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2011年8月19日号 OneiricのFeature Freeze・新しいUnityとログイン画面・ia32-libsの削除

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OneiricのFeature Freeze

8月11日にOneiricのFeature Freezeが行われ,⁠建前上)⁠新機能」の投入が終了しました。これで開発フェーズは終了となり,以降はリリースエンジニアリングとして,完成度の向上・機能のブラッシュアップ・バグフィックスを中心とした作業となります。

例年の動向から,Feature Freezeからベータリリース前後までの期間に「次」⁠Oの次なので「Pで始まるなにか」⁠のコードネームが公表されるはずです。名実ともに,11.10は開発版から「リリースを控えた新バージョン」へと姿を変えていきます。

とはいえ,Feature Freeze Exception(FFe)と呼ばれるレビューを受ければまだまだ新機能の追加投入は可能ですし,Ubuntuの開発ではベータ以降に大きな変更が入ることもしばしばです。Ubuntu 11.10の姿がきちんと見えてくるには,まだ時間がかかるでしょう。

ただし,すでにリリースまでは2ヶ月を切っていますから,Ubuntu環境で動作するソフトウェア・ハードウェアでビジネスを行っている場合はテスト開始のデッドラインとなります注1)⁠具体的なテストを行えていない場合は,今すぐQA計画を立てるべきでしょう注2)⁠

注1
とはいえ,Feature Freeze直後は「かけこみ」で投入された新パッケージが相当数存在するため,⁠リリースエンジニアリングのスタート地点」であると同時に,猛烈に問題が発生する期間でもあります。おかしな挙動に遭遇したくない場合,8月下旬まで待ってテストを開始するようにしてください。もちろん,トラブルシューティングが楽しくて仕方がないタイプの方は,積極的にテストを行い,トラブルに遭遇してみてください。
注2
kernelまわりの修正はkernel freeze(9月15日)までの期間は受け付けられます。特にドライバ関連の問題であれば,まだ充分な余裕があります。なお,11.10を諦めて12.04をターゲットにした作業を行う場合,Leannの個人的なリポジトリを利用することで,ソースコードベースで先行テストが可能です。

Oneiric版Unityのデザインと新しいログイン画面

Oneiricに投入されたUnityが新しいデザインになり,徐々に「11.10」としての姿になりつつあります。Mark Shuttleworthのblogに掲載されているものは現在のOneiricよりもさらに新しいものですが,リリースまでにはこの画面が実際にデスクトップ上で動くようになるでしょう。Unityの開発は現在も続いており,開発の協力者の募集が続いています。興味のある方は参加してみてください。

また,ログイン画面についても,LightDMをベースに構成された新しいログイン画面(Unity Greeter)に切り替わりました。この2週間ほどで,⁠見た目」の面では大幅な変化があったと言えるでしょう。

図1 現在のOneiric版Unity。これまでに比べて明るい配色になったこと,⁠背景」のぼかしがより鮮明になったことなど,見栄えが大きく向上している。

図1 現在のOneiric版Unity。これまでに比べて明るい配色になったこと,「背景」のぼかしがより鮮明になったことなど,見栄えが大きく向上している。

ia32-libsの削除

現在のCPUの多くはAMD64互換の64bit動作モードを備えており,⁠x64」⁠x86_64」などという名称で各OSがサポートを提供しています。Ubuntuも例外ではなく,x64環境をサポート(Desktop)⁠あるいは標準(Server)としています注3)⁠

AMD64互換の64bitCPUは,64bitモードを基本としつつ32bit命令を受け取る,という動作が可能なため,32bitのソフトウェア資産をバイナリのまま転用することができます。しかし,OSとしては32bit動作用のライブラリを準備しておく等,互換モードのための備えをしておく必要があります。これまでのDebian・Ubuntu環境では,ia32-libsがその役を担っていました。

これは普遍的な仕組みではなく,近い将来訪れるであろうARMの64bit化注4や各種CPUの混在利用などを考慮した,より新しい仕組みが必要となっており,Debian・Ubuntu共通のプロジェクトとしてMultiarchと通称される対応作業が開始されています。

Oneiricでは,Nattyで導入されたMultiarchサポートのための基本フレームワークを利用し,ia32-libsの撤廃と,それに伴うパッケージングの調整が行われます。これに伴い,各種パッケージの調整,ビルドスクリプトやMakefileの修正など多岐に渡る作業が予定されています。

ユーザーとして覚えておくべきことは,⁠ia32-libsはもう要らないので,削除される予定である」ことと「Oneiricを新規に導入した場合,自動的にMultiarchを利用した構成になるが,もし8月15日までにインストールorアップグレードしていて,かつ開発を行う場合は自分で設定を変更する必要がある」の2点です。Oneiricのamd64環境をテストしている場合はこれまで想定されていなかった不具合に遭遇する可能性もありますので,注意しておいてください。

注3
Desktop環境はIA32(i686 with PAE)とARM(ARMv7)を基本とし,オプションとしてx64をサポートしています。逆にServer環境はx64が基本,IA32がオプションです。OneiricではServerについてもARM(ARMv7)サポートが提供される予定です。
注4
そもそもARMについても,ARMv5/ARMv6/ARMv7と命令セットが混在状態で,Ubuntuのように割りきってARMv7専用とするか,あるいは互換性を重視してARMv5に留めるか,なんらかの方法で「必要に応じてどちらでも」動作するようにするか,というジレンマが存在します。

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その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1190-1:DHCPのセキュリティアップデート
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  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1191-1:libXfontのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-August/001394.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-2895を修正します。
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  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
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著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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