VirtualBoxでマシンの中身を「テレポート」させてみよう

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

ここ数年,ITインフラ技術の重要キーワードとしてサーバ仮想化が注目されていますが,クライアントPC向け仮想化ソフト(以降⁠PC仮想化ソフト⁠と表記)も着実に発展しています。今回は,Sun Microsystemsの仮想化ソフト,Sun VirtualBox 3.1(以降⁠VirtualBox⁠と表記)で新たに搭載された「テレポート」機能を紹介します。

テレポート機能とは?

テレポート機能は,あるPCで稼働中のVirtualBox仮想マシンを停止することなく,他のPCに移動させる機能です。この機能は一般的には⁠ライブマイグレーション⁠と呼ばれ,多くのサーバ仮想化ソフトに搭載されています。VMware vSphereでは「VMotion」⁠Citrix XenServerでは「XenMotion」⁠Hyper-V 2.0やKVMではそのまま「ライブマイグレーション」と呼ばれています。

企業においては「サーバを止める=業務を止める」ことになるため,多くのサーバは高い可用性が求められます。そこでサーバ仮想化ソフトはライブマイグレーション機能を用いて,仮想マシンの可用性を高めています。通常,ハードウェアメンテナンスや仮想化ソフトのアップデートの際には,そのホスト上で動く仮想マシンを停止してから作業する必要がありますが,ライブマイグレーション活用すれば,仮想マシンを動作させたまま他の物理マシンに退避させることで,業務を停止せずにメンテナンスやアップデートが行えます。

テレポート機能の仕組み

テレポート機能は,稼働している仮想マシンのメモリデータをTCP/IPネットワーク経由で他の物理マシンに送信します。送信完了後は,仮想マシンが移動先の物理マシン上で動作することになりますが,移動後も移動前と同じ仮想ハードディスクにアクセスする必要があるため,仮想ハードディスクはネットワークで共有します。

図1 テレポート機能の仕組み

図1 テレポート機能の仕組み

手軽に試せるテレポート

ライブマイグレーションはサーバ仮想化においては広く使われている機能ですが,仮想化に初めて触れる人が実際に構築して試すには,少々ハードルが高い部分があります。仮想化ソフトにより詳細な要件は異なりますが,多くのケースでは以下のような点がネックになるでしょう。

  • CPUが同じアーキテクチャのマシンを2台以上用意する必要がある。
  • 共有ストレージ(ファイバーチャネル,iSCSI,NFSで接続)が必要
  • サーバ仮想化ソフト自体の導入/管理知識が必要

一方,VirtualBox/テレポートは以下のような理由から,試すにあたってのハードルはそれほど高くありません。

  • VirtualBoxはOS上にアプリケーションとしてインストールするタイプ(Hosted型)の仮想化ソフトであるため,既存のOSを消す必要がない。
  • ホストOSの種類(Windows,Linux,Solaris 10,Mac OS X)が異なってもテレポートできる。
  • CPUの種類が異なっていてもテレポートできる(Intel→AMDなど)⁠
  • 共有ストレージはiSCSIやNFSに加え,SMB/CIFS(Windowsファイル共有)がサポートされるため,家庭用のNASやファイル共有を設定したWindowsマシンを使用できる。
  • テレポートに必要な設定が他のサーバ仮想化ソフトに比べて複雑でない

今回は2台のPCを用いて,テレポートをなるべく簡単に試す手順を解説しますので,ぜひチャレンジしてみてください。

テレポート機能を使ってみよう

今回は2台のPC(OSはWindows)と1台のファイルサーバ(NAS)で環境を作ります。ゲストOSにはOpenSolarisを使用しています。

【1】VirtualBoxの入手とインストール

VirtualBoxの入手やインストールは特に難しい点はありません。作業的にも従来のバージョンと変わっていないため,今回は説明を割愛します。ホストOSの種類に合ったものをダウンロードし,インストーラに従って導入してください。

VirtualBoxは下記のサイトから入手できます。

URLhttp://dlc.sun.com/virtualbox/vboxdownload.html

【2】共有ストレージの準備

共有ストレージは,家庭用のNASやWindowsのファイル共有機能で簡単に用意できます。VirtualBoxをインストールした2台のPCの両方からアクセスできる共有フォルダを作り,読み取り・書き込みの両方が可能なアクセス権を設定してください。

【3】仮想ハードディスクの作成

テレポートを行う仮想マシンの仮想ハードディスクは,共有ストレージに配置してください。仮想ハードディスクの新規作成はVirtualBoxのGUI画面で[ファイル]⁠⁠仮想メディアマネージャ(V)]を起動し,⁠新規(N)]で行います。

図2 仮想メディアマネージャ

図2 仮想メディアマネージャ

ウィザードの「仮想ディスクの場所とサイズ」の段階で,⁠場所(L)]の欄にNAS上の共有フォルダに仮想ディスクを作成するように指定してください。図3では,共有フォルダ⁠\\NAS\disk1_pt1\virtualbox⁠に仮想ディスク⁠OpenSolaris0906.vdi⁠を作成するように指定しています。

図3 仮想ディスクの場所とサイズ

図3 仮想ディスクの場所とサイズ

片方のPCで仮想ディスクを作ったら,もう片方のPCでは仮想メディアマネージャの[追加(A)]で,作成済みの仮想ハードディスクを仮想メディアマネージャに登録してください。

著者プロフィール

島崎聡史(しまざきさとし)

株式会社富士通ラーニングメディアに所属。ITインフラ系講師としてコース企画,教材執筆,講習会実施などに携わっている。担当分野はサーバ仮想化,ストレージ,UNIX/Linuxサーバ。自宅にサーバ数台とFC-SANを導入し,サーバ仮想化環境の検証作業を楽しむ一方で,牧場の動物たちをこよなく愛し,カメラを手に牧場めぐりの日々を送っている。

著書:『仮想化技術徹底活用』

Twitter:http://twitter.com/smzksts

バックナンバー

仮想化

コメント

コメントの記入