Ubuntu Weekly Topics

2016年1月8日号 CES2016のNVIDIA講演・“pagemon”・“Smart Touch Computer”

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CES2016

2016年に入りました。今年も恒例のCESから1年がスタートしていますが,この原稿を書いている段階では(まだ?)Ubuntu関連の大きな発表はありませんでした。

ただし,直接的ではないもののUbuntuの広まりを感じられる情報として,CESで開催されたNVIDIAの講演が挙げられます。この講演はNVIDIAが注力する自動運転車に関するもので,新しい車載向けボードや,GPGPUによる機械学習に基づいた自動運転をアピールするものなのですが,デモの後半で表示されるデスクトップ画面の左端に,どこかで見たことのあるアイコンたちが並んでいます。

NVIDIAの自動車関連のプレスではUbuntuが利用されることが非常に多く(さらに組み込みボードのたぐいのデフォルトOSがUbuntuである頻度も高く),開発現場などで広く使われるようになることが予測できます。

“pagemon”

パフォーマンスチューニングやデバッグに利用できる,非常に強力なツールが登場しました。CanonicalがUbuntu開発の一環として行っているstress-ng注1の開発の過程で生み出された「pagemon」と名付けられたこのツールは,特定のプロセスがどのようにメモリ空間を占有しているかを,cursesベースのUIで表示することができます注2)。たいていのユーザーにはあまり役に立たないものの,システム管理者やアプリケーションの性能チューニングをするプログラマにとっては,非常に強力なツールになるでしょう。

注1
伝統的な負荷ツールであるstressの新世代バージョン。サーバーや各種ソフトウェアが正常に動作することを確認するために,さまざまな疑似負荷を発生させるツールです。
注2
ターミナル上で,どこがdirtyでどこが通常のpageでどこがswapoutしているのかを表示させることができ,さらにメモリの中身をバイナリビューワで閲覧できます。

“Smart Touch Computer”

興味深いコンピューターが登場しています。ADLINK社が提供する「Smart Touch Computer」は,「ボードのコア部分を変更することで,x86 CPUとARM CPUを積み分けることができ,WindowsやLinuxを動作させることができる」組み込み市場向けのタッチパネルコンピュータです注3)。

「Linuxサポート」がサポートするLinuxは明示こそされていませんが,デバイスのイメージ図にはUbuntuのロゴが記載されています。Smart Touch Computerの本体部分にはSMARC規格に基づいたドータボードスロットが存在し,このドータボード上にARMやIntelのSoCを搭載し,これを周辺デバイスが搭載されたボードに差し込むことで動作します。これにより,目的に応じてCPUやOSを使い分けることが可能です。カートリッジ式ゲーム機のカートリッジと本体を思い浮かべると分かりやすいでしょう。さらに,液晶パネル部分を変更することで,パネルサイズを変更することも可能です。この動画を見ると分かりやすいでしょう。

こうしたコンピューターが利用されるようになると,「街中で見かける自動販売機の中身がUbuntu」といった世界になるかもしれません。

注3
ADLINKは計測器・組込業界では古くから存在する企業です。たとえば自動販売機やキオスク端末・ショーウインドウ・電光掲示板や工場システム・医療向けシステムなどで広く採用されています。

UWN#447

Ubuntu Weekly Newsletter #447がリリースされています。

その他のニュース

  • 16.04のアルファ1リリースが行われています。現時点では15.10からの大幅な変更はなく(変化があるのはこれからです),テスト目的であればあまり意味はありません。インストールできない,正常に動作しない,といった,将来の確認を阻害する要因がないかを確認する意味では現状でテストしておくのが良いでしょう。
  • 14.04でSkypeがインストールできなくなってるけどどうしようか?という問いかけ。
  • Ubuntuはいったいどんな場所で使われているのか?というまとめ。
  • Ubuntu Touch用のOpenVPNフロントエンドについて。
  • Debianの創始者,Ian Murdockが死去しました。45歳でした。なお,Ianの足跡を振り返る記事がars technicaに掲載されています。
  • apt-getの高速化について。apt-getそのものに興味が無くても,プロファイリングに基づく高速化アプローチの例として参考になるでしょう。
  • HTTP2をサポートするためのnghttp2モジュールを,16.04のリリース後にMIR(mainへ登録)させてもらうことはできる?という提案。提案者が(MIRされることでメンテナンス義務を負う)server-team + security-teamのRobie Basakなので,この提案が受け入れられる可能性は高そうです。
  • “snapappの使い分けをはっきりさせようという提案。
  • Javaアプリケーションをsnapcraftを使ってsnapパッケージにするサンプル動画。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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