FreeBSD 7.1へようこそ

第3回 FreeBSDで安心・快適通信【II】携帯でデータ通信を楽しもう

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

今週もブラジル話,出張先から無事日本に帰ってくることができた報告からはじめよう。学会会場からリオデジャネイロ空港まで移動に半日かかり,昼の2時ころ到着したのだが,帰りの飛行機は夜の10時にならないと搭乗が始まらない※1ので,思いがけなく夜までの半日,空き時間ができた。この間空港にいてもすることがなく,空港のロビーでぶらついたりパソコンなどしようものなら,それこそひったくりの格好の餌食なので,長居は無用である。

あたり前だがブラジルではポルトガル語しか通用せず※2) ,筆者の言語範囲※3から逸脱しているので,学会で一緒になったドイツ人とブラジル人女性のカップル※4にぴったりくっついて,町内の半日見学をしてくることにした※5)。お決まりの「タイタニック」,もとい「Corcovadoのキリスト像」からイパネマ,コパカバーナビーチ,ポン・ジ・アスーカと,かけ足ながらも見聞を広めることができた。

※1
したがってチェックインも夜の7時半から。
※2
その点,最近は日本で英語がかなり通じるようになったと感じる。このことはもっと誇ってもいいと思う。
※3
英語,フランス語と日本語に広島弁。
※4
ちなみに女性の方が電気電子工学専攻で,今回の学会でみごとな発表をこなしていた才媛である。旦那は建築家。
※5
目的は待ち時間を身の危険無くすごすための自己防衛である。為念。

図1 コルコバードのキリスト像。筆者撮影。

図1 コルコバードのキリスト像。筆者撮影。

…それで,リオとFreeBSDとどうして関係があるかというと,案内所を出たばかりの我々にふらっと近寄ってきて,結局最後まで車で案内してくれた「にわかガイド」のカジオ君が関係するのだ。彼の車はオンボロもいいところで,リクライニングシートは勝手に倒れるわ,スピードメータをはじめとした計器類は全部壊れてるわ(安全上,ウィンカーだけは点くらしい),ちょっと日本では考えられないオンボロ車に乗っているわりに,日本の若者も顔負けとばかり,ひっきりなしに携帯電話で仲間とやりとりをしており,発展途上国でもみんなケータイ世代,というのに驚いた次第である。

この話を学科の先生(大手通信会社の元研究所長)にすると,配線を敷設しなくて済む分コスト安なので,発展途上国こそケータイなのだそうだ。これを利用して自動潜水ロボットの先生はガンジス川からパソコン通信で観測データを日々送っておられるとか。そんなわけで(強引にも)今回はFreeBSD とケータイでパソコン通信の話である。

3Gデータ通信モデムを試す[フランス編]

筆者は仕事柄,「24時間ネットにつながっているタイプ」の人間である。ところが家庭内平和のため,休暇をとって10日間とか海外逃亡することもある。休暇中どうやって接続性を確保するかが大問題なわけだ。昨夏のフランスで,しばらく妻の実家の田舎の別荘に行くことになり,さてどうやって仕事を続けようか※6と迷い,えいやで3Gデータ通信カードを買ってみることにした。

※6
休暇じゃないの? というツッコミは御勘弁。

図2 Option iCON 225

図2 Option iCON 225

モノはFrance Telecom資本のOrange社が売っているハイスピードモデム,Option iCON 255というものである。マルチファンクションタイプのデバイスで,パソコン挿入するとまずはUSB mass storage(CDROM)として認識される。CDの中にはWindows用のドライバのインストーラが入っており,自動的にドライバがインストールされた後は,毎回挿入するたびに自動でファンクションがモデムに切り替わり,接続準備OKとなる仕組である。

本体価格は200ユーロ超だが,「Pass Internet Everywhere」という契約を組むことで,まず69ユーロ,家計簿を確認したら,そのほかSIMカードに30ユーロかかり,一時金99ユーロで2ヵ月後に30ユーロのキャッシュバックが入ったので,実質は69ユーロの出費であった※7)。

※7
このほか,2時間の通話券が14ユーロ。

最初筆者はFreeBSDでこのデバイスが動くことを全く期待しておらず(笑),Windowsで使えればいいやと購入したのだが,なんとこのモデムに付いてきたドライバが,フランス語のWindows XPでは動くのに日本語のXPでは動かないとんでもない代物だったのだ。「さすが国際化が苦手なWindows」と感心ばかりもしていられない。動かなければせっかくのモデムが無駄になるだけでなく,毎年夏場は大事な国際学会の〆切があるから死活問題なのである。

ここで見つけた救世主はスウェーデンのFredrik Lindberg氏で,iCON 225のデバイス用のドライバ「hso」が公開され,portsにもなっていたのだった。手元で再度確認したところ,7.1-RELEASEでも2008年12月時点での8-CURRENTでも動作している。

インストールは簡単で,いつものようにrootになって,

# cd /usr/ports/comms/hso-kmod/
# make install clean

と入力すればよい。

/boot/modules/hso.koというローダブルカーネルモジュール(LKM)と,制御のための簡単なプログラムhsoctlがインストールされる。

著者プロフィール

三田吉郎(みたよしお)

東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻准教授。講義「電気磁気学」「わかる電子回路」やマイクロマシン研究の傍ら,FreeBSDの普及,開発に尽力する。FreeBSD ports committer。国際派を自任し,2007~8年9月までフランス国立情報学研究所(INRIA)招聘教授。共著書に「FreeBSD徹底入門」(翔泳社),「FreeBSD Expert」など。

コメント

コメントの記入