2009年秋、PC Xサーバの製品動向~セキュリティ、仮想化の対応がポイント~

ミッションクリティカルな基幹業務や開発業務を担うUNIX、Linuxサーバは、コスト削減や業務効率に加え、セキュリティへの対応、シンクライアントといった新技術との融合が求められています。そうした中、UNIXやLinuxアプリケーション操作に不可欠な「PC Xサーバ」が、UNIX資産の活用、セキュリティ強化など、新たな課題を解決するソリューションとして期待を集めています。新製品が続々と登場するPC Xサーバの製品動向を探ってみましょう。

幅広いシーンで活躍する「PC Xサーバ」

Windowsを搭載するIAサーバは、クライアント同様、オフイス環境で大きくシェアを伸ばしています。しかし、基幹系業務やCADを中心とするエンジニアリング系アプリケーションなどの領域では、堅牢なUNIX、Linuxサーバが現在も根強い人気を誇っているのが現状です。

「PC Xサーバ」は、従来、UNIXサーバ上で稼動する業務アプリケーションの操作に必要だった専用端末(xターミナル)の機能をエミュレートし、WindowsPCのみで、WindowsアプリケーションとUNIXアプリケーションの利用を実現したツールです。

これにより、通常業務を行うWindowsPCとの切り替え作業で生じていた生産性の低下、コストの増加といった課題を解決。UNIXアプリケーションの必携ツールとして、急速に普及しました。1990年代の登場から今日まで、開発や設計、教育など、多くの企業や研究機関、学校で導入されています。

継続的な運用を支援、セキュリティなど機能を強化

PC Xサーバのメリットは、継続的な運用に欠かせない機能が確立されている点です。

たとえば、同一コンピュータ上でWindowsやUNIX、Linuxを動作させる以外に、ネットワーク経由で複数のUNIX、Linuxサーバに同時接続して操作を行うことや、1つのUNIX/Linuxサーバの画面を複数のWindowsPCに表示して情報共有することが可能です。さらに、主要UNIX系OSやホスト、古いアプリケーションをサポートしているので、過去の企業資産をそのまま活用できます。このほかにも、特定の色数でしか動作しないアプリケーションの画面表示やWindowsフォント代替え表示、MS-IMEやATOKなどによる日本語入力、3Dグラフィックスの描画に用いられるOpenGL対応など、UNIXアプリケーションをWindowsPCで利用する際に必要な操作性、互換性、再現性などが機能として備わっています。

最近では、コンプライアンスの対応が企業の重要な課題となっていますが、SSH(セキュアシェル)による暗号化通信やデータ圧縮により、WindowsとUNIX、Linux間の通信をセキュアに利用することが可能です。

また、ネットワークの障害に備え、セッションの自動保存や中断したアプリケーション操作を再開できるなど、操作の手戻りを減らすサスペンド機能やネットワークの帯域幅をコントロールして負荷を軽減する機能を搭載する動きも活発化しています。

さらに、⁠統合化」⁠仮想化」⁠クラウドコンピューティング」といった新たな技術に対応する動きもあり、仮想環境のサポートや最新のWindows OSへの対応など、安心して継続的に利用できる機能強化が図られています。このように、PC Xサーバは、これからもミッションクリティカルな開発業務や監視、管理業務など、幅広い用途で利用が進むのは間違いありません。どんな使い方をするかを考慮して、製品を選ぶようにしましょう。

幅広い用途で活躍する、高機能PC Xサーバ「Reflection X」

Reflection Xは、仮想化テクノロジーのWindowsターミナルサーバやCitrix Xen APPを標準でサポートする高機能PC Xサーバです。これまでにも多くの企業に導入され、半導体などの回路設計といった設計、開発業務、ネットワークやサーバ監視など、幅広く活用されています。

主要なホスト、Xサーバ表示に対応しており、複数のUNIX/LinuxのXディスプレイを同時に表示できるので、1つの端末で複数の作業を行うことが可能です。また、UNIXアプリケーションで表示した画像やテキストを、WindowsのExcelやワードへ簡単にコピー、ペーストできます。さらに、操作しているUNIX上のアプリケーションの出力を、手元のWindowsプリンタから行える「LPD(Line Printer Daemon⁠⁠」や、トラブルシューティングに役立つトレースデータの収録、再生機能なども付属しています。

図1 複数Xディスプレイ表示で同時作業が容易
図1 複数Xディスプレイ表示で同時作業が容易

セキュリティ、シンクライアントに対応。コスト削減、資産活用のメリット

Reflection Xは、セキュリティの重要性が高まる中、非常に強固なセキュリティと、仮想化や統合化などに応える幅広い環境への対応を図っています。

強固なセキュリティ

セキュリティでは、WindowsとUNIX間の通信を暗号化し、ネットワークの盗聴など情報漏洩を防止する「SSH」を標準でサポート。また、ネットワークへのアクセス認証である「Kerberos」も標準でサポートし、双方でネットワークの盗聴などを防止します。

