Ubuntu Weekly Topics

2008年9月12日号Intrepid Alpha 5のリリース、Dell Inspiron Mini 9、Jaunty JackalopeとUDSの告知

Intrepid Alpha 5がリリースされました

9月5日にUbuntuの次期バージョン⁠Intrepid Ibex⁠のテスト版であるAlpha 5のリリースがアナウンスされました。今回明らかになった変更点は以下のとおりです。

  • GNOMEが開発版である2.23.91ベースとなりました。この開発版では、数多くの機能が実装されています。例えばファイル・マネージャであるNautilusはタブ表示が可能になり、サイドバーに表示されるリムーバブルドライブには「アンマウント」アイコンが付くようになりました。また、ゴミ箱からファイルを「元に戻す」機能も実装されています。正式版であるGNOME 2.24は9月24日にリリースされる予定です。Intrepidでもベータ版までには正式版のGNOMEが利用できるようになるでしょう。
  • 先週や先々週もお伝えしましたが、Intrepidで採用されるLinuxカーネルのバージョンが、予定を変更して2.6.27ベースとなりました。従来よりもテスト期間が短くなるため、より積極的なテストが求められています。
  • GRUBに⁠Last successful boot⁠なるオプションが表示されるようになりました。Intrepidでは、⁠最後にうまく起動できたカーネル」を記録しておき、⁠Last successful boot⁠を選択した場合はその記録されたカーネルで起動します。これによりパッケージマネージャは、安全に「不要な」古いカーネルパッケージを削除できるようになります。
  • DKMS (Dynamic Kernel Module Support)が正式にサポートされます。DKMSを使えば、カーネルのバージョンアップが行われても、サードパーティのドライバをそれに合わせてリビルドを行うことが可能になります。

また、Kubuntuの変更点は以下のとおりです。

  • KDEがリリースされたばかりの4.1.1ベースになりました。
  • パッケージマネージャであるAdeptが刷新され、3.0のベータ1が採用されています。
  • update-notifier-kdeパッケージが導入され、Ubuntuと同様にFirefoxやシステムの再起動要求も表示されるようになりました。
  • ハードウェアがサポートされていれば、KWinのデスクトップ効果が初期状態から有効になります。
  • サウンドミキサであるKMixは、キーボードに搭載されているマルチメディアボタンを使って音量などを調節できるようになりました。
  • NetworkManagerの0.7にあわせて、KDEのフロントエンドであるKNetworkManagerもアップデートされています。
  • その他、GDebiKDE(debパッケージインストーラ)やJockey-KDE(ハードウェア・ドライバ⁠⁠、Language Selector Qt(言語サポート⁠⁠、software-properties-kde(ソフトウェア・ソース⁠⁠、system-config-printer-kdeなども、KDE4ベースに置き換わっています。

ISOイメージのダウンロードについては、上記アナウンスをご覧ください。Edubuntu、Xubuntuなども同様にAlpha 5がリリースされています。

なお、Alpha 5はその名のとおりアルファ版であり、一般的に使用することは想定されていません。あくまでUbuntuの開発のために使用してください。すでに VirtualBoxで起動できない、GNOMEの終了ボタンで終了できないなど、さまざまな不具合が報告されています。

Ubuntu搭載のミニノートPCが日本でも発売されます

9月5日にDellから、Ubuntu搭載のミニノートPCであるInspiron Mini 9が発表されましたプレスリリース⁠。欧米のみだったこれまでとは異なり、今回は日本でもUbuntu搭載モデルが販売されます。Ubuntu搭載モデルでは、通常のデスクトップ版UbuntuにDell独自のアプリケーションランチャを追加した⁠Dellカスタマイズ版⁠がインストールされています。すでにオンラインで注文可能ですが、製造開始は9月下旬になるとのことです。

なお、モバイル系ニュースサイトであるLaptopmag.comでは、さっそくInspiron Mini 9のレビュー記事と、Dellカスタマイズ版Ubuntuの使用動画を掲載しています。

また、Dellは同社のビジネス向けブランドであるVostroシリーズに、Ubuntuも選択可能な新興国向けモデル4機種を追加することも発表しています

9.04の開発コード名は“Jaunty Jackalope”になります

現在開発中のIntrepid IbexがFeatureFreezeを迎えたことにより、Intrepidの次の2009年4月にリリースされる予定の9.04の開発コード名が⁠Jaunty Jackalope(軽快なツノウサギ)⁠になると、マーク・シャトルワースによって発表されました。Jackalope(ツノウサギ)はウサギの体に鹿の角を持った想像上の生き物で、Jauntyの目標を象徴する存在として選ばれました(Wikipediaの英語版ドイツ語版に想像図があります⁠⁠。

Jaunty Jackalopeに対してシャトルワースは、いくつかの目標が掲げています。まず一つ目は「ツノウサギが⁠捕まえることができない⁠くらいすばしっこい」ように、起動・終了時間を短縮することです。もう一つは「ツノウサギがウサギでもあり鹿でもある」ように、デスクトップアプリケーションとウェブの境界をなくした⁠weblication⁠をより現実化することです。また、これまで開発者が個々に行ってきたソースパッケージの管理を、分散型リビジョン管理システムであるBazaarを使い、Launchpad上で行うことも目標としています。

上記の目標やJauntyで実装すべき機能についての詳しいことは、12月8日から5日間、カリフォルニアのMountain Viewで開催されるUbuntu Developer Summitで議論されます。またUDSでは、実装すべきアイデア、Canonicalからの旅費補助を受けたい参加者、UDS運営のボランティアスタッフなども募集しています

Ubuntu Weekly Newsletter #107が発行されました

9月8日に、Ubuntu Weekly Newsletter #107が発行されました。

コミュニティニュース

前述のAlpha 5がリリースされた話、先週お伝えしたhelp.ubuntu.comの新しいテーマの話に加えて、以下の内容などが紹介されています。

  • 9月3日にKDE 4.1.1がリリースされました。それにあわせて、Kubuntu 8.04でもPPA経由でKDE 4.1.1をインストールできるようになっています。
  • さまざまなパッケージ管理システムのフロントエンドとして動作する、PackageKitがIntrepidでバージョンアップされたため、テストが求められています。
  • いくつかの主要なパッケージの不具合報告の統計情報を表示してくれる、Package Status Pagesが公開されました。

その他のニュース

インターネット上でUbuntuに言及する記事として、以下の記事が紹介されています。

  • BBCの編集者であるGary Parkinsonが自身のラップトップをXandrosからUbuntuに変えたときの顛末を記す、BBCの記事
  • なぜRed Hatは一般向けデスクトップOSの市場から撤退し、Ubuntuはその市場で成功できるかどうかを考察する、TechNewsWorldの記事
  • 初心者向けのUbuntu解説本である⁠Ubuntu for Non-Geeks⁠を紹介する、Linux.comの書評

フォーラムニュース

今週のチュートリアルでは、任天堂のゲーム機Wiiのリモコンを、Ubuntu上でマウスやポインタとして利用する方法が紹介されています。PC側にBluetoothアダプタと、マウスとして使うならセンサーバーのような赤外線源さえあれば、いくつかのパッケージをインストールし、設定するだけでWiiリモコンをマウスやポインタ、ゲームパッドとして使うことができます。

今週のセキュリティアップデート

9月3日から9月9日までに、下記のセキュリティアップデートが行われました。

9月4日
9月9日

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