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2018年1月22日Meltdown/Spectreの影響は大きく… Linus、Linux 4.15のリリースを1週間延期しRC9を公開

「僕は本当に、本当に今日(1/21⁠⁠、4.15をリリースしたかった。でも僕を十分に満足させるほど、コトは落ち着かなかった(I really really wanted to just release 4.15 today, but things haven't calmed down enough for me to feel comfy about it⁠⁠」―Linus Torvaldsは1月21日(米国時間⁠⁠、Linuxカーネル開発者向けのメーリングリスト「LKML.org」において「*Not* final 4.15 this weekend(今週末は4.15の最終リリースならず⁠⁠」と題した投稿をポスト、21日に予定されていたLinux 4.15の正式リリースを延期し、かわりに9本目のリリース候補(RC)版となるLinux 4.15-rc9の公開を発表した。

*Not* final 4.15 this weekend : Linus Torvalds

正式リリースの遅れの原因は、年始から騒動が続いているIntel CPUの脆弱性問題「Meltdown」および「Spectre」の対応が完了していないことにほかならない。Linuxカーネルは通常、1リリースあたり7~8週間程度の開発期間を経て公開される。したがって9本のRC版、つまり9週間を超える開発期間を要することはこれまでもほとんどなかった。Linusは「これまでRC9を出したことはあった。しかし、それらはごくごくまれなケースだった」とコメントしており、たとえば2011年10月のLinux 3.1は最終的に10本のRC版が出たが、これはKernel.orgがハッキングでダウンするというインシデントに起因する遅れであり、今回のようなCPUのバグ問題に対応するためではなかった。

カーネルリリースのタイミングを機能ではなく、ほぼ7週間という期限にもとづいて公開するようになって以来、ハードウェアのバグに由来するリリースの大幅な遅延は起こっていない。それだけに「これ以上の遅れが生じないことを、僕は本当に期待している(I really expect no more delays after this.⁠⁠」というLinusのいつもより抑えたコメントに、今回の騒動に心底うんざりしている様子がうかがえる。

今回のRC8リリースにより、Linux 4.15の正式公開は1月28日(米国時間)となる見込みだ。なお、すでにLinux 4.16のプルリクエストをLinus宛に送っているメンバーに対してLinusは「歓迎する(I appreciate it.⁠⁠」とコメントとしており、自身の作業はまだ開始していないものの、Linux 4.15をリリースしだい、すぐに次の開発に移れる姿勢を整えているようだ。

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