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2020年10月13日Linux 5.9がリリース―RDNA 2のイニシャルサポート、Zstdによるカーネル圧縮など

Linus Torvaldsは10月11日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 5.9」の公開を発表した。通常よりも1週間長い8回のリリース候補(RC)版を経ての公開となる。

Linux 5.9 -Linus Torvalds

Linux 5.9の主なアップデート内容は以下の通り。

  • AMDの次世代GPUアーキテクチャ「RDNA 2」を実装したグラフィックカード「Radeon RX 6000」⁠Sienna Cichild / Navy Founder)をイニシャルサポート
  • 匿名メモリ(anonymous memory: バッキングストアをもたないメモリ領域)の管理が変更 …新規に作成された匿名メモリは最初に非アクティブリストに置かれ、リファレンスされてからアクティブリストに移動する
  • メモリcgroup間でのslab共有を許可するコントローラ(slab cgroup controller⁠⁠ …slabの利用効率を45%向上させ、メモリの断片化を抑制
  • プロアクティブなメモリコンパクション …4Kバイト以上のHugePageのアロケーションが自動でトリガ可能に
  • 複数のファイルディスクリプタ(またはすべてのファイルディスクリプタ)を効率的にクローズするBSD由来のシステムコール「close_range()」
  • 接続を要求するパケットに対し適切なソケットをルックアップするBPFの新機能「BPF_PROG_TYPE_SK_LOOKUP」
  • Linux 3.14からサポートするデッドラインスケジューラを、ヘテロジニアス構成のプラットフォーム(ARMの省電力技術big.Little実装のCPUコアなど)でも機能するように改善
  • Intel開発の命令セット「FSGSBASE」をサポート、FS/GSセグメントへのダイレクトアクセスが可能に
  • Facebook開発者のパッチをベースにしたZstdによるカーネルの圧縮 …高い圧縮率と高速な解凍を実現

LinusはLinux 5.9の公開とともに次期カーネル「Linux 5.10」のマージウィンドウをオープン、プルリクエストの受け付けを開始している。

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