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第3回 FreeBSDで安心・快適通信【II】携帯でデータ通信を楽しもう

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この設定を利用して,大学との間で1259Kバイトのファイルをscpでアップロードした結果は以下のとおりである。64kビットを8で割って,おおむね8Kバイト/sの速度が出たことがわかる。昔便利に使っていた「PHS接続」そのものといえる。

dsc_5223.jpg                                  100% 1259KB   8.0KB/s   02:37    

図4 64kデータ通信中

図4 64kデータ通信中

以上の手順で準備体操をしておいて,おもむろに高速データ通信環境の設定にとりかかることにしよう。

  1. 携帯の電源を切る
  2. バッテリを外し,FOMAカードを入れかえる
  3. バッテリを戻し,端末を起動,端末暗証番号入力
  4. FreeBSDマシンに接続する

で準備完了である。

図5 SIMカードを交換

図5 SIMカードを交換

ppp.confファイルをMac OS X v10.3で利用するための手順書 に従って書き換える。

変更になる箇所は,ユーザ名のほか,pppコマンドの「dial」スクリプトである。初期設定でAT+CGDCONT=1,\\\"IP\\\",\\\"dm.jplat.net\\\"と指定して,⁠バックスラッシュの数に注意。これが足りないとダイヤル失敗する)⁠b-mobileのネットワークに接続できるようにする。

リスト2 ppp.confをb-mobile用に書き換え

default:
 set log Phase Chat LCP IPCP CCP tun command
 ident user-ppp VERSION (built COMPILATIONDATE)
 allow mita
 set device /dev/cuaU0
 set dial "ABORT BUSY ABORT NO\\sCARRIER TIMEOUT 5 \"\" ATZ OK-ATZ-OK AT+CGDCONT=1,\\\"IP\\\",\\\"dm.jplat.net\\\" OK ATD\\T TIMEOUT 20 CONNECT"

bmobile:
	enable force-scripts
	set login
	set timeout 300
	set phone "*99***1#"
	set authname "bmobile@l3.jplat.net"
	set authkey "bmobile"
	set ifaddr 10.0.0.1/0 10.0.0.2/0 255.255.255.0 0.0.0.0
	add default HISADDR
	enable dns

設定中に allow mitaとある1行は,一般ユーザ「mita」がいちいちrootにならなくても「networkグループ」に属しているだけでpppを起動できるようにするためのおまじないである。このほか,/etc/groupファイルにメンバの追加を忘れずに行っておく(※9)⁠

※9
書き換えは一旦ログアウトした後で有効になる。

リスト3 /etc/groupへの追加例

network:*:69:mita

あとは通常のようにppp接続すればよい。

% ppp
Working in interactive mode
Using interface: tun0
ppp ON micro> dial bmobile
Ppp ON micro> dial bmobile
PPp ON micro> dial bmobile
PPP ON micro> dial bmobile

図6 データ通信中

図6 データ通信中

図7 データ送受信中

気になる性能だが,先ほど速度測定に使用した1259Kバイトのファイルを使って測ってみたところ,すべての場合において64k接続よりも高速にファイルの転送ができるようになったことが確認できた。

また,新しくした妻の携帯P-04Aでも同じく,ufoma.koで問題なくデータ通信網経由のPPP接続ができたことを報告しておく(※10)⁠

※10
ただし,P-01Aに比べてもSIMカードがなかなか引き抜けないので,毎日SIMを交換して使うとなるとかなりの根性が必要そうな予感である。

一点不思議なことは,アップロード,すなわち手持ちのマシンからインターネット上のサーバへSCPすると40Kバイト/s,したがって320キロビット毎秒ほど出ているのに,その逆でダウンロードすると11.3Kバイト/sほどしか出なかったことである。昼間も同じ程度の速度だったので,何か設定をし忘れている可能性は捨てきれない。ともあれ,これで(カード入れ替えという手間は残るものの)⁠せっかくの投資も無駄にすることなく活用できそうなので筆者は大いに満足している。

今回急遽利用したP-01Aには,Bluetooth経由でモデムを使うためのプロファイルが実装されているので,電波の悪いところでは特に携帯電話を窓際に置いてゲートウェイにして,Bluetooth経由で部屋の中にいてインターネットを使うといった使い方ができそうである。FreeBSDとケータイのコラボで新たな可能性が広がりそうな予感だ。

著者プロフィール

三田吉郎(みたよしお)

東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻准教授。講義「電気磁気学」「わかる電子回路」やマイクロマシン研究の傍ら,FreeBSDの普及,開発に尽力する。FreeBSD ports committer。国際派を自任し,2007~8年9月までフランス国立情報学研究所(INRIA)招聘教授。共著書に「FreeBSD徹底入門」(翔泳社),「FreeBSD Expert」など。