Ubuntu Weekly Topics

2010年5月7日号10.04 Japanese Remixのリリース・Ubuntu OpenWeek・10.04の注意点(3)・8.10のEOL・UWN#191

10.04 Japanese Remixのリリース

Ubuntu Japanese Teamでは、Ubuntu 10.04の日本語環境向けRemixである10.04 LTS Japanese Remixを5月5日にリリースしました。

Japanese Remixは、ubuntu.comでリリースされているものよりも「より日本語環境に特化した」初期設定・パッケージ設定をあらかじめ施したものです。通常のUbuntu 10.04を利用している方は、リポジトリを指定することでJapanese Remixと同じ環境とすることができます。

ダウンロードは、HTTPまたはBittorrent経由で行ってください。

Ubuntu Open Week

Lucidのリリースが無事に行われたため、Ubuntuコミュニティのお祭りであるUbuntu Open Weekが開催されています(5月3(月)~7日(金)⁠⁠。

Open Weekは、Ubuntuのコア開発者やコアメンバ・Canonical社員が「インターネット越しに」参加者からの質問に答えるイベントです。Ubuntuの開発プロセスやコミュニティ運営について、参加者により深く知ってもらうことを目的としています。通常、新バージョンリリースの1週間後ぐらいに行われています。

主な開催場所は、irc.ubuntu.com上の#ubuntu-classroomチャンネルです。興味があれば参加方法を熟読した上で、#ubuntu-classroomを眺めてみてください。やりとりは英語で行われます。

なお、参加人数が参加人数のため、JOINやQUITSメッセージでログが埋もれるおそれがあります。参加に利用するIRCクライアントは、JOINとQUITSを無視できるものにすることをお勧めします。

10.04の注意点(3)

今回も、10.04を利用する上で注意すべき事項を紹介します。

flashplugin-nonfreeが導入されている環境でのアップグレード

8.04などのflashplugin-nonfreeパッケージが導入されている状態でアップグレードする場合、パッケージ環境の矛盾によってアップグレードが失敗する可能性・アップグレード後にFlashが利用できなくなる可能性があります(LP#429841⁠。

8.04からのアップグレードを行う前に、flashplugin-nonfreeを削除しておくか、⁠はまった」状態で下記を実行してください。

sudo rm /var/lib/dpkg/info/flashplugin-nonfree.prerm
sudo dpkg --remove --force-remove-reinstreq flashplugin-nonfree
sudo dpkg --purge --force-remove-reinstreq flashplugin-nonfree

Flashなどのfontconfigを無視した実装のアプリケーションで、日本語文字列が■になる

10.04では、日本語環境では暗黙でDejaVuとTakaoフォントを組み合わせたものが利用されるように、fontconfig(/etc/fonts/conf.*/)で定義されています。しかしながら、Adobe Flash Playerなどのfontconfigを無視した実装を行っているアプリケーションでは、DejaVuのみが表示に使われ、日本語部分が「■」などの文字で表示される結果となります。

問題を回避するため、日本語Remixに含まれるlanguage-selectorパッケージを導入してください(あるいは、カスタムlanguage-selectorと同じfontconfigの設定を修正する必要があります⁠⁠。日本語Remix環境ではこの問題は生じません。

なお、この問題はFlash 10.1以降ではある程度緩和されることが期待されています。

NVIDIA製GPUを利用している環境で、ログイン画面が表示されないことがある

NVIDIA製GPUを利用している環境において、ログイン画面が正常に出力されない可能性があります(LP#532436⁠。現状でのワークアラウンドとして、⁠/usr/share/gdm/custom.conf」を新規作成し(gksu gedit /usr/share/gdm/custom.conf⁠⁠、以下の記述を追加してください。

[daemon]
GdmXserverTimeout=60

VMwareのキーボードアサイン

VMwareを利用し、ゲストマシンとしてUbuntu 10.04を実行している場合、⁠LP#548891キーボードが正常に認識されず、文字が入力できない可能性があります。

