Ubuntu Weekly Topics

2011年4月15日号 Ubuntu 11.04 Beta2・Unityデスクトップ・Ubuntu 8.04 LTSの「デスクトップ」EOL

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Nattyの開発

Beta2

Ubuntu 11.04 “Natty Narwhal⁠の開発は最終段階に入り,Beta2のためのフリーズが行われました。おそらく,本稿が掲載されたタイミングに前後して,Beta2のリリースも行われているはずです。

Beta2は,11.04(Natty)「リリース前」の最後のマイルストーンです。これまでのクオリティの強化フェーズから,今後は完全にバグフィックスのための開発に切り替わり注1)⁠4月28日のリリースまで走り続けることになります。

なお,Nattyでは開発期間の都合で注2)⁠いつものように「リリース一週間前にRelease Candidate(リリース候補版)を出し,最後の追い込みを行う」というアプローチは行われません。Release Candidateの代わりにBeta2をリリースし,以降はDaily LiveCDを用いたテストとバグフィックスが行われます。この期間に修正されるのは「リリースにおいて致命的なバグ」が基本で,ものによってはリリース後のアップデータによる修正に回される可能性もあります。

注1
と言いつつ,⁠○○という機能がないバグを直しました」というChangelogとともに,さりげなく新しい機能が追加される光景も目撃されます。こうした更新もRelease Teamによるレビューの上で行われるため,大きな問題になることは(あまり)ありません。
注2
リリースの追い込みにあたる期間がイースター(〜4月24日)です。イースターは多くのキリスト教圏では長期休暇を取るのが普通なので,この期間は開発がストップします。イースターは毎年変わるのですが,非常に重要なお祭りでもあるため,いまどきのUnixシステムでは「ncal -e」を実行することで「その年のイースター」を確認できるようになっています。⁠man cal 1」いわく,calやncalコマンドは「displays a calendar and the date of Easter」とのこと。

UnityとGNOMEの選定

前述の通り,Beta2は11.04のリリースにおける最後のマイルストーンです。しかし,そのリリースの前段階において,⁠Unityをデフォルトデスクトップにするには時期尚早ではないか?」という議論が行われています。

現時点においては,少なくとも「前言撤回してGNOMEがデフォルト」という方向には話は進んでいませんが,今後の情勢次第では,この状況からひっくり返る可能性もありえるので,一定の注意が必要です注3)⁠

とはいえ,Unityの開発には非常に多くの労力がつぎ込まれており,現在のUnityはNattyの開発当初に比べると,非常に強力なソフトウェアになった注4ので,議論の焦点は「コンセプトとして妥当なのか」といった方向に寄っています。今後,11.10ではGNOMEデスクトップ環境がデフォルトでは導入されなくなる予定(GIMPなどと同様,追加インストールは可能)です。ユーザーとしてはUnityの使い勝手を確かめておくのがよさそうです。

注3
少なくともUbuntu的な考え方では,⁠もうリリース間際なので無茶な変更はしない」ではなく,⁠無茶だけど何とかする」という方向に寄りがちです。
注4
現在の状態とAlpha2前後を比べると,⁠前はとりあえず動いているだけだった」というレベルです。

カウントダウンバナー

Nattyのリリースが近づき,恒例のカウントダウンバナーコンテンストの結果が発表されました。次の3種類のバナーが利用可能です。

図1 カウントダウンバナー

The next version of Ubuntu is coming soon The next version of Ubuntu is coming soon

The next version of Ubuntu is coming soon

Ubuntu 8.04 LTSの「デスクトップ」のEOL

2008年4月にリリースされた,Ubuntu 8.04 LTSの「デスクトップ向け」サポートの終了が近づいています注5)⁠2011年5月12日をもって8.04 LTSはサーバー向け部分のソフトウェアのみがサポートされる状態(現在の6.06 LTSと同じ状態注6)⁠になります。

8.04 LTSをデスクトップ用途に利用している場合,10.04へのアップグレードが必要です。

注5
UbuntuにおけるLTS(Long Term Support)版は,デスクトップ向けソフトウェアが3年,サーバー向けソフトウェアが5年のサポート期間を持ちます。
注6
6.06 LTSは,そう遠くない時期(2011年6月)にサーバー向けサポートを含めた全サポート期間をまっとうすることになります。ですが,それまでの間は「サーバー向けソフトウェア」については積極的なサポートが提供される予定です。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1106-1:NSSのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-April/001299.html
  • Ubuntu 8.04 LTS・9.10・10.04 LTS・10.10用のアップデータがリリースされています。LP#741729を修正します。
  • NSSに含まれる証明書のうち,Comodoが誤って発行した不正な証明書をrevokeするためのアップデートです。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,NSSを利用するアプリケーション(FirefoxやEvolution等)を再起動してください。確定できない場合,一度ログアウトして再ログインするのが確実です。
usn-1107-1:x11-xserver-utilsのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-April/001300.htm
  • Ubuntu 8.04 LTS・9.10・10.04 LTS・10.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-0465を修正します。
  • Xに含まれるxrdbユーティリティのhostnameハンドリングにおいて,エスケープ文字を正しく除去しない問題がありました。DHCP経由,もしくはXDMCPメッセージ経由で不正なメッセージが送付された場合,最終的にroot権限で任意のコードを実行されるおそれがあります。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
usn-1108-1:dhcp3-clientのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-April/001302.html
  • 現在サポートされているすべてのUbuntu(6.06 LTS・8.04 LTS・9.10・10.04 LTS・10.10)用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-0997を修正します。
  • dhclientがDHCPパケットからhostnameを受け取る際,エスケープ文字を正しく除去しない問題です。これにより,dhclient実行時に悪意あるパケットを受け取った場合,任意のコードをdhclientの権限(通常の場合root)で実行される恐れがあります。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
  • 備考:バグの特性により,dhcp3-clientに対するAppArmorの保護は機能しません。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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