Ubuntu Weekly Topics

2009年6月19日号 9.10のFeature Definition Freeze,Hundred Papercutsプロジェクト,UWN#146,Firefox・Apache・Tomcatのセキュリティアップデート

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

9.10関連

Feature Definition Freeze(仕様の確定のデッドライン)を目前に控えているため注1),多くの動きと議論が巻き起こっています。その一端としては,Foundations Teamの議題にまでなった注2Mono関連の議論注3など,開発の本質とはあまり関係ないものや,現状では結論が出ていないものも存在しますが,興味深い動きをピックアップして紹介します。

なお,毎回のことですが,駆け込みで仕様をFixするケースが多いため,現状では9.10の全貌は確定していません。実際には,Specがフリーズされた後にも「駆け込み」が発生することもありますし,逆に「品質が担保できないので次の次まで延期」という判断が下されることもあります。とはいえ,Feature Definition Freezeの時点で,「最大限実現されること」は確定するはずです。

注1
時差を考慮すると,「今日」が〆切です。
注2
Foundation Teamは,Ubuntuのコアの中でも特に重要な部分,Kernelやインストーラ(Ubiquity),ブートローダなどのパッケージを担当するチームです。LaunchpadやBuilddといった,開発作業のバックエンドとなるインフラの運用についても彼らの守備範囲です。
注3
やりとりを要約すると,「Mono(Microsoft .NETのLinuxや*BSD向け実装)はNovellやMicrosoftの陰謀だ!」「いやそんなことはない!」「あんなもん無くてもLinuxは平気だ! ていうか,あんな微妙な品質のもの要らない!」「でも機能的には必要だよ。Tomboyとか」「それ以前に特許問題とか厄介ごとが起こる可能性ないですか?」「Canonicalが責任負うし,Monoの機能は必要だよ!」といった感じです。……ちなみに,実際のやりとりを追いかけたい方はshameful censoring of mono oppositionスレッドをどうぞ。さらにそこから,Tomboyを捨ててGnoteにするべき?という議論まで派生しています。

32bit環境でPAEが有効になります

実装上の懸念があるため,完全に確定したわけではありませんが,9.10からは,PAEによるメモリ空間の拡張がDesktop用カーネルにも適用される予定です。

これにより,32bit環境でも4GB以上のメモリを利用できるようになり注4ますし,4GBちょうどのメモリを搭載した環境であっても「4GB全体を」利用できるはずです注5)。

PAEを有効にしたカーネルは,PAEに非対応のCPU(古いVIA製のCPUや,Pentium M,Atomの一部など)では起動できません。こうしたCPU向けの「-legacy」カーネルも別途用意され,インストール時に適切なものが選択されるようになる予定です。

ただし,どのように実現されるのかという点については,まだ確定していません。実現の目安はAlpha4(8/13)までに,となっています。

注4
サーバー向けカーネル(-server)では,以前からPAEは有効でした。
注5
アーキテクチャ上の問題で,4GBメモリを搭載したマシンであっても,PAEが無効な32bit環境では3~3.5GB程度までのメモリしか利用できません。これはx86では周辺機器にメモリ空間を割り当てる必要があるためです。

Hundred Papercuts

9.10に向けた試みの一つとして,「使い勝手を損なっていて」「簡単に直せる」ものを修正するためのプロジェクト,One Hundred Paper Cuts注6開始されています

これはその名前とアイコン(バンドエイド)の通り,「かすり傷だが,使い勝手を損ねているもの」を100個集め,それを修正することでUbuntuの使い勝手を良くしよう,というプロジェクトです。

プロジェクトの遂行はCanonical社が行いますので,ユーザーがすべきことは「見つけたPaper Cutsをレポートする」ことです。「Paper Cuts」に該当する基準は次の通りです。

  • すぐ直せること。新しい機能ではなく,「ちょっとした」修正で改善できること。
  • 多くの一般的なユーザーにとって,修正によるメリットがあること。
  • Ubuntu 9.10をデフォルトインストールした状態で,すぐにも遭遇しそうな問題であること。

うまく作業が進み,修正が反映されれば,9.10は「気の利いた」リリースになることが期待できます。

注6
直訳すると,「100個の,紙で切った傷」です。Paper Cutは「紙で指を切ってしまった」ときのような,ごく軽い(しかし鬱陶しい)傷のことです。

Ubuntu Weekly Newsletter #146

Ubuntu Weekly Newsletter #146がリリースされています。

その他のニュース

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

コメント

コメントの記入