問題に遭遇している場合、ログイン画面でスクリーンキーボードを有効にしてログインし、⁠アプリケーション⁠⁠→⁠アクセサリ⁠⁠→⁠端末」からターミナルを開き、⁠sudo dpkg-reconfigure console-setup」を実行してキーボード設定を修正してください(あるいは、/etc/default/console-setupのXKBMODEL行を「XKBMODEL=⁠pc105″」に修正してください⁠⁠。

なお、根本的にはVMware側のインストールスクリプトの問題で、近日中に修正される予定です。

Ubuntu Weekly Newsletter #191

Ubuntu Weekly Newsletter #191がリリースされています。

その他のニュース

  • まもなく(5/13?)行われるUbuntu Developer Summit(UDS-M)リモートから参加する方法のまとめ。UDSはUbuntuの開発者が、次の(つまり10.10)Ubuntuにおいて、どのような機能を実装すべきかディスカッションを行う場です。参加するには開発プロセスやUbuntuそのものに対する十分な理解が求められますが、日本からもリモートで参加可能です。
  • 10.04で空けられた「ウインドウの右側」に何を配置するか、という話の続報⁠Windicator』と名付けられた、各種インジケータをウインドウの右側に表示し、各アプリケーションやシステムのステータスを表示させる、というものです(なんとなくステータスバーと「タスクバーの通知領域」をミックスしたものに見えますが、最終的にどうなるかはUDS-Mのディスカッションを経て、開発者の間で合意が出来てから決まります⁠⁠。
  • Maverickのsync元は、無事にDebian sid(いわゆる「HEAD⁠⁠)に戻ることが決定しました(10.04ではLTS向けということもあり、一時的にsync元が「sidで致命的な問題がなければ落ちてくる」Debian testingになっていました。⁠LTS向け」であることはアナウンスされていましたが、一方で「うまく行くようならtestingを使い続ける可能性もある」といったことが言われていました⁠⁠。
  • Neoware(現在HPの一部門になった、シンクライアントベンダ)がかつて販売していたCA-5に非常にがんばってUbuntu Serverをインストールする方法。ポイントは、CPUがVortex86系(おそらくSIS 550)であるためにUbuntu Serverのカーネルが動作しないので、XubuntuのLiveCDでインストールしてからUbuntu Server化している点。大変な力業ですが、参考になるでしょう。
  • 10.04をインストールしたら最初にやること。

今週のセキュリティアップデート

Ubuntu 8.10(Intrepid Ibex)が4月30日をもってend-of-lifeを迎え、セキュリティアップデートを含む全てのアップデートが提供されない状態になりました。8.10を利用している場合は、9.10へのアップグレードが必須です。

usn-931-2:FFmpegの再アップデート
  • usn-931-1でリリースされたFFmpegのアップデートパッケージにバグがあったため、再アップデートがリリースされました。8.04 LTS・8.10・9.04・9.10用です。
  • アップデートの実装上の問題により、一部のメディアファイルを再生することができなくなっていました(LP#567913⁠。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を修正できます。
usn-933-1:PostgreSQLのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 6.06 LTS・8.04 LTS・9.04・9.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2010-0442を修正します。
  • CVE-2010-0442は、PostgreSQL組み込みのsubstring()関数が、SELECT文で使われた場合に入力値を正しく検証していないため、結果としてクラッシュする問題です。これにより、外部から入力した文字列によってWebアプリケーションのバックエンドdbをクラッシュさせられる可能性が生まれます。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を修正できます。
usn-934-1:Netpbmのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 8.04 LTS・9.04・9.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2009-4274を修正します。
  • CVE-2009-4274は、netbpmに含まれるXPMイメージのデコーダでスタックバッファオーバーフローが発生する問題です。通常の場合はアプリケーションのクラッシュが生じます。また、限定された状況下においては任意のコードの実行が行われる可能性があります。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を修正できます。

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