Ubuntu Weekly Topics

2014年6月6日号 Inspiron 11 3000 Ubuntu model・Cavium ThunderX・UWN#370

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Inspiron 11 3000 Ubuntu model

Dellから,少し変ったスタイルのUbuntu搭載PCが販売されそうです。Computex Taipei 2014とその周辺のプレスリリースで公開された内容によると,Dellの新型PC,Inspiron 11 3000とInspiron 13にはUbuntu搭載モデルが用意されることが宣言されています。

Inspiron 11 3000はBay Trailベースの廉価SoC(8インチタブレットで使われるものと同じシリーズのSoC)を搭載したハードウェアで,いわゆる『Yoga』と同じように,⁠ほぼ360度回転可能なヒンジを採用することで,キーボード一体型タブレットをタブレットとしても,ノートPCとしても,あるいは『若干間違った気配の漂う立ち方をするスタンド付きタブレット』として利用できる」スタイルを持ったノートPCです。キーボードの分1.3kgとやや重めで,常時タブレットとして利用するには筋トレを余儀なくされるものの, 廉価モデルは$449からと非常に入手しやすい価格で販売される予定です。現在販売されているInspiron 11 3000(3137)の後継モデルにあたると見られます。いわゆる『Yoga』モデルはおおむね倍近い価格帯で販売されているため,大幅な価格破壊と言えるでしょう。

このモデルにUbuntu 14.04 LTSがプリインストールされて販売されるということは,⁠タブレット的に14.04 LTSを利用する方法が提供される」ことを意味します。時期的な問題から(14.04 LTSではUnity 8は準備はされているもののプレビュー品質なので,製品に載せようとすると2014年にリリースできない可能性が高くなります)⁠Unity 8ベースの「デスクトップでもタブレットでも」利用できるUbuntu Touchベースではなく,通常のUbuntu Desktopをタブレットとして利用するパターンとなると予測されます。⁠Ubuntu搭載タブレット」と言い張るには少々厳しいのですが,日本国内でも販売されれば,おそらく5万円前後でUbuntu搭載タブレットを気楽に入手できるようになります。

PC Worldの報道によると日本でも6月からWindowsモデルのInspiron 11 3000が販売される可能性が高く,楽しみなデバイスと言えるでしょう。

Cavium ThunderX

Canonicalが,Ubuntu 14.04 LTSをThunderXに対応させようとしているという報道が行われています。

ThunderXはCaviumがリリースするARMv8(=ARM64)⁠ SoCで,最大48コア,各コア2.5GHzで動作する大規模用途けチップです。4チャネルのDDR3/4メモリコントローラを搭載し,1SoCあたり512GBまでをサポートする,ワークロード集積型ユニットとして機能します。

ARMの「比較的軽量なワークロードに向けられる」というイメージからはかけ離れたチップで,⁠ひとつひとつは軽量だが,並列数が膨大」というタイプの演算処理を行うために用いられます。

Caviumはこの種のマルチコアMIPS/MIPS64 SoCを継続的にリリースしているベンダで,そのSoCはやや特殊なコンピューティング分野,たとえばネットワーク装置の一部として動作したり,セキュリティデバイスとして通信を解析するといった用途に向けて使われてきています。ThunderXはCavium初のARM版SoCで,これまでのMIPS版SoC(Octeon)よりも幅広い分野で使われると考えられます。たとえば,1ユニットでビッグデータ解析機を構成したり,それぞれのコアごとに仮想マシンを割り振って大量のクライアントを捌いたり,あるいはSNS事業者のエッジサーバー(要するにHTTP/HTTPS Server)としてフロントエンドタスクを捌くマシンになるでしょう。これまでも*BSDではOcteonはサポートされており,ごく一部ではOcteon搭載デバイスをこうした用途に使われてきていますが,⁠MIPSである」という一点が障害となり,広く使われているとは言いがたい状態でした。

ThunderXはOcteonに比べると特殊さは薄れているとはいえ,基本的には大規模利用向けのデバイスです。家庭内に(たとえラックがあっても)入る可能性は高くありませんが,ローエンドモデルとして8コアを上限とするコスト重視モデルも存在するため,個人で利用できるARMテストベッドとして製品化されることも考えられます。

もちろん,本質的には一般的な用途に用いられるチップではないことに変わりはないので,家庭にThunderX搭載デバイスがNASとして転がっているといった光景にはならない可能性が高いのですが,趣味的にUbuntuを使う場合には楽しみな選択肢が出てくるかもしれません。

すでに13.10はThunderXで動作しており,今後14.04 LTSが動作するといろいろなサイトで利用される可能性が出てきます。ThunderXは前述の通り,ARMサーバー環境で強い立ち位置を占める可能性のあるチップなので,Canonicalが着実に手を進めていると言える一手と言えるでしょう。このような流れがあると,その他のARM64プレイヤー,たとえばAMDの⁠Seattle⁠(Opteron A1100。ARM64版Opteronの初代チップ)⁠SkyBridge⁠(x64 APUとARM64 APUの二種類を差し替えて利用できるプラットフォーム)での動作についても期待が持てそうです。

UWN#370

Ubuntu Weekly Newsletter #370がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-2229-1:GnuTLSのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-June/002530.html
  • Ubuntu 14.04 LTS・13.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-3466を修正します。
  • サーバー側から送出されるHelloメッセージに悪意ある細工が施されていた場合,クライアントがメモリ破壊を伴ってクラッシュしていました。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2230-1:chkrootkitのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-June/002531.html
  • Ubuntu 14.04 LTS・13.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0476を修正します。
  • chkrootkitのファイル名処理に問題があり,悪意あるファイル名を処理した際に,任意のコマンドの実行が可能でした。これを用いることで権限昇格が可能です。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2232-1:OpenSSLのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-June/002532.html
  • Ubuntu 14.04 LTS・13.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-0195, CVE-2014-0221, CVE-2014-0224, CVE-2014-3470を修正します。
  • OpenSSLに対するバッファオーバーフローを伴うクラッシュ・MITM攻撃・DoSが可能です。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
  • 備考:いずれも致命的な問題を引き起こす可能性があるため,早期のアップデートを推奨します。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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