Ubuntu Weekly Topics

2013年2月8日号 Ubuntu Phoneの登場時期と搭載機能・Chromebook向けパッケージ・Wandboard出荷開始・UWN#302

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Ubuntu Phoneの登場時期

Ubuntu Phoneを搭載した製品の顧客への提供時期は今年の10月はじめになる,というWall Street JournalのWeb記事,⁠The CIO Report」掲載されています。もしこれが正しいとすると注1)⁠Ubuntu Phoneの開発はすさまじい速度で行われていることになります。

当初SamsungのGalaxy Nexus向けのイメージが1月にリリースされる予定注2となっていましたが,このインタビューでは2月の遅い時期となっており,タイムテーブルはまだまだ前後することが考えられます。

注1
Wall Street Journalの記事はMike Shuttleworthを「CanonicalのCEO」と表記しているため(現在のCanonicalのCEOはJane Silberにバトンタッチ済)⁠信憑性に若干の不安を感じさせる部分も含まれます。特に,⁠10月の初旬」は13.10のリリース時期とも重なっており,⁠マークさん,それで結局Ubuntu Phoneのリリース時期はいつですか?」⁠13.10で正式にリリースする予定だよ」⁠13.10ってリリース時期はいつですか」⁠2013/10だよ」やった特ダネゲットだぜ!)⁠といった,⁠主に担当した記者の将来にとって)不幸な誤解が起きた可能性もあります。より確実な情報を見てから判断すべきと言えます。
注2
今回については旧暦であっても1月はあと一ヶ月程度しかないので,おそらくそれほど待たされずにUbuntu Phoneのプロトタイプをテストすることができるはずです。あくまで,遅れなければ,という条件は付きます。

Ubuntu Phoneの機能

Ubuntu Phoneについてはかなり強烈なBlueprint(ubuntuphone-camera-s-4k-video)が登録されています。

おおまかに意訳すると,⁠これからの撮影は4Kだ。スマートフォンに搭載されているカメラはまだ800万画素程度で4Kに対応しきれていないが,2013年にリリースされるモデルではこれを上回る解像度になり,4K Readyになるはずだ。静止画は4K品質に対応させ,いずれ動画についても4Kをサポートするべきだろう」といったところです。

4K解像度は通常のスマートフォンでは「写真を4K解像度にしてもどうせモニタの解像度が足りないから意味がないだろう」と突っ込まれるところですが,Ubuntu Phoneは「そのままモニタに接続すると普通のUbuntu Desktopが動作する」という機能も搭載されているため,4K解像度で撮影しておくことは無駄になりません。理想的な展開を仮定すると,Ubuntu Phoneで撮影 → 自宅や職場に持ち帰ってUbuntu Desktopモードに切り替え → 高解像度モニタ上でGIMPやDarkTableで調整,という流れで活用することができます。

また,このBlueprintは,⁠Ubuntu Phoneのターゲットにハイエンドスマートフォンが含まれている」ということも意味します。一般的なスマートフォンベンダの製品ラインナップでは,最上位画素数(2013Q1の時点では1300万画素)のカメラを搭載するのはハイエンドに属するモデルのみです。これがCanonicalが確保したOEMの製品事情を反映しているのであれば(楽観的な観測)⁠⁠ハイエンドモデルにUbuntu Phone」という非常にチャレンジャーなベンダーを捕まえたことになります。もっとも,これが「2013/10に出てくる」機種のことを意味しているとは限りませんし,OEMに対するカタログスペック的なアピールである可能性も考えられます。

……とはいえ,⁠上位」モデル(Ubuntu Phoneでは上位と廉価版の二系統になるだろうことが宣言されています)⁠の方はかなり強力なガジェットとしてリリースされる可能性がある,と言えるでしょう。なおBlueprintはあくまで「こういう機能を実装すると良いのでは」という新機能の予定稿とでも言うべきものなので,挫折して搭載されないかもしれないし,ハードウェアの制約で廉価モデルには搭載されない上に日本国内では廉価モデルしか売られずに枕を濡らすことになるかもしれない,という点には注意が必要です。

Ubuntu Phoneはこれまでも本連載で見てきた通り,⁠コミュニティによる協力」もリソースに組み込んだ形で開発が行われるプロジェクトです。このため,各種ソフトウェアの構成やデザインなどは,wiki.ubuntu.comなどである程度確認することができます。

また,これをヒントにLaunchpad上でUbuntu Phoneに関連するらしきBlueprintを探していくと,Ubuntu Phone Core Apps Developersというチームが見つかります。このチームは1月22日とごく新しいタイミングで作成されており,さらに,登録されているメンバーがCanonicalの雇用者ばかりとなっています。外部に公開されている情報が少ないため断言はできませんが,登録されているサブチームもwiki.ubuntu.comのアプリケーションリストと揃っており,おそらくUbuntu Phoneのコア部分のユーザーランドアプリケーションを開発するチームであろう,ということが見て取れます。

