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2014年2月21日号 systemdへの移行、Ubuntu Phoneの採用状況、UWN#355

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systemdへの移行

Debianがinitとしてsystemdの採用をほぼ確定したことを受け,Mark ShuttleworthがUpstartからsystemdへの移行を提言するblog記事を投稿しています。

内容的には「Debianはsystemdを選んだ。我々もそれに従うべきだ」というもので,Upstartからsystemdへの移行を示唆するものとなっています。ただし,全体的にまわりを説得するタイプの表現に満ちているため,⁠Mark Shuttleworthとしてはこう考えている」という話で,まだ「Ubuntuとしてどうするか」という結論ではないという状態です。ポイントとなるのは次の点です。

  • 「いつ」切り替えるとは言っていない。⁠移行することになるだろうが,少なくとも14.04には間に合わない」とは言っている。
  • Technical Board Meetingではまだ承認されておらず,移行計画はおろか,⁠本当に移行することが妥当かどうか」を含めてまだ白紙の状態。
  • もっとも,Debianの新世代initとして何が採用されるか,という点がDebian派生ディストリビューションに与える影響は非常に大きいこと,initの操作性が異なることは大きなギャップとなるであろうこと,今後新しいinitになっても期待を持てるであろう,ということを語っている。
  • また,Markはスポーツになぞらえて「Losing graciously」⁠スポーツマンシップ的な文脈における「敗者の礼儀」的な慣用表現)「And… onward.」一同,前へ!」という号令で使われる命令用法)といった表現を用い,⁠負けることもありえることだ,ベストを尽くした」ということを示している。

「Mark Shuttleworth個人としてはUpstartからsystemdへの移行は必須であると考えている」という表明ではありますが,Ubuntuそのものの意思決定としては確定ではない,というステートです。

とはいえ,Mark ShuttleworthはUbuntuにおける(出資者としての)最終決定権を持っている注1こと,また,Upstartのメイン開発者はCanonicalに雇用されている(=Canonicalが予算を止めたら開発は継続されなくなる)こととMarkの意図がCanonicalの業務指示に反映されない可能性はないため,⁠ほぼ」UbuntuもUpstartからsystemdへの移行を行うであろう,という状態です。

ただし,upstart-develメーリングリストやTechnical Boardからのアナウンスはまだ行われておらず,UDSで「Upstartやめね」という議論がされた状態でもありません。確実な決定はおそらく3月のUDSに持ち越され,あらためて移行プラン等が決定することになると予想されます注2)⁠

ユーザーとして把握しておくべきは,⁠とりあえず14.04はUpstart,そこから先はまだ未定」というレベルになるでしょう。

注1
現状において,この特権が発動されたことはなく,⁠一応そういうことになっている」という扱いです。非常に厳密に考えると「6.04が6.06になった」というリリース延期の判断はこの特権に基づくものであったようにも見えますが,このタイミングではMarkが他の意思決定件者の説得に成功しています。
注2
ただし,ここまでお膳立てがあっても「じゃあ今後はUpstartにsystemd互換機能でも実装しようか」⁠むしろsystemdにUpstart互換機能を搭載すればいいんだよ」⁠頭いいなお前」などという壮絶な展開に化けてしまう可能性は否定できません。

Ubuntu Phoneの採用状況

Ubuntu Phoneを採用するベンダーが,公式にアナウンスされました。Ubuntu Phoneの第一陣となるのはスペインqbと中国Meizuで,キャリアではなく,端末メーカーが発表された段階です。

Meizuはこれまでの行動でほぼバレていた部分はあるにせよ,これまではCanonical/Ubuntuからは公式なアナウンスは行われていない状態であったため,大きな進展と言えるでしょう。

ここからさらにキャリア側の採否が決まるか,あるいはSIMフリースマートフォンとして販売されるのか,といった点はまだ明らかになっていませんが,⁠OSはあるがハードウェアがない」という事態は避けられる見込みです。

UWN#355

Ubuntu Weekly Newsletter #355がリリースされています。

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著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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