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2010年の仮想化

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仮想化のためのストレージ

仮想化の流れはストレージにも及んできています。従来のストレージは,ローカルに位置が固定され,容量もハードディスク容量の上限による制限を受け,柔軟性に欠けていたところがあります。それに対して仮想化されたストレージは,SANのように位置の制限を受けず,容量も必要な分だけ割り当てることができるものになります。

共有型ストレージが当たり前に

SAN(Strage Area Network)は,これまでは必要性もクラスタ構成などに限られるため,あまり一般的ではありませんでしたが,サーバなどが仮想化されたことで必要性が大幅にアップしました。SANといえばFibreChannel(ファイバーチャネル:FC)を使用した高速,高価なものが中心ですが,一般化するに従ってEthernetを使用したiSCSIも注目されています。さらにFCとの互換性を重視したFCoE(FC over Ethernet)なども提唱されており,今後IPベースのSANが動向の中心となりそうです。仮想化用のデータストレージとしてはNFSのようなNASも活用できるので,2010年は必要に応じて適切なものを選択する,共有型ストレージの利用が一般的になっていくでしょう。

シンプロビジョニングの活用に注目

さらに注目を浴びるのが,必要な分だけ容量を割り当てる「シンプロビジョニング」です。特にデータベースなどはデータ容量の増加傾向が予測しにくいため,必要以上にディスクを搭載してしまったり,ディスク容量の制限にひっかかってしまうようなことが多くありました。シンプロビジョニングを活用すれば,このような煩わしい問題から解放されます。共有型のストレージであれば,初期容量としてある程度の容量をあらかじめ用意して割り当てることはコスト的にも許容されますし,ストレージ装置は無停止での容量追加などをサポートしていますから,物理的な容量が不足してきても対応が可能です。

SSDの利用が一般化

仮想化が広まるにつれ,ストレージの速度もより高速なものが求められるようになってきています。そんな状況の中,注目したいのがSSDです。SSDはハードディスクのように回転せず,メモリと同じようにデータにダイレクトにアクセスできますから,ランダムアクセスに強いストレージです。データベースのようなランダムアクセスが頻繁に発生するような用途に適したストレージと言えます。

最近ではデータベースも仮想マシン上で動かしたい,という要望が増えてきていますが,必ずパフォーマンスが課題として挙げられます。そのような課題には,ストレージの速度を根本から変えるようなアプローチが必要になるでしょう。SSDは価格や実績の点でまだまだと見られているところもありますが,ノートPCなどコンシューマー向けの分野ではかなり幅広く使用されるようになってきていますし,エンタープライズ向けのストレージでも製品が出回り始めています。2010年はSSDによる高速ストレージも普及するのではないでしょうか。

デスクトップ仮想化が普及期に

これまではコストや安定性などの観点から導入が進まなかったデスクトップ仮想化も,2010年になって一気に普及が進む可能性があります。

Windows 7がデスクトップ仮想化の転換点になる?

現在の主にビジネス向けのデスクトップ環境を見ると,圧倒的にWindows XPが多く,Windows Vistaの導入は見送った企業が多いのではないでしょうか。しかしXPもそろそろ耐用年数的に厳しい状況になってきており,Windows 7が比較的軽量化されたことで,次のデスクトップ環境のリプレースではWindows 7を検討するケースが相当増えるのではないかと予想しています。

この際に,デスクトップ仮想化が一気に進む可能性があります。アプローチとしては2つです。

セキュアなデスクトップ環境の実現

まず情報セキュリティの観点から,個々のユーザにデータを持たせるのをやめて,デスクトップ仮想化による集中化でデータ持ち出しを困難にする方法です。今のところ,デスクトップ仮想化を行いたい最大の理由は情報セキュリティの強化でしょう。この領域においては,環境のリプレースが待ったなしの状況になりつつありますし,Windows 7の評価が終わったあたりで一気に進むと予想します。

残したいレガシー環境をデスクトップ仮想化で

もう1つのアプローチが,コストを下げるために全体を仮想化はしないが,これまで使用していたレガシーアプリケーションを残すために一部XP環境をデスクトップ仮想化で残す方法です。この流れはサーバの仮想化移行とほぼ同じ考え方であり,多くの企業が採用するのではないかと予想しています。

どちらのアプローチを取るかはユーザのポリシー次第ですが,2010年は大きな節目を迎える時期に来ていることは間違いないのではないでしょうか。

2010年は仮想化が当然のものになる年

仮想化技術がコモディティ化する中で,如何に活用するかという点ではまだまだノウハウの蓄積が進んでおらず,2010年も試行錯誤が続くのではないでしょうか。そんな状況でも,確実に仮想化に触れる技術者,仮想化を積極的に活用するシステムは増えており,そういう意味では2010年は仮想化を使うのが当たり前の年になるのではないかと思います。

もし,まだ仮想化について触れたことがないという方がいれば,この流れに乗り遅れないよう,今すぐ仮想化を始めてみてください。

著者プロフィール

宮原徹(みやはらとおる)

「仮想化技術に特化した専門家集団」日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長兼CEO。どんなに難しい案件でもこなせる,頼れる会社を目指して,日々研鑽中。仮想化技術の普及のために全国を飛び回る毎日です。

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