「linux-chromebook」

有志により,SamsungのChromebookでUbuntuを使うための「linux-chromebook」メタパッケージが公開されています。このパッケージを使うことで,Chromebookに必要な専用パッケージを簡単に導入できる,というものです。入手はPPAから行えます。

これはあくまで「ボランティア」ベースのパッケージなのUbuntu本体やCanonicalによるサポートが提供されるものではありません。また,モジュールの構造上,おそらくSamsungのExynos系SoCを搭載したChromebook専用です注3)⁠

注3
そもそも「Chromebook」「Chrome OSが動作するノートPC」程度の意味しかなく,SamsungのものにはExynosが搭載されてARM系である一方,Acer c7Pavilion 14 ChromebookはIntel Celeronを搭載と,搭載プロセッサのレベルでよく分からない状態になっています。当然ながらここでリリースされているはIntel系プロセッサを搭載したChromebook上では動作しないので,⁠chromebook」という文字列に釣られてインストールしてはいけません。Exynosを搭載したAndroid TabletやARM Boardのたぐいの方がまだしも動く可能性があります。

Wandboardの出荷開始

以前に何度か本連載で紹介した,Freescale i.MX6搭載の小型ARMボード,Wandboardのプレビュー的な出荷が開始されています。

Wandboardは,Ubuntuが動作し$100前後で購入できる超小型コンピューターです。専用ケースも準備されており,手軽に手を出せる金額の,比較的高性能なARMマシンです。microSDカードスロットが2系統搭載されていること・S/PDIFが搭載されていることもあり,メディアプレイヤー的な用途に使うこともできそうです。

日本国内ではエヌ・エム・アールから購入することができます。ARM特有の様々なクセを乗りこなすスキルと「自力でなんとかする」気合が必要になりますが,小型・低消費電力のUbuntuマシンを入手したい場合は手を出してみても良いでしょう。

UWN#302

Ubuntu Weekly Newsletter #302がリリースされています。

その他のニュース

  • Linux版Steamに,Sourceエンジン版CounterStrikeと,Half-Lifeが登場しました。CounterStrikeそのものはすでに古い部類のゲームではありますが,Steamの運営会社であるValveをメジャーベンダーに引き上げたCounterStrike(のエンジン更新版)がリリースされたことで,⁠Valveは相応以上にLinux版Steamに本気である」ということをアピールする効果があります。
  • Ubuntu Oneに13.04で搭載される予定のSync Menuについて。
  • LibreOffice 4.0が正式にリリースされています。ただし,開発版を含めて現時点ではUbuntuのリポジトリには提供されていないため,個別にインストールする必要があります。インストールする前にはこちらも確認しておく方が安全です。
  • お手元のAndroid環境にUnityライクなランチャーを搭載できる,Ubuntu LauncherなるものがGoogle Play上に公開されています。Andoroid 4.0以降で動作します。Dashはありませんが,UnityのLauncherに似たユーザーインターフェースをAndroid上で実現できます。スマートフォンにはあまり向きませんが,タブレットではそれなりに実用的です(経験者談)注4)⁠
注4
このUbuntu LauncherはUbuntu PhoneやUbuntu for Androidとは関係のないAndorid用ホームランチャーで,CanonicalやUbuntu Teamが開発しているわけではありません。

今週のセキュリティアップデート

usn-1699-2:Linux kernelの再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001981.html
  • Ubuntu 12.10用のアップデータがリリースされています。usn-1699-1で発生したファイルデスクリプタのリークを解決します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1700-2:Linux kernel (OMAP4)の再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001982.html
  • Ubuntu 12.10のOMAP4カーネルのアップデータがリリースされています。usn-1699-1で発生したファイルデスクリプタのリークを解決します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1696-2:Linux kernelの再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001983.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。usn-1699-1で発生したファイルデスクリプタのリークを解決します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1698-2:Linux kernel (OMAP4)の再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001984.html
  • Ubuntu 12.04 LTSのOMAP4用カーネルのアップデータがリリースされています。usn-1699-1で発生したファイルデスクリプタのリークを解決します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1704-2:Linux kernel (Quantal HWE)の再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001985.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用の3.5系カーネル(12.10のバックポート版)のアップデータがリリースされています。usn-1699-1で発生したファイルデスクリプタのリークを解決します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので,カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので,通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1714-1:QXL graphics driverのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001986.html
  • Ubuntu 12.04 LTS・11.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0241を修正します。
  • QXLグラフィックドライバを利用してSPICEセッションを稼働させている場合,能動的にハングアップを発生させることが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
usn-1715-1:OpenStack Keystoneのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001987.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0247を修正します。
  • Keystoneへ連続してアクセスを行うことで,無効なトークンファイルとログが無制限に生成される問題がありました。この挙動を利用することで,対象サーバーのストレージを溢れさせる形でのDoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1681-4:Firefoxの再アップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001988.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。usn-1681-1の再アップデートです。
  • Firefox 18.02に相当するアップデートです。18.01でFacebookを開くとクラッシュしていた問題を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,Firefoxを再起動してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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