており、2016年にはMoziila内部のIceweal開発者から「MoziilaのライセンスはDebianの開発/提供方針と矛盾しないかたちに変更されている」という報告がされている。これらの交渉を経て、ブラウザに関してはすでにIceweaselからFirefoxに変更されているが、Thunderbirdも1年遅れでようやくDebianに復帰となったわけである。

Goerhreはメーリングリストにおいて、IcedoveからThunderbirdへの変更に伴う影響やバグをチェックするためのテスターを募集している。順調に行けば次のリリースであるDebian 9 "Stretch"ではFirefoxと一緒にThunderbirdのロゴをデスクトップ上で見ることができそうだ。

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