Ubuntu Weekly Topics

2010年7月9日号 オープンソースカンファレンス2010 Kansai@Kyoto・i386からi686へ・通知領域のマイグレーション・Magoの国際化・UWN#200

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

オープンソースカンファレンス2010 Kansai@Kyoto

Ubuntu Japanese Teamは2010年7月9(金),10日(土)に京都で開催される,オープンソースのお祭りである「オープンソースカンファレンス 2010 Kansai@Kyoto」に参加します。会場は京都駅そばの京都コンピュータ学院です。

ブースにてデモ機の展示を行うほか,10日(土)の10:15から「Ubuntu 10.04 Serverの活用」と題したセミナーを行います。最大のポイントは,Japanese Remixの(CD-Rではない)プレスCDの無料配布です。皆様のご参加をお待ちしております。

イベントの開催概要は以下の通りです。より詳細な情報は,イベントのWebページを参照してください。

オープンソースカンファレンス2010 Kansai@Kyoto
★セミナー参加登録受付中!http://www.ospn.jp/osc2010-kyoto/

日時7月9日(金)・10日(土) 10:00-17:00
入場無料
会場京都コンピュータ学院 京都駅前校
(JR京都駅八条口より徒歩7分)
主催オープンソースカンファレンス実行委員会
共催京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学
内容オープンソース関連の最新情報提供(展示・セミナー)

10.10の開発

i386からi686への移行

Ubuntu 10.10では,32bit版x86環境(いわゆるi386版)の各種パッケージのコンパイル対象アーキテクチャを,i386からi686へ切り替えることになっています。これに伴い,Lucas Nussbaum氏注1の手で,現在リポジトリに登録されているパッケージのビルド失敗(FTBFS)の一覧が整理されています。現状で858個のビルド失敗が見つかっています。

Ubuntuのリリース時期にはおおむね200~300個程度まで減少した状態が恒例ですから,少なくともあと500個程度は修正が必要となります。パッケージング技術を磨きたい方は,ここで見つかっているbuild失敗を修正し,bugs.launchpad.netへ登録してフィードバックをかけるのが良いでしょう。

注1
Debian/Ubuntuのパッケージ環境の有名人。⁠全部まとめてリビルドしてみたら,これだけビルド通らないやつがあったよ」という報告を定期的にレポートしてくれるため,パッケージ品質に非常に広く貢献している人物です。

通知領域のマイグレーション

Ubuntuでは10.10と11.04の2つのリリースを用いて,⁠通知領域」注2の撤廃と,NotifyOSDとWindicator(ウインドウの右上に表示される通知領域)への完全な移行を行う予定です。これは既存のGUIアプリすべてを精査し,さらに「通知領域」を利用しているものを見つけたら,それをNotifyOSDで代替できるかどうか検討の上実装を変更する,という,非常に大規模な作業です。

現在の作業はまだごく初期の段階にあります。まず,ソースコードベースのチェックにより,通知領域を利用しているであろうソフトウェアの洗い出しが完了しています。

この後に,⁠各ソフトウェアが,どのように通知領域を利用しているのかを調査する」⁠利用状況をもとに,修正する方法を検討する」⁠実際に修正する」⁠修正に問題がないかテストする」といった作業フェーズがそびえています。現時点ではCanonicalのDesign Teamを中心にした作業チームから,調査フェーズの協力要請が行われ,順次作業が行われていくはずです。この作業は11.04のリリース時点では完了し(場合によっては遅れて11.10で)⁠⁠通知領域のない,新しい世代のデスクトップ」が完成するでしょう。

注2
「通知領域」とは,いわゆる『システムトレイ』『アイコン格納領域』と呼ばれているもの。Ubuntuであれば右上の,Windowsであれば右下のアイコンが並んでいる場所のことです。

Magoの国際化

Magoは,LDTPをベースにした「GUI環境で自動的なテストを行うためのツールキット」です。GUIで「○○という項目を選択してOKをクリック」といった操作を自動的に行うことで,GUIベースのアプリケーションの自動テストを行うことができます。

しかしながら,Magoには致命的な弱点として,⁠ロケールとしてCしかサポートしていない」という問題がありました。これは事実上英語環境でしか動作しないことを意味するため,デスクトップ環境のテストとしてはあまり意味がありません(少なくとも,日本語環境ではほとんど意味がないと言えるでしょう)⁠

そこでMaverickフェーズでは,Magoの国際化作業が予定されています。SPECページにはすでにリリースノートの文言を含めたドキュメントが準備されており,7月はじめの時点では大きな遅れも報告されていないため,10.10のリリース前後ではMagoによる自動テストが走り始めているはずです。時期的な問題から,自動テストによるメリットの多くはM以降(11.04など)にもたらされ,Ubuntu以外のLinuxデスクトップ全般の品質を向上させるはずです。

Ubuntu Weekly Newsletter #200

Ubuntu Weekly Newsletter #200がリリースされています。200号記念ということで,4年強にわたるUWNの歴史の振り返りとともに,節目となる号の紹介が行われています。

その他のニュース

  • Thinkpad Edge 15(海外版)にUbuntu 10.04をインストールしたレビュー⁠USBメモリからブートしようとしたら,うまく起動できないことがあった。BIOSをアップデートしたらきちんと動作するようになった」といった,実際に使ってみないと分からない情報がポイントとなるでしょう。Thinkpad Edge 15の購入を検討している方にとっては役に立つはずです。
  • PythonからOpenOffice.orgを扱う方法。
  • Launchpadのバグステータスに,⁠Opinion」という新しい種別が追加されました。これは,直すことが確定していないバグが,まだ議論の途中にあることを示すものです。これにより,これまでのやり方(Won'tFixかInvalidで閉じてしまう)に比べて,活発な議論が行われることが期待されています。

今週のセキュリティアップデート

usn-930-3:Firefoxの再アップデート
  • Ubuntu 8.04用のアップデータがリリースされています。usn-930-1への修正として提供されたパッケージの問題を修正し,firefox-2パッケージが導入された環境でもインストールが可能になります。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用の上,Firefoxを再起動することで問題を解決できます。
usn-956-1:sudoのセキュリティアップデート
  • 現在サポートされているすべてのUbuntu(6.06 LTS・8.04 LTS・9.04・9.10・10.04 LTS)用のアップデータがリリースされています。CVE-2010-1646を修正します。
  • CVE-2010-1646は,sudoのsecure pathオプションによるPATH環境変数の制約が行われる際,PATH環境変数が複数定義されている環境では正しく機能せず,secure path制約がかからずに特権モードに遷移してしまう問題です。これにより,sudoの利用者が意図しないコマンドが実行されてしまう可能性があります。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-943-1:Thunderbirdのセキュリティアップデート
  • Ubuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。Thunderbird 3.0.5に相当するアップデートです。
  • 脆弱性の詳細情報は,Thunderbird 3.0.5のセキュリティアドバイザリを参照してください。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Thunderbirdを再起動してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

コメント

コメントの記入