新春特別企画・2008年を展望する!
2008年のFreeBSD ―マルチコアリアルプラットフォームへ
2007年を振り返って―下積みの1年
2007年はマルチコア/マルチスレッドにおけるスケーラビリティとパフォーマンスを向上させるため,カーネルからサブシステムまで全域に渡って解析と実装改善が進められた年でした。ZFSの移植,MacBookへの対応,組み込み対応の強化,SoC関連で実装された新機能の追加も特徴です。
AsiaBSDConにはじまりBSDCan,EuroBSDCon,BSDConTrと世界4地域で*BSD国際会議が開催されたのも特記すべき点です。エッジサーバでの採用はもとより,組み込みでの採用が進んだ年でもありました。エンタープライズに要求される性能から組み込みへの対応という要求への対応を深めた1年です。
どうなる,2008年のFreeBSD
FreeBSD 7リリース - マルチコアを活かすプラットフォーム
2008Q1にはFreeBSD 7.0がリリースされます。執筆現在では2008年1月でのリリースが予定されています。これまで報告されているとおり,7は6と比較してマルチコア/プロセッサに対するスケーラビリティとパフォーマンスが向上します。
ただし現状ではスケーラビリティが発揮されないパターンも報告されています。8系では随時スケーラビリティを向上させる改善が取り組まれ,以降リリースされる7.1,7.2に反映されます。7に移行後,随時リリースされる最新の7系にアップグレードすることでスケーラビリティとパフォーマンス向上を実現できるでしょう。
組み込み分野で進展 - マルチコアの性能をフル活用
FreeBSDを組み込みプラットフォームとして採用するケースが増えています。特にネットワーク機能を活用しつつ,マルチコア/プロセッサの性能をフルに発揮したい場合にチョイスされています。典型的なスタイルはPicoBSDやNanoBSDとしてすでにツールが追加されています。
これまでi386アーキテクチャへの対応が進んでいましたが,ARMやPowerPCへの対応も改善されています。組み込みではありませんが,MacBookへの対応が随時続けられている点も興味深いポイントです。
エンタープライズプラットフォーム - 64対応,仮想化,ZFS,Hammer FS
AMD64アーキテクチャへの対応向上,ZFSの移植やクラスタリング機能の強化,GEOM実装の強化,マルチコアスケーラビリティの向上,ファイルシステム機能の強化,ネットワークスタック監査機能,ネットワークスタックの仮想化,Jailの強化,Xenへの対応,CPU仮想化機能への対応などエンタープライズユースで効力を発揮する機能の開発が進むとみられます。
また DragonFly BSDで開発されているファイルシステムHammer FSが注目されます。ZFSのアイディアや実装を整理して開発が進められているファイルシステムで,DragonFly BSDでの実装後にFreeBSDやOpenBSD,NetBSDなどにも移植させる可能性があります。2008年から2009年にかけて特に注目されるとみられます。
ユーザフレンドリなUIへ - PC-BSD & finstall
FreeBSDは今も昔もエッジサーバや組み込み採用が多く,GUI系やユーザがデベロッパのカスタマイズに委ねられてきました。7.0での取り込みがどうなるか不透明ですが,GUIインストーラであるfinstallの登場やPC-BSDの発展で同状況も変わりつつあります。
依然としてコアデベロッパは性能や安定性に注力する向きが多いため,GUIに関してはports committersやfinstall開発者,Gnome/KDE移植者,PC-BSD開発者,FreeSBIE開発者らに委ねられています。2008年もこれまで同様の努力が続けられます。
長い冬をこえてマルチコアの舞台へ
マルチコア/プロセッサにおけるスケーラビリティの確保という課題へ取り組みはじめてから長い時間が経過しました。FreeBSDでのプロジェクト発足から換算すればすでに8年近い時間が過ぎたことになります。そしてスケーラビリティを実現した初のリリースが 2008Q1に予定されているFreeBSD 7.0です。
マルチコアの性能を発揮するためのプログラミングは,これまでのシングルプロセッサ向けのプログラミングと比較して難しいものとなります。スケーラビリティの確保やパフォーマンスの実現にはプラットフォームによる支援が欠かせません。FreeBSDは7でその舞台に立つことになります。
コア数向上と比較してさばけるネットワークコネクションが伸びないといった問題に悩んできたデベロッパやユーザはFreeBSD 7以降のバージョンを調査してください。