幅広い環境対応

WindowsターミナルサーバやCitrix Xen APPなど、仮想環境も標準でサポートしています。シンクライアントを導入する場合でも、WindowsターミナルサーバやCitrix Xen APPにReflection Xをインストールするだけで、UNIXシステムを変更することなく通常の業務と同じようにUNIXを利用することができます。VMwareも標準でサポートしており、コスト削減や管理性の向上、サポートを受けることが可能です。

さらに、Windows Vistaや今後発売予定のWindows7など、最新のWindows OSへの対応も速く、安心して利用できるのも大きなメリットです。

ベース機能も強化

このほか、256色や24ビットなど特定の色数でしか動作しないアプリケーションの同時起動に対応や、3D描画の業界標準のグラフィックAPI「OpenGL」⁠GLX)の標準サポートなど高速かつ正確な描画を実現。導入や設定も容易で、わかりやすい画面で直感的に操作できます。テキストベースのVT端末エミュレータやGUIベースのFTPクライアントの無償提供など、PC Xサーバのベース機能も充実しています。

Reflection Xは、導入コストの削減、シンクライアント利用時のライセンス管理コストの削減、ボリュームディスカウントのライセンスなどコストメリットが高く、古いUNIXアプリケーションをサポートしているので、安定して継続的に利用できます。

図2 OpenGLを標準でサポート
図2 OpenGLを標準でサポート

利便性を追求した、「Reflection X Advantage」発売へ

個々の機能の完成度が非常に高いPC Xサーバにおいて、Xプロトコルの通信帯域やセッションの維持、業務の再開といった利便性を追求した新バージョン「Reflection X Advantage」を2009年10月にリリースする予定です。

セッションのサスペンド&レジューム

Reflection X との大きな違いは、中継端末を経由してUNIX、Linuxに接続している点です。ユーザがセッションを切断しても中継端末とUNIX、Linuxのセッションを維持(サスペンド)することができます。また、外出などで通信をユーザが切ったとしても、ユーザは維持したセッションに再接続し、作業を途中から再開(レジューム)可能です。従来のように、ログインして業務を最初からやり直す必要はありません。

通常使っている端末もReflection X Advantageがインストールされていれば、中継用端末として利用できます。これにより、一人のユーザがUNIX、Linuxに接続したセッションに、別のユーザが参加し、画面共有やUNIX、Linuxの操作権を受け渡すことが可能です。

図3 Reflection X Advantageのサスペンド&レジューム機能
図3 複数Xディスプレイ表示で同時作業が容易Reflection X Advantageのサスペン

さらに、プロトコルのデータを圧縮して送受信できるため、小規模拠点や無線LANのモバイル環境下でも、帯域を気にせず利用することができます。また、Windows OS以外にも、Mac OSやUNIX、Linux端末で利用できるマルチプラットフォーム対応や、PCの異常終了やネットワーク障害発生時のセッションを保護するフォールトトレランスも装備しています。

サイバネットシステムのITソリューション部 営業推進グループ・尾上 康太郎氏は、⁠既存のお客様の課題を解決し、継続的な利用を支援していきます。そのうえで、利便性の高いReflection X Advantageの紹介、新たな提案を図りたいと思います。Reflection Xを使って、生産性を向上させるのがミッションですので、今後も継続利用してもらえるようサポートしていきます」と抱負を語ります。

図4 サイバネットシステムのITソリューション部 営業推進グループ・尾上 康太郎氏
図4 サイバネットシステムのITソリューション部 営業推進グループ・尾上 康太郎氏

時代のニーズに応える機能や個々の機能を高めたReflection Xと利便性を追求したReflection X Advantage。今後もUNIX、Linuxアプリケーションを利用している企業の生産性を向上させるソリューションとして活躍が期待されます。

Reflection Xの価格は、以下を参照ください(価格表⁠⁠。また、Reflection Xの保守契約を締結しているユーザは、Reflection X Advantageを無償で利用できます。興味のある方はぜひ、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Reflection X価格情報
シングルパッケージ価格(税込)
シングルパッケージ\86,100
シングルパッケージ 5ユーザパック\376,740
パッケージサポートサービス ※1\12,600
ボリュームライセンス[2]価格(税込)
新規ライセンス(初年度保守込み)\74,340~
次年度保守更新[3]\11,834~
製品メディア\10,500
教育機関向けアカデミック版 価格(税込)
新規ライセンス\58,170~
シングルパッケージ\68,670

おすすめ記事

記事・ニュース一覧