Ubuntu Weekly Topics
2010年1月29日号 10.04のブラウザのデフォルト検索エンジン変更・Ubuntu 8.04.4・Ubuntu Developer Week開催中・UWN#177
デフォルト検索エンジンの変更
10.04では,デフォルトの検索エンジンがGoogleからYahoo.comへ変更になることが決まりました。理由を端的に述べると「Yahooの方が支払いが良い」ということになります。ブラウザに特定の検索エンジンを初期設定しておくと,そこからのページビューに応じて,幾ばくかの金額がベンダーに支払われますから,これによってCanonicalが効率良く収入を得ることができるようになり,より多くの開発者を雇用できるようになるはずです(1回あたりは非常に小さな金額ですが,ブラウザを利用する限り検索も行うはずですから,ユーザー数x数百回x単価,といった大きな数字になります)。
当然こうした変更には多くの議論が寄せられたものの,それなりの経済的理由があるのか,「I would say "financial" reasons rather than "marketing" reasons」(訳:言ってみれば,これは「マーケティング的な」理由よりむしろ「財政的な」理由です)といった回答が出てきています。
ただし,日本語圏ではyahoo.com(切り替わるのは「yahoo.co.jp」ではなく「yahoo.com」です)の検索は事実上ほとんど実用にならないため,Japanese Remixでは何らのフォローを追加する予定です。
Ubuntu Developer Week
先週お伝えした通り,Ubuntu Developer Weekが開催中です。すでに開催された分については,プレゼンテーションのログが公開されています。Ubuntuの主要な開発者がIRCベースでプレゼンテーションを行うイベントですので(注1),余裕があれば参加してみると良いでしょう。
- 注1
- 主要な開発者がプレゼンテーションの準備に忙殺される関係で,今週はあまり大きな動きがありません。Topics泣かせです。
Ubuntu 8.04.4
Ubuntu 8.04の最後のポイントリリース(注2),8.04.4の公開準備が進められています。本日1月29日(金)中のリリースが予定されています。すでにショーストッパーは全て対応済みなので,リリース関連作業のみで公開が行われるはずです。
4月には次のLTSとなる10.4 LTSがリリースされるため,8.04のポイントリリースはこれが最後となります。8.04のデスクトップサポート期間は残り1年3ヶ月ほどと,9.10とサポート終了時期が重なりますので,デスクトップ用途には9.10を使うのが妥当です。8.04.4は,事実上,5年間(あと3年)のサポートが提供されるサーバー用途に使われることになるでしょう。
- 注2
- 「ポイントリリース」は,UbuntuのLTS版の「いわゆるメンテナンスリリース」にあたります。リリースされてから随時公開されている各種アップデータをCDに反映したもので,ポイントリリースのために新機能が追加されることは基本的にありません。「インストール時点で最新になる」ことと,「それまでのインストールCDでは認識できなかった新しいRAIDカードに対応する」といったことが主なメリットです。Windowsのサービスパック等とは異なり,専用の適用パッケージによる適用ではなく,通常のアップデートで配信されるものと内容は同じです。8.04を利用している場合,最新のアップデータを適用していればすでに8.04.4に更新されているはずです。
Ubuntu Weekly Newsletter #177
Ubuntu Weekly Newsletter #177がリリースされています。
その他のニュース
- Firefox 3.6を,mozilla-teamのPPAから導入する方法。firefox-stableという専用の(安定版のFirefoxしか落ちてこない)PPAなので,Firefox3.6を9.10などで利用したい場合は,比較的安全な方法となるはずです。
- Launchpad 10.1がリリースされ,Bug Heat(意訳すると,「炎上度」)という指標が追加されました。ユーザーに与える影響を幾つかの指標で数値化し,数値が大きければ大きいほど炎のアイコンが増える,というものです。
- Webベースの操作でUbuntuやDebianのLiveCDを生成できるサービス。
- Ubuntuで使える壁紙x35枚。
今週のセキュリティアップデート
- usn-888-1:bindのセキュリティアップデート
- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-January/001031.html
- 現在サポートされている全てのUbuntu(6.06 LTS・8.04 LTS・8.10・9.04・9.10)用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-4022,CVE-2010-0097,CVE-2010-0290を修正します。
- CVE-2010-0097は,DNSSECが有効な環境において,嘘のNXDOMAIN応答をキャッシュさせることが可能な脆弱性です。
- CVE-2010-0290は,CVE-2009-4022として登録(Ubuntuではusn-865-1)されたDNSSECの検証における脆弱性の再修正に相当します。CVE-2009-4022への対策が不十分だったため,DNSSECによる検証をすり抜ける可能性がありました。
- 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決することができます。
