Ubuntu Weekly Topics
2009年6月26日号 9.10の新機能・Hundred Papercuts最初の10個・UWN#147・IntelとNokiaの提携・GStreamer Good Pluginのアップデート
9.10で実現される(かもしれない)新機能
Ubuntu Developer Summitが終了し,9.10の実装が始まっています。これに伴い,大部分の仕様(実装目標)がfixされました。9.10の目玉となる機能は,以下の項目になります。
実現されるか微妙なものも含まれていますが,大部分は10月にはお目見えするものとなるはずです。
- Wubiの拡張。提案として,「これまでのように,Wubiとして起動するだけでなく,coLinuxを用いてWindowsのアプリケーションとしてWubiイメージを利用できるようにする」「Wubiのインストール済みイメージをHDDにインストールしなおす機能を作る」「Mac OS Xでも利用できるようにする」ということが挙げられています。現在も激しく検討が続いているので,どこまでが実現されるかは不明確です。少なくとも,インストーラが「既にインストールされているWubiのイメージ」を検知し,それをHDD上にインストールしなおす,という機能は実現されるはずです。
- x86・x64環境のカーネルパッケージ構成の変更。これまでの「generic」と「server」(PAEが有効なサーバー向けカーネル)から,「generic」と「generic-pae」(PAEを有効にした,デスクトップ・サーバ両用のカーネル)へ。
- GRUB2への移行。すでに実装されており,また,他の幾つかの機能(特にWubi関連)に影響を与えるため,これが撤回されることはおそらくないでしょう。
- デフォルトファイルシステムがext4へ。また,Jauntyよりも起動時間を短縮。
- USB Creatorを非Linux環境でも使えるように。
- KMSの利用。Xの起動よりも前にビデオドライバを初期化しておき,ブートスプラッシュなどをより高解像度で表示できるように。ちなみに,今週リリースされた新しいカーネルから有効になりました。
- Amazon EC2互換クラウド環境,Eucalyptusがmainに移動。
- クラウド環境向けパワーマネジメント。サスペンドやハイバネートを利用し,通常はサーバーを待機状態にしておき,必要に応じて起動する仕組みを実現する。
- (今後の数リリースを使って)Upstartへデーモンの起動を切り替えていくための,基礎的な仕様の定義。
- Nofity OSDの強化。デザインの変更・ユーザーカスタマイズ可能な設定項目の追加・表示位置のカスタマイズ・大量のメッセージが出力される場合の,より見やすい表示への改良。
- Ubuntu Oneをインストール時にセットアップできるようにする。
- 会社等で利用する際に,WSUSのようなカスタムリポジトリを容易に構築できるようにする。
- Android互換実行環境の実現。
- Serverインストール時のクラウドセットアップ。Serverモードでのインストール時に,Eucalyptusによるクラウド環境がセットアップできるようにする。
- ネットワーク設定周りのGUIの全面的な変更。
- swapパーティションから,swapファイルへの移行。必要に応じてswapのサイズを拡張したり,インストール後のswap追加を可能にする。
- sysklogdからrsyslogへの移行。
- ACPI関連パッケージの整理。
- インストーラレベルからのiSCSI rootの完全なサポート。iSCSI経由でHDDをマウントし,ディスクレス環境を気軽に構築できるようにする。
- 無線LANドライバの強化。
- SSDの積極的なサポート。SSD向けファイルシステムや,ファイルシステムのチューニングを容易に行えるようにする。
- インストール時にアップデートを反映。インストール時に,より新しいパッケージが存在する場合,アップデータを自動的に適用する仕組みを実現。
- ARMで使われるRedbootのサポート強化。
- ARM向けブートローダ環境の準備。
- TOMOYO Linux(LSM版)のサポート。
Hundred Papercuts最初の10個
前回お伝えしたHundred Papercutsプロジェクトの,最初の10個のバグが選定されています。内容は次の通りです。
- 「切り取り」を選択した場合はファイルは半透明にしてほしい。
- CD/DVDの作成において,マスタリング対象ファイルを右クリックすると,「削除」であるべきところが「ファイルをゴミ箱に移動」出てくるのはおかしい。
- Computer Janitorのダイアログメッセージがわかりにくい。
- アンマウント・イジェクトできない時にアイコンが変化するのはおかしい。
- ホームフォルダ内のデフォルトフォルダ(Documentsその他)には専用のアイコンが欲しい。
- 「ダウンロード」ディレクトリにも専用のアイコンが欲しい(一つ上のバグへの修正作業が行われたものの,ダウンロードディレクトリは忘れられている)。
- バッテリ稼働中に大量のアップデートが適用される場合,実行前に警告を表示して欲しい。
- USB等で接続されたリムーバブルディスクの,「安全な取り外し」に関連するメッセージがまちまちなのを何とかして欲しい
- ファイルマネージャやデスクトップで「新規作成」を選択した際,「テンプレートがインストールされていません」というメッセージを出す必要はない。
- PCを自動起動させる場合,無線LANの接続にいちいち確認を行わないモードが欲しい。
今後,8月29日まで毎週10ヶずつのバグを選定し,9.10のリリース時点では100個のバグが修正されている,という状態となる予定です(注1)。
なお,この「バグ」は,プログラミングバグだけでなく,「使いにくい」「こういうメッセージを出した方がよい」などといったものも含まれています。
- 注1
- リリースノートに含めると大変な分量になるため,Papercutsの改善点はリリースノートには含まれないと思われます。何らかのまとめは用意されるはずですが,それはリリースノートではないか,リリースノート上の場合は単なる箇条書きとなる可能性が高いと考えられます。
UWN #147
Ubuntu Weekly Newsletter#147がリリースされています。
IntelとNokiaの提携
6月23日(現地時間)に,IntelがNokiaに対して長期的なプロセッサ供給を行う旨を発表しました。この発表には,『Open Source Software Collaboration』として,IntelのMoblinプロジェクトと,NokiaのMaemo(Nokia製「インターネットタブレット」(注2)製品群向けのLinux(注3)の協力についても触れられています。
