Ubuntu Weekly Topics

2015年4月24日号 Ubuntu 15.04 “Vivid Vervet”のリリース・Debian 8“Jessie”のリリースとリリースパーティー・UWN#413

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Ubuntu 15.04 “Vivid Vervet”のリリース

2015年4月23日(木曜;現地時間,注1)⁠Ubuntu 15.04 “Vivid Ververt⁠リリースされました。今回のリリースではinitデーモン注2がUpstartからsystemdに切り替えられたことと,⁠Ubuntu Make」と呼ばれるソフトウェア開発者向けの開発環境構築ウィザードが準備されたのが大きなポイントです。

リリースノートは次のとおりです。

ただし4月23日20:00現在,日本語への翻訳だけでなく英語版リリースノートも未完成です。これはUbuntuのリリースプロセスの制約によるものです(ぎりぎりまで直しているのでリリースノートに書ける内容が確定しない&分業制を取れるだけのリソースがないので,開発が終わった時点で作業が始まるともいいます。ここでリリースノートを更新するのはおおむね主要な開発者なので,その後の開発の状況をトレースする場合などに役に立ちます)⁠そのため,known issueや細かい修正点注3は数日後に完成する見込みです。

英語版が未完成なこともあり,日本語訳は現在作業中です。こちらも数日中の完成を目指しています。同様に日本国内・日本語ユーザーに向けた日本語Remixもリリース準備中です。QAの都合から,一週間程度かかる見込みです。

注1
なんらかの間違いにより「4月22日(木)にリリースされる」という誤解が一部に広まっていたようです。4月22日が木曜日なのはこの数年の範囲だと2010年です。⁠なぜかまだダウンロードできないのだがオマエのところのミラーはどうなっているのか」というクレームを4月22日の時点で寄せてくるのはお控えください(実話)⁠なお,Ubuntuの「リリース」ubuntu-announceにリリースメールが流れた時」です。リリースエンジニアリングの都合でhttp://releases.ubuntu.com/や各ミラーサーバーから「ダウンロード可能」な状態になっていることがありますが,リリース以前に入手しても差し替えが行われる可能性があり,基本的に利用者も関係者も不幸になるだけなので避けることをお勧めします。⁠リリースされたというニュースが流れる」あるいは「ダウンロード可能な状態にある」ということと,⁠リリースされた」というのはまったく別の概念です。
注2
initデーモンとは,⁠カーネルの次に動作するプロセス」のことです(厳密には少し違っていて,idleプロセスが最初に起動した後にinitが……といった話が始まると無限に字数を消費するので止めておきましょう)⁠システム上で動作するあらゆるプロセスはinitから,あるいはinitから起動されたプロセスの子(や孫や曾孫や玄孫やその先)から起動されます。⁠ユーザーランド」と呼ばれる空間を構成するためのコアがinitデーモンです。……と書くと非常に大変なもののように聞こえてしまい,⁠そんなものを入れ替えて信頼性は大丈夫なのか」という疑問を持ってしまうかもしれませんが,実際にはinitデーモンが正しく動くようにしないとそもそもまったく動かないぐらいの大惨事が起きるものなので,⁠今のところ何も起きていない」「移行はおおむね上手く完了した」といえます。ちなみにUbuntu的には6.06でUpstartへの切り替えを行っていますが,そのときにはほとんど話題にならない程度に何も起きずに移行に成功しています。
注3
CUPS(印刷システム)関連は,担当者がデスクトップ関連のタスクを完了させてからおそらく趣味で書いているため,リリースから1週間単位で遅れることがあります。すさまじく重厚かつ細部まで変更点を語っているため,「あのリリースノートを読んでおけばCUPSの変更点はだいたいキャッチアップできる」という使われ方も筆者を含むごく一部でされていたりもします。事実上「細かすぎて伝わらないリリースノート」と化していることもありますが,このあたりのギリギリの個性の発揮を許すあたりがUbuntuの特徴ともいえるでしょう。

Debian 8 “Jessie”のリリースパーティー

Ubuntuの上流にあたるDebianも,4月25日に新バージョン“Jessie”のリリースを迎えます。日本国内でもリリースパーティーが開催される予定です。なお,「お祝いしてくれるなら使ってなくても構いません」ということで,Ubuntuユーザーのほとんどすべての方には参加する権利と義務の両方があります!注4

Ubuntuのリリースパーティーはまだ先(具体的な日付は未確定なものの最速でもゴールデンウィークより後)の予定ですので,こちらへの参加もご検討いただければ幸いです。

注4
Ubuntuの多くのパッケージはDebian由来のものですし,universeにあるパッケージはほぼすべてが「Debian sidにあるものをリビルドしただけ」というものです。Debianが無事にリリースされることはUbuntuの機能や品質に直接的に影響しますし,なにより,コアな関係者はたいていDebianもあわせて利用しています。

UWN#413

Ubuntu Weekly Newsletter #413がリリースされています。

今週のセキュリティアップデート

usn-2569-2:Apportのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-April/002908.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。LP#1444518を修正します。
  • usn-2569-1の修正では攻撃が抑制しきれておらず,依然として権限昇格が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2572-1:PHPのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-April/002909.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-2305, CVE-2015-2348, CVE-2015-2783, CVE-2015-2787, CVE-2015-3329, CVE-2015-3330を修正します。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2574-1:OpenJDK 7のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-April/002910.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-0460, CVE-2015-0469, CVE-2015-0477, CVE-2015-0478, CVE-2015-0480, CVE-2015-0488を修正します。
  • CPUApr2015に相当するアップデートです。
  • 備考:セキュリティ修正以外のバグ修正や挙動の変更を含んだアップデートです。
usn-2575-1:MySQLのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2015-April/002911.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2015-0433, CVE-2015-0441, CVE-2015-0499, CVE-2015-0501, CVE-2015-0505, CVE-2015-2568, CVE-2015-2571, CVE-2015-2573を修正します。
  • CPUApr2015の修正を伴う,MySQL 5.5.43への更新です。5.5.42の更新分も含んでいます。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
  • 備考:セキュリティ修正以外のバグ修正や挙動の変更を含んだアップデートです。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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