- 備考:いずれも,DNSSECによる検証を無効化するタイプの脆弱性です。DNSSECが無効な環境では影響はありませんが,そもそもDNSSECがない環境はこれらの脆弱性以上に危険な状態にあります。
- usn-889-1:gzipのセキュリティアップデート
- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-January/001032.html
- 現在サポートされている全てのUbuntu(6.06 LTS・8.04 LTS・8.10・9.04・9.10)用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-2624,CVE-2010-0001を修正します。
- CVE-2009-2624は,gzipを利用した圧縮解除時にデータストリームを正しく検証しないため,NULLポインタ参照が発生する問題です。これによりgzipのクラッシュや,限定された状況下では任意のコードの実行が可能と考えられます。
- CVE-2010-0001は,LZW方式を利用したデータストリームを圧縮解除する際,整数アンダーフローが発生する問題です。結果としてgzipのクラッシュや,任意のコードの実行の可能性があります。この問題はx86_64環境でのみ再現されます。
- 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決することができます。
- usn-890-1・usn-890-2・usn-890-3・usn-890-4:Expat/Python2.4/Python2.5/PyXMLのセキュリティアップデート
- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-January/001033.html
- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-January/001034.html
- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-January/001035.html
- https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2010-January/001036.html
- 現在サポートされている全てのUbuntu(6.06 LTS・8.04 LTS・8.10・9.04・9.10)用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-2625,CVE-2009-3560,CVE-2009-3720を修正します。
- CVE-2009-2625,CVE-2009-3720はいずれも,Expatが入力されたXMLを正しく検証しないために発生する問題で,アプリケーションのクラッシュ・無限ループを招きます。既知の再現コードが存在します。
- CVE-2009-3560は,ExpatがXML内のUTF-8文字列を処理する際に,バッファ長を超えて読み込みを行う問題です。これにより,アプリケーションがクラッシュします。
- 対処方法:アップデータを適用した上で,Expatをリンクしているあらゆるアプリケーションを(Pythonのpyexpatモジュールなどを利用しているソフトウェアも含めて)再起動してください。不明な場合はシステムの再起動を行うのが確実です。
- 備考1:Expatの脆弱性により,それを利用するPythonのpyexpatライブラリも影響を受けます。Python製ソフトウェアのうち,pyexpatライブラリをロード(from pyexpat import??)しているものだけが影響を受けます。
- 備考2:Ubuntu 6.06 LTSのみ,PyXMLがPython本体に含まれていない時代のもののため,単体でアップデートが出ています(usn-890-4)。
Ubuntu Weekly Topics
- 2010年1月29日号 10.04のブラウザのデフォルト検索エンジン変更・Ubuntu 8.04.4・Ubuntu Developer Week開催中・UWN#177
- 2010年1月22日号 10.04の開発状況(Alpha2編)・Ubuntu Developer Day・Ubuntu Users Day・UWN#176
- 2010年1月15日号 CES2010のUbuntuマシン・“Araneo”の後継・UWN#145・Firefoxのセキュリティアップデート
- 2010年1月8日号 Ubuntu User Days・Lucidの実装・ARM向けChromium・FCM#32・UWN#174
- [新春特別企画]2009年のUbuntuふりかえり,2010年のUbuntu
- 2010年2月19日号 10.04の開発進捗・2D UNEランチャー・日本語フォントの変更・Ubuntu Global Jam・UWN#180
- 2009年12月18日号 10.04のリカバリメニューの強化・Xのクラッシュ解析機能・Ubuntu Magazine Japan vol.1のPDF公開・UWN#172・Ubuntu One対応アプリの作り方
- 2009年11月20日号 UDS-L・Netbook Remixの終了・Ubuntu One Music Store・UWN#168・Firefoxの再アップデート
- 2009年11月13日号 10.04の開発と諸元の変更・9.10へのアップグレード・UWN#167・CUPSとWebkitのセキュリティアップデート
- 2009年11月6日号 9.10 Japanese Remix・Ubuntu Open Week・10.04の開発開始・FCM#30・UWN#166・Firefoxのセキュリティアップデート