これにより,MoblinとMaemo/Merに分離している「Netbook・MID向けLinuxディストリビューション」は徐々に統合(少なくとも基礎的なソフトウェア開発の共同作業)の方向に進んでいくと思われます。将来的にはUbuntu MIDやUbuntu Netbook Remixなど(注4)にも良い影響が及ぼされるでしょう。
- 注2
- タッチパネルを搭載した小型・バッテリ駆動のPDAライクなデバイスの総称。Intel語で言う「MID」に近いものです。
- 注3
- 「Maemo」はNokia製のデバイス専用のディストリビューションです。この派生プロジェクトとして「Mer」が存在します。これはNokia製品以外の「インターネットタブレット」(MID)へMaemoを移植したもので,Intelアーキテクチャを含めた多くのデバイスで動作することを目標に開発が進められています。また,Merは9.10以降のUbuntu MIDのベースとなる予定です。
- 注4
- Ubuntu Mobileとして総称されていたプロジェクトは現状で,Ubuntu Netbook RemixがMoblinベース,Ubuntu Moblin RemixがMoblin v2ベース,Ubuntu MIDがMerベースとなっています。
その他のニュース
- HP Proliant G6シリーズ(いわゆる“Nehalem”搭載のサーバー)の,Ubuntuの公式サポートが提供されるようになりました。Canonicalからサポートを受けて運用することが可能になります。
- Amazon EC2で使えるUbuntu Serverイメージの,Karmic版のAlphaベースのもの。
- byobuのパフォーマンスチューニングの背景の説明。「n秒おきに実行コストのかかるスクリプトを走らせていたので,同時にスクリプトが走ってしまう瞬間があり,これが体感できるパフォーマンスの下落を引き起こしていた」ので,「nを素数にした」そうです。
- 無線LANを使ったブリッジ(アクセスポイント)を作成する方法。
- bzr 1.16とBazaar Explorer 0.3のリリース(Bazaar Explorerはバグが見つかったため,直後に0.3.1がリリースされています……)。
今週のセキュリティアップデート
GStreamer Good Plugin(gstreamer0.10-plugins-good)は,デスクトップ環境であれば,暗黙でインストールされているコーデックです。利用している心当たりがない場合でも,早めのアップデートをお勧めします。
- usn-789-1:GStreamer Good Pluginのセキュリティアップデート
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- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2009-June/000918.html
- 現在サポートされている全てのUbuntu(6.06LTS・8.04LTS・8.10・9.04)用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-1932を修正します。
- CVE-2009-1932により,悪意ある細工の施されたPNGファイルが開かれた際,バッファサイズを格納する変数に整数オーバーフローが生じ,結果として攻撃者の任意でヒープバッファオーバーフローを引き起こすことができます。これにより,任意のコードの実行,ないしアプリケーションのクラッシュを発生させることが可能です。
- 対処方法:通常の場合,アップデータを適用するだけで問題を解決できます。
- 備考:少なくともUbuntuのデフォルト環境では,TotemとRhythmboxがこのプラグインを利用してPNGファイルの表示を行います。
- usn-790-1:Cyrus SASLのセキュリティアップデート
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- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2009-June/000919.html
- 現在サポートされている全てのUbuntu(6.06 LTS・8.04 LTS・8.10・9.04)用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-0688を修正します。
- cyrus-saslライブラリのbase64処理コードに問題があり、悪意ある入力が行われた場合にヒープバッファオーバーフローが発生します。これにより任意のコードの実行や、プロセスのクラッシュを発生させることが可能です。
- 対処方法:アップデータを適用した上で、SASLを利用しているプロセスを個別に再起動してください。apt-cache rdepends libsasl2-2などで手がかりを得ることができるでしょう。プロセスを特定できない場合、OSを再起動することで代替することもできます。
Ubuntu Weekly Topics
- 2009年6月26日号 9.10の新機能・Hundred Papercuts最初の10個・UWN#147・IntelとNokiaの提携・GStreamer Good Pluginのアップデート
- 2009年6月19日号 9.10のFeature Definition Freeze,Hundred Papercutsプロジェクト,UWN#146,Firefox・Apache・Tomcatのセキュリティアップデート
- 2009年6月12日号 9.04のAlpha2とGRUB2の採用・Linux Kernel 2.6.30のリリースとTOMOYO Linux(LSM版)のサポート・『うぶんちゅ』Ep2の各国語版・UWN#145
- 2009年6月5日号 Computex Taipeiでのアナウンス・HPPAのEoL・9.10のMobile MID・UWN#144・Full Circle Magazine #25
- [新春特別企画]2009年のUbuntuふりかえり,2010年のUbuntu
- 2009年11月6日号 9.10 Japanese Remix・Ubuntu Open Week・10.04の開発開始・FCM#30・UWN#166・Firefoxのセキュリティアップデート
- 2009年11月4日 Ubuntu 9.10/Ubuntu 9.04/Windows Vista/Windows 7,いちばん速いのはどれ?
- 2009年10月30日号 9.10のリリース・オープンソースカンファレンス2009 Tokyo/Fall・カーネルのセキュリティアップデート
- 2009年10月16日号 9.10のリリースフリーズ・UECのテストとアプライアンスイメージ・Japanese Remixの配布方法・UWN#163・Ubuntu Open Week


